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二節 開花
4-2-4
しおりを挟むやることも特になく怠惰な日常を過ごしていたエリーのもとへ突然リースが訪れる。
「やぁ、エリーずいぶん暇そうじゃない?」
「ん~?そりゃあ暇にもなるぜ。最近吸血鬼どもも大人しくしてるみてぇだし、やることがねぇんだからよ。」
「んっふっふ~、その暇な時間も今日で終わりだよ。これを見たまえっ!」
そしてリースはパソコンの画面をエリーに見せる。その画面では何かの動画が再生待ちの状態になっている。
リースがマウスを操作してその動画の再生ボタンを押すと、動画が再生され始めた。
「ん?こいつは……日本の動画じゃねぇな。この特徴的なスーツ……ロシアンマフィアか?」
「そのとーり、これはつい先日起きたロシアンマフィアの抗争の現場を捉えた監視カメラの映像だよ。」
画面に映る2つのマフィアの組織は、激しい銃撃戦を繰り広げている。その最中、片方の組織から一人の男が銃弾飛び交うその場を堂々と体をさらけ出して歩き始めたのだ。
「なんだコイツ。」
当然何の遮蔽物もない場所を歩いていたその男は、すぐに体中を銃弾で貫かれてしまい仰向けに倒れ込んだ。
しかし、全身を銃で貫かれたのにもかかわらず男はゆっくりと立ち上がると、再び歩き始める。
「おいおい、コイツどうなってやがる。」
再び銃弾で貫かれるが、今度は倒れることなくゆっくりと歩いて、敵のマフィアの構成員たちの目の前まで歩み寄った。
その次の瞬間男は目の前にいた敵の構成員の顔面を鷲掴みにすると、すさまじい力で首を素手でもぎ取ってしまったのだ。そして続けざまに、周りにいた他の構成員たちを次々に撲殺していく。
ある者は顔面を殴られた瞬間に頭部がはじけ飛び、またある者は胸をパンチで貫かれて死んでいく。
あまりにも人間離れしている虐殺劇に、エリーはぽつりと言葉を漏らした。
「コイツ、吸血鬼か?」
「正直その可能性は高いよね。でも、吸血鬼特有の特殊能力を使っている描写がないんだ。」
「確かに……。見てる限りとんでもなく高い身体能力でゴリ押してる感じはするな。」
そして片方の構成員が皆殺しにされてしまうと、映像は終わった。
「ほんで、この映像でやべぇやつがいるってのはわかったが……こいつらがどうだってんだ?」
「実はこの尋常ではない力を持っている男が所属しているマフィアってのが、以前エリーが片付けてくれた半グレと繋がってたやつらなんだよ。」
「あ~、そういやそんな奴もいたなぁ。」
「でもって本題だけど、彼らがつい先日この日本に上陸したって情報を掴んだわけだよ。で、この映像に映ってた男も来てるっぽいんだ。」
「ロシアンマフィアがわざわざ日本にねぇ~……何を企んでんだか。」
「真の狙いはわからない。でも一応ツバキの旅館を狙ってた半グレと関りがあった組織だから、エリー達には彼らのことを調べてほしい。で、必要だったら排除してかまわない。」
「そういうことなら任しとけよ。メイと二人して退屈してたんだ、やってやるぜ。」
そしてすぐにもエリーとメイの二人は動き始めるのだった。
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