55 / 249
第一章 転生そして成長
第53話 ルアの本気?
しおりを挟む
ふと、ルアの意識が戻ってくると、彼は自分の部屋にいた。当たりをキョロキョロと見渡してみると……。
「…………??…………!?」
「く~……く~……。」
「ん~むにゃ…………。」
ルアのベッドに由良とロレットの二人が横たわり、気持ちよさそうにぐっすりと眠っていた。
「お母さんに……ロレットさん?なんでこんなところで……。」
ふと、首をかしげていると、頭の上から声が聞こえた。
「そっとしておいてやってくれ、妾とさんざん手合わせをしたから疲れてしまったのだ。」
「東雲さんと手合わせを?」
「うむ、お前の体を借りてそこに寝ている二人の力を試していたのだ。」
ルアの頭の上に居座る東雲が、前足で二人のことを指し示した。
少し上を見上げると、ぷにぷにで柔らかそうな肉球が見える。
(触ってみたいな~。でもきっとだめって言われちゃうよね。)
そんなことを思っていると、東雲がするりと肩から降りてきてルアの耳元で話し始めた。
「おい、妾は腹が減ったぞ。お前何か料理は作れぬのか?」
「えっ?りょ、料理……ですか?ある程度のものなら作れますけど……。」
「ならば今すぐ作れ。妾はこう見えて大食らいだからな、大量に作って構わんぞ。」
「わ、わかりました。」
「……もしお前の作ったもので妾を満足させることができたのなら…………褒美として、先ほどから熱い視線を送ってきているこの肉球を触らせてやっても良いぞ?」
東雲は自分の手で自分の肉球をぷにぷにと触って見せて由良を誘惑するように言った。すると俄然やる気が出てきたのかルアは、それにこたえるように言った。
「言いましたね!?絶対に満足させて見せますからっ!!」
メラメラと炎を燃やし始めたルアは、東雲を連れて厨房へと向かうそして冷蔵庫を開けると大量の食材をもってきて、台の上にそれらを並べると、すさまじいスピードで野菜を切り肉を切り、あっという間に料理を作っていく。
「おぉ、なんという素晴らしい手際。」
ルアの手際のよさに思わず東雲はそう溢した。
ちなみにルアはこの城の冷蔵庫に入っている食材を全て使っても良いとロレットに言われているため、ふんだんに使うことができるのだ。
焼いたり揚げたり、蒸したり等々をしているうちに、あっという間に辺りに空腹をくすぐるよい香りが充満し始めた。
「んん~良い香りじゃ。なかなか食欲をそそられるではないか。」
そして、ルアは東雲の前に次々と出来上がった料理を並べ始める。数十種類もの料理が東雲の座る円卓の上に並べられ、最後の料理を配膳すると、ルアは大きく息を吐いた。
「ふぅ~……こ、これでどうですかっ!!」
「おぉ~!!これは凄い……いったい何品あるのだ?というか、これは何の料理なのだ?妾はこんなもの見たことがないぞ?」
「これは中国って国に伝わっている満漢全席っていうのを模した料理です。ホントは数百種類の料理を作るらしいんですけど……流石に食材が足りませんでした。」
満漢全席とは、中国の最も偉い人が、その職位に就いた際に何日もかけて食べられていたと言われる料理だ。
その料理の数は何百種類と言われていて、その中にはいわゆるゲテモノ料理と言われるものも多々あったという。例えば、今でこそ危険な病原菌が潜んでいて食べることが危険と言われている猿脳も、高級な珍味として食べられていたとか……。
「中国?満漢全席?ふむ、聞いたことがない。だが、この料理は……見ているだけでどんどん腹が減ってくるようだ。」
今にも東雲の口からは涎がポタリとテーブルに垂れそうになっている。
「さて、では冷める前に早速頂くとしようか。」
東雲はそう口にすると、ポン!!という音と共に体が煙で覆われ、次の瞬間には本来の仙狐の姿に化けていた。
そして箸で料理を掴もうとしたその時だった……。
「こちらから随分旨そうな匂いがするのじゃ~。」
「うむ、もう我の腹と背中がくっついてしまいそうだ。」
「むっ!?」
厨房の入り口から顔を出したのは由良とロレットだった。どうやら二人ともルアが作る料理の匂いに釣られて、ここに誘われてきてしまったらしい。
そして二人は、東雲の前に広がっている満漢全席を模した大量の料理を目にすると、思わず口元から涎を溢しそうになっていた。
そんな二人を見て、ポタリと一つ冷や汗が顔を伝った東雲は目の前に広がる料理を守るように立ちはだかった。
「お、お前たちこれは妾の料理だぞ!?」
「東雲様、独り占めはいけませんですのじゃ。」
「うむ、それにその料理に使われている食材はこの城の物。我にはそれを食す権利があるっ!!」
二人に詰め寄られた東雲は、ギリリと歯軋りをすると突然料理の方に向き直り、凄まじい勢いで食べ始めた。
「こうなれば、お前ら二人に食われる前に全部食いきってやるまでよっ!!」
「そうはさせませぬのじゃ!!」
「ルア!!我らの分の箸もくれっ!」
「は、はい~。」
由良とロレットが合流したことによって、再び忙しくなるルアだった。
「…………??…………!?」
「く~……く~……。」
「ん~むにゃ…………。」
ルアのベッドに由良とロレットの二人が横たわり、気持ちよさそうにぐっすりと眠っていた。
「お母さんに……ロレットさん?なんでこんなところで……。」
ふと、首をかしげていると、頭の上から声が聞こえた。
「そっとしておいてやってくれ、妾とさんざん手合わせをしたから疲れてしまったのだ。」
「東雲さんと手合わせを?」
「うむ、お前の体を借りてそこに寝ている二人の力を試していたのだ。」
ルアの頭の上に居座る東雲が、前足で二人のことを指し示した。
少し上を見上げると、ぷにぷにで柔らかそうな肉球が見える。
(触ってみたいな~。でもきっとだめって言われちゃうよね。)
そんなことを思っていると、東雲がするりと肩から降りてきてルアの耳元で話し始めた。
「おい、妾は腹が減ったぞ。お前何か料理は作れぬのか?」
「えっ?りょ、料理……ですか?ある程度のものなら作れますけど……。」
「ならば今すぐ作れ。妾はこう見えて大食らいだからな、大量に作って構わんぞ。」
「わ、わかりました。」
「……もしお前の作ったもので妾を満足させることができたのなら…………褒美として、先ほどから熱い視線を送ってきているこの肉球を触らせてやっても良いぞ?」
東雲は自分の手で自分の肉球をぷにぷにと触って見せて由良を誘惑するように言った。すると俄然やる気が出てきたのかルアは、それにこたえるように言った。
「言いましたね!?絶対に満足させて見せますからっ!!」
メラメラと炎を燃やし始めたルアは、東雲を連れて厨房へと向かうそして冷蔵庫を開けると大量の食材をもってきて、台の上にそれらを並べると、すさまじいスピードで野菜を切り肉を切り、あっという間に料理を作っていく。
「おぉ、なんという素晴らしい手際。」
ルアの手際のよさに思わず東雲はそう溢した。
ちなみにルアはこの城の冷蔵庫に入っている食材を全て使っても良いとロレットに言われているため、ふんだんに使うことができるのだ。
焼いたり揚げたり、蒸したり等々をしているうちに、あっという間に辺りに空腹をくすぐるよい香りが充満し始めた。
「んん~良い香りじゃ。なかなか食欲をそそられるではないか。」
そして、ルアは東雲の前に次々と出来上がった料理を並べ始める。数十種類もの料理が東雲の座る円卓の上に並べられ、最後の料理を配膳すると、ルアは大きく息を吐いた。
「ふぅ~……こ、これでどうですかっ!!」
「おぉ~!!これは凄い……いったい何品あるのだ?というか、これは何の料理なのだ?妾はこんなもの見たことがないぞ?」
「これは中国って国に伝わっている満漢全席っていうのを模した料理です。ホントは数百種類の料理を作るらしいんですけど……流石に食材が足りませんでした。」
満漢全席とは、中国の最も偉い人が、その職位に就いた際に何日もかけて食べられていたと言われる料理だ。
その料理の数は何百種類と言われていて、その中にはいわゆるゲテモノ料理と言われるものも多々あったという。例えば、今でこそ危険な病原菌が潜んでいて食べることが危険と言われている猿脳も、高級な珍味として食べられていたとか……。
「中国?満漢全席?ふむ、聞いたことがない。だが、この料理は……見ているだけでどんどん腹が減ってくるようだ。」
今にも東雲の口からは涎がポタリとテーブルに垂れそうになっている。
「さて、では冷める前に早速頂くとしようか。」
東雲はそう口にすると、ポン!!という音と共に体が煙で覆われ、次の瞬間には本来の仙狐の姿に化けていた。
そして箸で料理を掴もうとしたその時だった……。
「こちらから随分旨そうな匂いがするのじゃ~。」
「うむ、もう我の腹と背中がくっついてしまいそうだ。」
「むっ!?」
厨房の入り口から顔を出したのは由良とロレットだった。どうやら二人ともルアが作る料理の匂いに釣られて、ここに誘われてきてしまったらしい。
そして二人は、東雲の前に広がっている満漢全席を模した大量の料理を目にすると、思わず口元から涎を溢しそうになっていた。
そんな二人を見て、ポタリと一つ冷や汗が顔を伝った東雲は目の前に広がる料理を守るように立ちはだかった。
「お、お前たちこれは妾の料理だぞ!?」
「東雲様、独り占めはいけませんですのじゃ。」
「うむ、それにその料理に使われている食材はこの城の物。我にはそれを食す権利があるっ!!」
二人に詰め寄られた東雲は、ギリリと歯軋りをすると突然料理の方に向き直り、凄まじい勢いで食べ始めた。
「こうなれば、お前ら二人に食われる前に全部食いきってやるまでよっ!!」
「そうはさせませぬのじゃ!!」
「ルア!!我らの分の箸もくれっ!」
「は、はい~。」
由良とロレットが合流したことによって、再び忙しくなるルアだった。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~
つくも
ファンタジー
Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。
このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。
しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。
地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。
今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる