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第一章 転生そして成長
第29話 vs天使
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ルア達が住んでいる町から数km程離れた荒野に、突然ルアと天使が姿を現した。
「っ!!天使である、うちに魔力で干渉した!?ありえねぇです……。」
自身には魔法が効かないと思い込んでいたらしい天使は、ルアによって強制的に移動させられたことに驚きの表情を浮かべた。
そんな天使とは対照的に、ルアはひどく落ちついていた。
(……どうしてだろう。お母さんとクロロさんを傷つけられて怒ってるはずなのに……何でボクはこんなに落ち着いていられるんだろう。)
まるで体が勝手に怒り等の雑念を心の奥底に押し込めているような……不思議な感覚。
そしてもう一つ……ルアには不可解なことがあった。
(それに……さっき体が勝手に魔法を使ったような……。ボク移動魔法なんて覚えてないのに……。)
そう、ルアは回復魔法の心得しかなかったはず。しかし、先ほどは習ってもいない移動魔法を瞬時に使ってみせた。
ルアが自分の体を不思議に思っていると……落ち着きを取り戻した天使は、ルアの事を睨み付けて舌打ちをする。
「チッ……予定変更するしかねぇです。こんな危険分子は生かしちゃおけねぇです。」
天使が天に手を翳すと、その手には光り輝く弓が握られていた。天使はその弓をルアに向かって構え、何も携えていない弦をギリギリと引き絞った。
そして……
「浄化しやがれです。」
その言葉とともに引き絞られた弦が手を離れ、ルアへと向かい、まるで光の光線のような矢が凄まじい速度で放たれた。
その時だった……。
『半歩右。』
「…………!!」
ルアの頭の中に突然聞いたこともない女性の声が響く。そしてルアが行動に移す前に、勝手に体が半歩右に動き天使の矢を紙一重で避けた。
標的のルアを捉えられなかった矢は、後方にあった大きな岩に巨大な風穴を開けて消え去った。
「なっ……避けた!?」
放った矢があっさりとかわされ、驚きの表情を浮かべる天使。
しかし、驚いているのは天使だけではなかった。
(今、確かに体が勝手に……。)
ルアも同様に、自分の体が勝手に動いたことに驚いていた。そんな時……再び頭に声が響く。
『次は自分で動け。妾の声に従ってな。』
(ま、また声がっ!?)
『返事はっ!!』
(は、はいっ!!)
驚く間もなく、ルアは頭に響く声に返事を強いられてしまった。
『次が来るぞ。構えろ。』
頭に響いた言葉の通り、天使は再びルアに向かって矢を放ってきた。それも一本ではなく何本も同時に。
(く、来るっ!!)
『焦るな。半歩左。』
頭の声の指示通りに体を半歩左にずらすと、一本目の矢が真横を通りすぎていく。
『次、正面に歩きながら首を右に傾けろ。』
今度は先ほどまでルアの顔があったところを矢が通り抜けていった。
『次、上に向かって軽く跳躍。』
言葉通りに軽く地面を蹴って宙へと飛び上がると、ルアの体の下を何本もの矢が通りすぎていく。
そしてすべての矢を避けきったかと思いきや、ルアの視線の先で天使が残酷な笑みを浮かべていた。
「かかりやがりましたねぇ~、全てはうちの狙い通り。空中じゃ身動きとれねぇですねぇ?」
飛び上がったルアへと向かって更に追加で正確無比な矢が放たれる。
(こ、これ……どうすればいいの!?)
『だから焦るなと言っている。魔力を足に集中、もう一度跳べ。』
ルアが足に魔力を集中させると、一瞬で体の魔力が足へと集中する。そしてもう一度空中を蹴ると……更に上空にルアの体が飛び上がった。
「バカなっ……ありえねぇですっ!!」
勝ちを確信していた天使は、ここに来て初めて驚きの表情とともに、明らかに焦りの色を浮かべていた。
地上から上空にいるルアの事を眺めている天使に向かって、頭の声が更なる指示を出す。
『人指し指と中指を立てて詠唱、招来……禍津火ノ神。』
「招来禍津火ノ神!!」
言われるがまま、ルアはその魔法を詠唱してしまった。それがどんな魔法なのかも知らずに……。
ルアが詠唱を終えると同時に、天使の足元に巨大な五芒星が描かれた魔法陣が出現する。
「これはっ!!不味っ…………」
ただならぬ気配を感じ、その場から逃げようとした天使だったが……。
魔法陣から現れた黒い鎖が彼女の体を絡めとった。
「っ!!ち、力が……抜けて…………」
そして五芒星の五つの先端に暗い色の炎が灯る。
すると、ルアの頭に話しかけていた声の主がルアの体を操り、声を発した。
「毒は毒を以て制す……厄は厄を以て制す。」
その言葉が呟かれるとともに、どんどん魔法陣から黒い鎖が伸びて天使の体に巻き付いていく。
「災厄に飲まれて消えるがいい。」
「~~~っ!!」
その言葉を最後に天使は魔法陣の中へと引きずり込まれて消えた。
「っ!!天使である、うちに魔力で干渉した!?ありえねぇです……。」
自身には魔法が効かないと思い込んでいたらしい天使は、ルアによって強制的に移動させられたことに驚きの表情を浮かべた。
そんな天使とは対照的に、ルアはひどく落ちついていた。
(……どうしてだろう。お母さんとクロロさんを傷つけられて怒ってるはずなのに……何でボクはこんなに落ち着いていられるんだろう。)
まるで体が勝手に怒り等の雑念を心の奥底に押し込めているような……不思議な感覚。
そしてもう一つ……ルアには不可解なことがあった。
(それに……さっき体が勝手に魔法を使ったような……。ボク移動魔法なんて覚えてないのに……。)
そう、ルアは回復魔法の心得しかなかったはず。しかし、先ほどは習ってもいない移動魔法を瞬時に使ってみせた。
ルアが自分の体を不思議に思っていると……落ち着きを取り戻した天使は、ルアの事を睨み付けて舌打ちをする。
「チッ……予定変更するしかねぇです。こんな危険分子は生かしちゃおけねぇです。」
天使が天に手を翳すと、その手には光り輝く弓が握られていた。天使はその弓をルアに向かって構え、何も携えていない弦をギリギリと引き絞った。
そして……
「浄化しやがれです。」
その言葉とともに引き絞られた弦が手を離れ、ルアへと向かい、まるで光の光線のような矢が凄まじい速度で放たれた。
その時だった……。
『半歩右。』
「…………!!」
ルアの頭の中に突然聞いたこともない女性の声が響く。そしてルアが行動に移す前に、勝手に体が半歩右に動き天使の矢を紙一重で避けた。
標的のルアを捉えられなかった矢は、後方にあった大きな岩に巨大な風穴を開けて消え去った。
「なっ……避けた!?」
放った矢があっさりとかわされ、驚きの表情を浮かべる天使。
しかし、驚いているのは天使だけではなかった。
(今、確かに体が勝手に……。)
ルアも同様に、自分の体が勝手に動いたことに驚いていた。そんな時……再び頭に声が響く。
『次は自分で動け。妾の声に従ってな。』
(ま、また声がっ!?)
『返事はっ!!』
(は、はいっ!!)
驚く間もなく、ルアは頭に響く声に返事を強いられてしまった。
『次が来るぞ。構えろ。』
頭に響いた言葉の通り、天使は再びルアに向かって矢を放ってきた。それも一本ではなく何本も同時に。
(く、来るっ!!)
『焦るな。半歩左。』
頭の声の指示通りに体を半歩左にずらすと、一本目の矢が真横を通りすぎていく。
『次、正面に歩きながら首を右に傾けろ。』
今度は先ほどまでルアの顔があったところを矢が通り抜けていった。
『次、上に向かって軽く跳躍。』
言葉通りに軽く地面を蹴って宙へと飛び上がると、ルアの体の下を何本もの矢が通りすぎていく。
そしてすべての矢を避けきったかと思いきや、ルアの視線の先で天使が残酷な笑みを浮かべていた。
「かかりやがりましたねぇ~、全てはうちの狙い通り。空中じゃ身動きとれねぇですねぇ?」
飛び上がったルアへと向かって更に追加で正確無比な矢が放たれる。
(こ、これ……どうすればいいの!?)
『だから焦るなと言っている。魔力を足に集中、もう一度跳べ。』
ルアが足に魔力を集中させると、一瞬で体の魔力が足へと集中する。そしてもう一度空中を蹴ると……更に上空にルアの体が飛び上がった。
「バカなっ……ありえねぇですっ!!」
勝ちを確信していた天使は、ここに来て初めて驚きの表情とともに、明らかに焦りの色を浮かべていた。
地上から上空にいるルアの事を眺めている天使に向かって、頭の声が更なる指示を出す。
『人指し指と中指を立てて詠唱、招来……禍津火ノ神。』
「招来禍津火ノ神!!」
言われるがまま、ルアはその魔法を詠唱してしまった。それがどんな魔法なのかも知らずに……。
ルアが詠唱を終えると同時に、天使の足元に巨大な五芒星が描かれた魔法陣が出現する。
「これはっ!!不味っ…………」
ただならぬ気配を感じ、その場から逃げようとした天使だったが……。
魔法陣から現れた黒い鎖が彼女の体を絡めとった。
「っ!!ち、力が……抜けて…………」
そして五芒星の五つの先端に暗い色の炎が灯る。
すると、ルアの頭に話しかけていた声の主がルアの体を操り、声を発した。
「毒は毒を以て制す……厄は厄を以て制す。」
その言葉が呟かれるとともに、どんどん魔法陣から黒い鎖が伸びて天使の体に巻き付いていく。
「災厄に飲まれて消えるがいい。」
「~~~っ!!」
その言葉を最後に天使は魔法陣の中へと引きずり込まれて消えた。
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