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第一章 転生そして成長
第8話 残り香②
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クロロに手を引かれ、女性達の間を潜り抜けなんとかギルドへと着くことができたルア達は、早速今回討伐した魔物の報酬金を貰うことにした。
「あっ!!クロロさんにルアちゃん、お帰りなさい。」
ギルドの中へと入った二人を出迎えたのは、この町のギルドの看板娘である犬の獣人……メルルアだ。
茶色く艶のある髪の毛に、特徴的なぺたんと垂れた耳をしている彼女はどこかミニチュア・ダックスフンドを彷彿とさせる。
「たっだいま~、メル~今日はすごいの倒してきたよ~。」
「すごいのですか?今日はゴブリン10匹討伐の依頼だったと思ったんですけど……。」
「うん、だからまず先に~はいこれっ。」
首をかしげているメルルアにクロロは皮でできた袋を差し出した。
ちなみにあの袋の中にはゴブリンの右耳が入っている。いわゆる討伐の証しというものだ。たとえゴブリンを何百匹倒したとしても、この耳を剥ぎ取って来なければギルドは討伐を認めてくれない。
「はいはい、ゴブリンの右耳ですね~……ひぃふぅみぃ…………はいっ!確かにゴブリン10体の討伐を確認しました。報酬はこちらになります。」
ゴブリン右耳の数を数えて、確かに10匹の討伐を確認したメルルアは銀色に光る硬貨を10枚差し出してきた。
これはこの世界で使われている通貨で、銀貨というものだ。日本円に換算すると約千円程。この他にも銅貨や大銀貨、金貨、更に最も価値の高い白金貨……というものもある。
「確かに銀貨10枚受け取ったよ~。はいっこっちはルアちゃんの分ね。」
「あ、ありがとうございます。」
報酬の半分の5枚をルアはクロロから手渡される。これがいつもの取り分だ。
最初の頃はまったく活躍できていなかったのに、五割の報酬を渡されていたから戸惑っていたものの、最近はようやく戦闘に参加できるようになったから、その戸惑いも少なくなってきている。
「んでんでんで~、こっちが本命だ……よっと!!」
にししし……と笑みを浮かべながら、クロロはメルルアの前にパンパンにゴブリンの右耳が詰まった袋と、オーガの素材を置いた。
「これはっ……オーガですか!?それにこのゴブリンの耳の数はいったい……。」
「いやね~、ゴブリンが村作ってたんだよ~。そのリーダーがオーガだったってわけ。」
メルルアに、クロロはあのときの状況を説明する。すると、メルルアは納得したように頷いた。
「なるほど……そういうことでしたか。…………てか、ちょっと待ってください!?クロロさんどうやってオーガ倒したんですか!?」
納得したように頷いたのも束の間、メルルアは表情を変えてクロロに問いかけた。
「いやぁ~……ね。…………チラッ。」
苦笑いを浮かべ、頭の後ろに手を当てながらクロロはチラリとルアの方に視線を向けた。
メルルアもその視線を追って、ルアの方に視線を向けると、驚いた表情を浮かべてクロロの方へと詰め寄った。
「ま、まさかっ!!る、ルアちゃんがやったんですか!?」
「うん、そうみたい……。」
そして二人視線が一気にルアへと降り注ぐ。そんな最中、メルルアはルアに問いかけた。
「ルアちゃん魔法は使えましたっけ?」
「ううん……。」
ふるふるとルアは首を横に振った。
「で、ですよね……試験のときも使ってなかったもんね。じゃあいったい……どうやって…………。」
「それね~、私も意識飛んでたからわかんないんだけど~。どうにかして倒しちゃったみたい。」
「…………まぁいいですか。今は二人とも無事だったことに喜んでおきますっ!」
メルルアはそう割り切ると、報酬の話へと入った。
「えっと~ゴブリンがちょうど40匹と、オーガ1体、そしてもろもろの素材を合わせて……。」
メルルアは机の引き出しから算盤のようなものを取り出すとぱちぱちと計算を始め……それによって出た金額をルア達に伝えた。
「合計で金貨1枚と大銀貨8枚ってところでいかがですか?」
「にししし~♪それでい~よ~。」
「それでは確認をお願いします。」
そしてルア達の前に金色に輝く金貨1枚と、銀貨よりも一回り程大きな大銀貨が8枚並べられた。
「確かにもらったよ~。それじゃまた良さげなのあったら呼んでね~!!」
「うわぁっ!?」
クロロはルアの手をとると、すぐさまギルドをあとにした。その様子を見て、メルルアは軽くため息を吐いた。
「相変わらずあわただしい人ですね。……それにしても…………スンスン。」
メルルアは二人がいなくなったあと、軽く鼻を鳴らして辺りの匂いを確かめるように嗅いだ。
そして一人首をかしげる。
「…………??どうしてルアちゃんからこんなにオスの匂いが……。」
聴力よりもさらに発達した嗅覚器官で敏感にその匂いを感じ取ったメルルア。
そんな彼女の鼻からつつ~……と鼻血が垂れてきた。
「あ……ヤバ、なんかムラムラしてきた。」
そしてメルルアはギルドの看板をOPENからCLOSEDに裏返すと、ギルドの奥の部屋へと入っていった。彼女のその後を知るものはいない。
「あっ!!クロロさんにルアちゃん、お帰りなさい。」
ギルドの中へと入った二人を出迎えたのは、この町のギルドの看板娘である犬の獣人……メルルアだ。
茶色く艶のある髪の毛に、特徴的なぺたんと垂れた耳をしている彼女はどこかミニチュア・ダックスフンドを彷彿とさせる。
「たっだいま~、メル~今日はすごいの倒してきたよ~。」
「すごいのですか?今日はゴブリン10匹討伐の依頼だったと思ったんですけど……。」
「うん、だからまず先に~はいこれっ。」
首をかしげているメルルアにクロロは皮でできた袋を差し出した。
ちなみにあの袋の中にはゴブリンの右耳が入っている。いわゆる討伐の証しというものだ。たとえゴブリンを何百匹倒したとしても、この耳を剥ぎ取って来なければギルドは討伐を認めてくれない。
「はいはい、ゴブリンの右耳ですね~……ひぃふぅみぃ…………はいっ!確かにゴブリン10体の討伐を確認しました。報酬はこちらになります。」
ゴブリン右耳の数を数えて、確かに10匹の討伐を確認したメルルアは銀色に光る硬貨を10枚差し出してきた。
これはこの世界で使われている通貨で、銀貨というものだ。日本円に換算すると約千円程。この他にも銅貨や大銀貨、金貨、更に最も価値の高い白金貨……というものもある。
「確かに銀貨10枚受け取ったよ~。はいっこっちはルアちゃんの分ね。」
「あ、ありがとうございます。」
報酬の半分の5枚をルアはクロロから手渡される。これがいつもの取り分だ。
最初の頃はまったく活躍できていなかったのに、五割の報酬を渡されていたから戸惑っていたものの、最近はようやく戦闘に参加できるようになったから、その戸惑いも少なくなってきている。
「んでんでんで~、こっちが本命だ……よっと!!」
にししし……と笑みを浮かべながら、クロロはメルルアの前にパンパンにゴブリンの右耳が詰まった袋と、オーガの素材を置いた。
「これはっ……オーガですか!?それにこのゴブリンの耳の数はいったい……。」
「いやね~、ゴブリンが村作ってたんだよ~。そのリーダーがオーガだったってわけ。」
メルルアに、クロロはあのときの状況を説明する。すると、メルルアは納得したように頷いた。
「なるほど……そういうことでしたか。…………てか、ちょっと待ってください!?クロロさんどうやってオーガ倒したんですか!?」
納得したように頷いたのも束の間、メルルアは表情を変えてクロロに問いかけた。
「いやぁ~……ね。…………チラッ。」
苦笑いを浮かべ、頭の後ろに手を当てながらクロロはチラリとルアの方に視線を向けた。
メルルアもその視線を追って、ルアの方に視線を向けると、驚いた表情を浮かべてクロロの方へと詰め寄った。
「ま、まさかっ!!る、ルアちゃんがやったんですか!?」
「うん、そうみたい……。」
そして二人視線が一気にルアへと降り注ぐ。そんな最中、メルルアはルアに問いかけた。
「ルアちゃん魔法は使えましたっけ?」
「ううん……。」
ふるふるとルアは首を横に振った。
「で、ですよね……試験のときも使ってなかったもんね。じゃあいったい……どうやって…………。」
「それね~、私も意識飛んでたからわかんないんだけど~。どうにかして倒しちゃったみたい。」
「…………まぁいいですか。今は二人とも無事だったことに喜んでおきますっ!」
メルルアはそう割り切ると、報酬の話へと入った。
「えっと~ゴブリンがちょうど40匹と、オーガ1体、そしてもろもろの素材を合わせて……。」
メルルアは机の引き出しから算盤のようなものを取り出すとぱちぱちと計算を始め……それによって出た金額をルア達に伝えた。
「合計で金貨1枚と大銀貨8枚ってところでいかがですか?」
「にししし~♪それでい~よ~。」
「それでは確認をお願いします。」
そしてルア達の前に金色に輝く金貨1枚と、銀貨よりも一回り程大きな大銀貨が8枚並べられた。
「確かにもらったよ~。それじゃまた良さげなのあったら呼んでね~!!」
「うわぁっ!?」
クロロはルアの手をとると、すぐさまギルドをあとにした。その様子を見て、メルルアは軽くため息を吐いた。
「相変わらずあわただしい人ですね。……それにしても…………スンスン。」
メルルアは二人がいなくなったあと、軽く鼻を鳴らして辺りの匂いを確かめるように嗅いだ。
そして一人首をかしげる。
「…………??どうしてルアちゃんからこんなにオスの匂いが……。」
聴力よりもさらに発達した嗅覚器官で敏感にその匂いを感じ取ったメルルア。
そんな彼女の鼻からつつ~……と鼻血が垂れてきた。
「あ……ヤバ、なんかムラムラしてきた。」
そしてメルルアはギルドの看板をOPENからCLOSEDに裏返すと、ギルドの奥の部屋へと入っていった。彼女のその後を知るものはいない。
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