118 / 249
第二章 呪われた運命
第116話 逆転のメタモルフォーゼ
しおりを挟む
ボールを手にしたルアの姿を見て、東雲はピクリと眉を動かした。
「……ルアに託したか。気を付けろよ真琴。」
「う~ん、あて……ルア君の実力を知らんのやけど……どうなんどす?天使に勝ったってのは聞いたけど。」
「一言で言わせてもらうのなら、未知数だ。」
そう言い切った東雲に、真琴は首をかしげながら問いかける。
「……つまり東雲はんもわからん……ってことどす?」
「そういうことだ。妾が唯一わかっていることと言えば、あいつはメタモルフォーゼ……という技を使い、魔物の力を自分に宿らせる。それぐらいだ。」
「ほぇ~、魔物の力を自分に……おもろい技やねぇ~。」
「お前には話していなかったが、ルアは一度妾の力を不完全ながらも宿らせたこともある。」
そう語った東雲に、真琴は驚いた表情を浮かべた。
「東雲はんの力を!?」
「それこそ最近やってきた天使を倒したときに、ルアは妾の力を使ったのだ。」
「そういうことやったんや~。ようやく納得したわ、ず~っとルア君が天使倒しはったの疑問やったんどす。」
「故に、気を付けねばならん。何を使ってくるのか……予想不可能だからな。」
「あても東雲はんもきばらんといけん……ってことやねぇ。」
そう真琴がポツリと呟いた瞬間。東雲と真琴の放つ雰囲気ががらりと変わり、一気に警戒モードへと移行した。
もちろん二人の雰囲気の変化を由良達は敏感に気が付き、ルアが最も警戒されている……ということを肌で感じていた。
「うわ……東雲さん達ガチじゃないの?」
「それだけルアちゃんが警戒されてるんですね~。」
チラリとクロロとエナの二人は後ろに立つルアに目を向けた。そこには、みんなから期待されている、そして東雲達に警戒されていることを感じてか、いつになく真剣な表情を浮かべているルアの姿があった。
「い、いきますっ!!」
そう声をあげるとルアは、ボールを軽く上へと放り投げ、自分も跳んだ。
そして、あの言葉を叫ぶ……。
「メタモルッ……フォーゼ!!」
そう叫ぶと同時に、ルアの体が光に包まれる。そして次にルアが姿を現したとき、彼の姿に変化が起きていた。
髪の色が綺麗なエメラルドグリーンに変わり、瞳の色が金色に染まっていた。
彼のその姿を見て、東雲と真琴はある人物の姿が頭をよぎった。
「あの姿はっ……!!」
「それもありなんどすかぁ…………。かなんなぁ。」
二人がルアの今の姿に重ねたのは、自分達に圧倒的な実力差を見せ付けたアルだった。
そして姿を変えたルアは、ボールに手を打ち付けながらポツリと言った。
「理を貫く矢」
アルの力を自分に宿らせ、打ったボールは真っ直ぐに東雲達のコートへと落ちていく。
そのちょうど落下点に立った東雲は、くつくつと笑う。
「くくくくく……ルア。随分と粋なことをしてくれるではないか。よもや、こんな形で妾達に雪辱を果たす機会がやってくるとはな。」
そして東雲は左手の人差し指と中指をピンと立て、口に当てると更に続けて言った。
「妾は敗けっぱなしというのが一番嫌いだ。だからあれを使わせてもらおう。」
右手をピンと横に伸ばし、東雲は魔力を練り上げ、キッ……と迫ってくるボールを睨み付けた。
「対神結界……神隠し。」
東雲がそう口にした瞬間、以前アルのことを捕らえた四角い結界とは違う、歪な形の結界がボールを封じ込めた。
この技は、以前アルに敗北を喫してしまった東雲が真琴とミリアと共に開発した特殊な結界。その名の通り、神と戦うことを想定した技だ。
「さぁ、捕らえたぞ。神にすら妾は対抗してみせ…………。」
ビキッ…………。
「なにっ!?」
氷にヒビが入るような鈍い音が響いたと思うと、東雲がボールを捕らえていた結界にヒビが入った。
「くっ……まさか、これでも足りんというのか!!」
「東雲はん、あても手伝う!!」
魔力を込め続ける東雲に真琴が協力し、なんとか抑えようとするが、そんな二人の努力を無視するようにルアが放ったボールは結界を破壊しコートの中へと突き刺さった。
二人は自分の後ろに突き刺さったボールに目を向けると、悔しそうに表情を歪めた。
「真琴の助力を得ても足らん……というのか?」
茫然と見つめる東雲達に、コートの外から声がかけられた。
「当たり前でしょ?良くも悪くも神様ってのをちょっと舐めすぎじゃない?」
「「っ!!」」
東雲と真琴が声のした方を振り返ると、そこにはバカンスを楽しみにやってきたと言わんばかりに、水着姿をしたアルが立っていた。
「……ルアに託したか。気を付けろよ真琴。」
「う~ん、あて……ルア君の実力を知らんのやけど……どうなんどす?天使に勝ったってのは聞いたけど。」
「一言で言わせてもらうのなら、未知数だ。」
そう言い切った東雲に、真琴は首をかしげながら問いかける。
「……つまり東雲はんもわからん……ってことどす?」
「そういうことだ。妾が唯一わかっていることと言えば、あいつはメタモルフォーゼ……という技を使い、魔物の力を自分に宿らせる。それぐらいだ。」
「ほぇ~、魔物の力を自分に……おもろい技やねぇ~。」
「お前には話していなかったが、ルアは一度妾の力を不完全ながらも宿らせたこともある。」
そう語った東雲に、真琴は驚いた表情を浮かべた。
「東雲はんの力を!?」
「それこそ最近やってきた天使を倒したときに、ルアは妾の力を使ったのだ。」
「そういうことやったんや~。ようやく納得したわ、ず~っとルア君が天使倒しはったの疑問やったんどす。」
「故に、気を付けねばならん。何を使ってくるのか……予想不可能だからな。」
「あても東雲はんもきばらんといけん……ってことやねぇ。」
そう真琴がポツリと呟いた瞬間。東雲と真琴の放つ雰囲気ががらりと変わり、一気に警戒モードへと移行した。
もちろん二人の雰囲気の変化を由良達は敏感に気が付き、ルアが最も警戒されている……ということを肌で感じていた。
「うわ……東雲さん達ガチじゃないの?」
「それだけルアちゃんが警戒されてるんですね~。」
チラリとクロロとエナの二人は後ろに立つルアに目を向けた。そこには、みんなから期待されている、そして東雲達に警戒されていることを感じてか、いつになく真剣な表情を浮かべているルアの姿があった。
「い、いきますっ!!」
そう声をあげるとルアは、ボールを軽く上へと放り投げ、自分も跳んだ。
そして、あの言葉を叫ぶ……。
「メタモルッ……フォーゼ!!」
そう叫ぶと同時に、ルアの体が光に包まれる。そして次にルアが姿を現したとき、彼の姿に変化が起きていた。
髪の色が綺麗なエメラルドグリーンに変わり、瞳の色が金色に染まっていた。
彼のその姿を見て、東雲と真琴はある人物の姿が頭をよぎった。
「あの姿はっ……!!」
「それもありなんどすかぁ…………。かなんなぁ。」
二人がルアの今の姿に重ねたのは、自分達に圧倒的な実力差を見せ付けたアルだった。
そして姿を変えたルアは、ボールに手を打ち付けながらポツリと言った。
「理を貫く矢」
アルの力を自分に宿らせ、打ったボールは真っ直ぐに東雲達のコートへと落ちていく。
そのちょうど落下点に立った東雲は、くつくつと笑う。
「くくくくく……ルア。随分と粋なことをしてくれるではないか。よもや、こんな形で妾達に雪辱を果たす機会がやってくるとはな。」
そして東雲は左手の人差し指と中指をピンと立て、口に当てると更に続けて言った。
「妾は敗けっぱなしというのが一番嫌いだ。だからあれを使わせてもらおう。」
右手をピンと横に伸ばし、東雲は魔力を練り上げ、キッ……と迫ってくるボールを睨み付けた。
「対神結界……神隠し。」
東雲がそう口にした瞬間、以前アルのことを捕らえた四角い結界とは違う、歪な形の結界がボールを封じ込めた。
この技は、以前アルに敗北を喫してしまった東雲が真琴とミリアと共に開発した特殊な結界。その名の通り、神と戦うことを想定した技だ。
「さぁ、捕らえたぞ。神にすら妾は対抗してみせ…………。」
ビキッ…………。
「なにっ!?」
氷にヒビが入るような鈍い音が響いたと思うと、東雲がボールを捕らえていた結界にヒビが入った。
「くっ……まさか、これでも足りんというのか!!」
「東雲はん、あても手伝う!!」
魔力を込め続ける東雲に真琴が協力し、なんとか抑えようとするが、そんな二人の努力を無視するようにルアが放ったボールは結界を破壊しコートの中へと突き刺さった。
二人は自分の後ろに突き刺さったボールに目を向けると、悔しそうに表情を歪めた。
「真琴の助力を得ても足らん……というのか?」
茫然と見つめる東雲達に、コートの外から声がかけられた。
「当たり前でしょ?良くも悪くも神様ってのをちょっと舐めすぎじゃない?」
「「っ!!」」
東雲と真琴が声のした方を振り返ると、そこにはバカンスを楽しみにやってきたと言わんばかりに、水着姿をしたアルが立っていた。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる