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第五章

レインガルーダの買取手

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 依頼書を眺めていると、ぐったりと疲れた様子のミースと、お金の入った袋を手にしてホクホク顔のウォータードラゴンがこちらに戻ってきた。

「お、お待たせしましたぁ……。」

「お疲れだったなミース。」

 ぐったりとミースはテーブルに伏した。

「大食い大会の賞金よりも多いですぅ~♪このお仕事楽で良いですねぇ。」

「ふ、普通の人なら最初からこんなに順調じゃないんですけど……ベールさんが特別なだけです。」

 あはは……と苦笑いを浮かべたミースは、チラリと後ろに山になっているレインガルーダに目を向けた。

「あれ、どうしましょう……。素材を引き取ってくれる所も、あんなに大量に渡されても困るでしょうし……。」

「あれ売らないとギルドの収益にならないんだろ?」

「そうですね、魔物の素材を売るのがギルドの収入源の一つなので……何とか売りきらないと。」

「ふむ、ならいい場所を知ってるぞ?」

「え、ホントですか?」

「あぁ、だがその前に……処理だけはしといたほうが良いかもな。あのレインガルーダ、俺が軽く処理してもいいか?」

「大丈夫ですけど……何をするんです?」

「血抜きをして、羽を毟るだけさ。酒場の厨房も借りるぞ。」

「あ、どうぞ使ってください。」

「ありがとう。」

 酒場の調理場を借りて、さっきやったレインガルーダの掃除を進めていく。羽は羽でまとめておけば、これも買い取ってくれるだろう。

 そして計60匹のレインガルーダの下処理を終えてから、それらを全てマジックバッグに突っ込んで、二人の元へ戻った。

「お待たせ。」

「あ、ヒイラギさんお疲れ様です。」

「おふぁえりなはいれふ~。」

 戻ってくると、二人はまたご飯を食べている最中だった。

「ウォー……コホン。ベール、口に食べ物を入れながら喋るんじゃない。行儀が悪いぞ。」

「んん……んぐっ、ぷはぁ~。これで良いですかぁ?」

「それで良い。それ食べ終わったら一回獣人族の国に行こう。」

「わかりましたぁ~。」

 いざ二人にスイッチが入ると、瞬く間に料理が卓上から消えてしまう。そして準備を整えたミースが、フンスと鼻から息を吐き出した。

「獣人族の国に行くのは初めてです!!」

「あれ、まだ行ったことなかったっけ?」

「最近あんまり暇がなくて……行きたいと思っててもなかなか。」

「そっか、じゃあ初めての向こうの国を楽しんだらいい。」

「でも、どうやって行きますか?ここからじゃ王都は遠いですし……。」

「それは、こうやって行くんだ。」

 俺は獣人族の国に繋がってる転送の結晶に魔力を込めた。
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