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第二章 呪われた運命
第112話 透明人間!?
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ひょんなことから女神アルテミスの指導を受けることとなってしまったルア。
「で?今は何してるのよ。」
「あ、えっと……魔力を柔軟にするために動かしてるところ……です。」
「ふ~ん、それは何?あの狐の子に言われてやってるのよね?」
「はい。」
「ふんふん……なるほどね。」
アルは彼がやっていた仕草をじっと眺めると、ふと自分の胸の前に両手を持ってきた。
「ん~……ん~?こんな感じかしら。」
「えぇっ!?」
ルアがやっていたことをあっさりとやってのけてしまった彼女。大変な思いをしてやっとルアができるようになった技を、見ただけで彼以上の完成度で真似してしまった彼女に思わずルアは驚いた声をあげてしまう。
しかし、それも当然で……ルアは人間で彼女は女神である。神である彼女からすればこの程度のことならば造作もない事なのだ。
「ま、私が教えられるのはこんなことじゃないんだけどさっ。」
パッとアルは手に集めた魔力を霧散させた。
「じゃ、じゃあ何を教えてくれるんですか?」
「それは……実際に見た方が早いかな?」
クスリとアルは笑うと、徐々に彼女の姿が透けて透明になっていく。そして数秒後には完全にルアの前から姿を消した。
「え…………えぇっ!?ど、どこに……行って…………。」
キョロキョロとルアは辺りを見渡すが、部屋のどこにも彼女の姿は見当たらない。
しかし…………。
「私はずっと、ここにいるわよ?」
「ふえっ!?」
ルアの目の前からアルの声が聞こえてくる。姿は見えないが、そこにいるようだ。
そしてアルは透明化を解いた。
「ねっ?すごいでしょ?気配も完全に消せるのよ。」
「そ、それをボクに教えてくれるんですか?」
「そうね。こういう風に自由自在に姿が消せたり、気配を消せたら……色々と役立つでしょ?」
「それは……まぁ…………で、でも難しいんじゃ……。」
「そんなことないわ。誰が指導すると思ってるのよ。」
スッとアルは立ち上がると、ルアの背後に回り込んだ。
「さっ、早速指導開始よ。まずは~……辺りに漂ってる微細な魔力を感じなさい?」
「微細な魔力……ですか?」
「そっ、空気中には本当に微量だけど魔力が含まれてるの。それを感じられるようになるのよ。」
アルに言われた通りに、空気中の魔力を感じようと集中するルアだったが……さっぱり感じない。
そんな彼の様子をわかっていたようにアルが口を開いた。
「ま、最初は難しいでしょうね。あの狐の子位になってようやく感じられる位薄いから。」
そう告げると、アルはルアの肩に手を置いた。
「最初は私が補助してあげる。ほらもう一回感じてみなさい?」
「は、はい……。」
そして再びルアが集中すると、アルの手を通して魔力を感じる肌が敏感になるのを感じた。すると、辺りを漂う空気に変化を感じた。
(……あれ?さっきは感じなかったのに、今は空気にも魔力があるのを感じれる。)
「わかるでしょ?こんな風に空気にも魔力っていうのは流れてるの。今自分がどんな状態なのか……よ~く覚えておくのよ?」
それから数分間の間アルはルアの肩に手を置いていたが、ふと彼女はその手を離した。
しかし、ルアは彼女の手が体から離れても空気中の魔力を感じれるようになっていた。
「その調子、イイ感じよ。それじゃ、次は空気の魔力と自分の中にある魔力をリンクさせてみて?」
「リンク……って繋げるってことですか?」
「そそ、言い表すなら……自分の魔力を空気に溶け込ませるって言った方が分かりやすいかしら?」
「自分の魔力を空気に…………。」
ルアは東雲から教わった柔軟な魔力をの使い方を応用し、全身を魔力で覆うと徐々に空気の魔力と同じ濃度まで魔力を薄く……薄くした。
すると……
「あっ?か、体がどんどん透明に……。」
指先から徐々にルアの体が透明になり、空気に溶け込んでいく。それを見てアルはにこりと笑った。
「はい、成功よ。意外と簡単だったでしょ?」
「は、はい。すごいです……これ。」
完全に透明人間になったルアは、鏡の前に立って自分が写るかどうかを試してみたが、鏡にすら写らない。
しかし、どれだけその状態で動き回ってもアルの視線から外れることはできなかった。
「あ、あの……アルさんはもしかしてボクのこと見えてます?」
「うん!!バッチリ見えてるわ。これでも狩猟の女神よ?透明になったぐらいじゃ、私の目から逃げることなんてできないわ。」
「あはは……流石神様ですね。」
パチン♪とウインクして見せたアルに、思わずルアは苦笑いを浮かべる。
「まぁでも、今の君の状態なら……あの狐の子にすらも認識されないんじゃない?」
「えっ!?ほ、ホントですか?」
その後帰って来た東雲にあっさりとルアは透明になっていることを見抜かれてしまうのだが……。それはまた別のお話で。
「で?今は何してるのよ。」
「あ、えっと……魔力を柔軟にするために動かしてるところ……です。」
「ふ~ん、それは何?あの狐の子に言われてやってるのよね?」
「はい。」
「ふんふん……なるほどね。」
アルは彼がやっていた仕草をじっと眺めると、ふと自分の胸の前に両手を持ってきた。
「ん~……ん~?こんな感じかしら。」
「えぇっ!?」
ルアがやっていたことをあっさりとやってのけてしまった彼女。大変な思いをしてやっとルアができるようになった技を、見ただけで彼以上の完成度で真似してしまった彼女に思わずルアは驚いた声をあげてしまう。
しかし、それも当然で……ルアは人間で彼女は女神である。神である彼女からすればこの程度のことならば造作もない事なのだ。
「ま、私が教えられるのはこんなことじゃないんだけどさっ。」
パッとアルは手に集めた魔力を霧散させた。
「じゃ、じゃあ何を教えてくれるんですか?」
「それは……実際に見た方が早いかな?」
クスリとアルは笑うと、徐々に彼女の姿が透けて透明になっていく。そして数秒後には完全にルアの前から姿を消した。
「え…………えぇっ!?ど、どこに……行って…………。」
キョロキョロとルアは辺りを見渡すが、部屋のどこにも彼女の姿は見当たらない。
しかし…………。
「私はずっと、ここにいるわよ?」
「ふえっ!?」
ルアの目の前からアルの声が聞こえてくる。姿は見えないが、そこにいるようだ。
そしてアルは透明化を解いた。
「ねっ?すごいでしょ?気配も完全に消せるのよ。」
「そ、それをボクに教えてくれるんですか?」
「そうね。こういう風に自由自在に姿が消せたり、気配を消せたら……色々と役立つでしょ?」
「それは……まぁ…………で、でも難しいんじゃ……。」
「そんなことないわ。誰が指導すると思ってるのよ。」
スッとアルは立ち上がると、ルアの背後に回り込んだ。
「さっ、早速指導開始よ。まずは~……辺りに漂ってる微細な魔力を感じなさい?」
「微細な魔力……ですか?」
「そっ、空気中には本当に微量だけど魔力が含まれてるの。それを感じられるようになるのよ。」
アルに言われた通りに、空気中の魔力を感じようと集中するルアだったが……さっぱり感じない。
そんな彼の様子をわかっていたようにアルが口を開いた。
「ま、最初は難しいでしょうね。あの狐の子位になってようやく感じられる位薄いから。」
そう告げると、アルはルアの肩に手を置いた。
「最初は私が補助してあげる。ほらもう一回感じてみなさい?」
「は、はい……。」
そして再びルアが集中すると、アルの手を通して魔力を感じる肌が敏感になるのを感じた。すると、辺りを漂う空気に変化を感じた。
(……あれ?さっきは感じなかったのに、今は空気にも魔力があるのを感じれる。)
「わかるでしょ?こんな風に空気にも魔力っていうのは流れてるの。今自分がどんな状態なのか……よ~く覚えておくのよ?」
それから数分間の間アルはルアの肩に手を置いていたが、ふと彼女はその手を離した。
しかし、ルアは彼女の手が体から離れても空気中の魔力を感じれるようになっていた。
「その調子、イイ感じよ。それじゃ、次は空気の魔力と自分の中にある魔力をリンクさせてみて?」
「リンク……って繋げるってことですか?」
「そそ、言い表すなら……自分の魔力を空気に溶け込ませるって言った方が分かりやすいかしら?」
「自分の魔力を空気に…………。」
ルアは東雲から教わった柔軟な魔力をの使い方を応用し、全身を魔力で覆うと徐々に空気の魔力と同じ濃度まで魔力を薄く……薄くした。
すると……
「あっ?か、体がどんどん透明に……。」
指先から徐々にルアの体が透明になり、空気に溶け込んでいく。それを見てアルはにこりと笑った。
「はい、成功よ。意外と簡単だったでしょ?」
「は、はい。すごいです……これ。」
完全に透明人間になったルアは、鏡の前に立って自分が写るかどうかを試してみたが、鏡にすら写らない。
しかし、どれだけその状態で動き回ってもアルの視線から外れることはできなかった。
「あ、あの……アルさんはもしかしてボクのこと見えてます?」
「うん!!バッチリ見えてるわ。これでも狩猟の女神よ?透明になったぐらいじゃ、私の目から逃げることなんてできないわ。」
「あはは……流石神様ですね。」
パチン♪とウインクして見せたアルに、思わずルアは苦笑いを浮かべる。
「まぁでも、今の君の状態なら……あの狐の子にすらも認識されないんじゃない?」
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その後帰って来た東雲にあっさりとルアは透明になっていることを見抜かれてしまうのだが……。それはまた別のお話で。
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