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第五章
人間の国へいざ出店
しおりを挟む三種族の面会から数週間後……いよいよ俺の会社の社員となったエルフ達に、他国での営業を始めることにした。
「うっ……これからアタシ達人間の国に行くんだな。」
「ユリさん、大丈夫ですよぉ~。今日はヒイラギ社長もついてきてくれますしぃ。」
「その通りだ。それに何かあったとしても、護衛がつくから大丈夫。」
「そ、それでも社長以外の人間に会うのは緊張するぞ。」
「まぁそれは慣れていくしかないな。無理そうだったらユリは獣人族の国を担当してもいいぞ。」
「い、いや!!何事も挑戦だ。頑張ってみる。」
ユリの決意が決まった所で、俺が先頭に立って人間の国へ繋がる秘密の抜け道へと向かい、魔法陣の描かれた大木の根本に立つ。
そして、魔法陣に手を触れて魔力を流し込んだ。
すると次の瞬間には、全員人間の国の王都の近くに転移してきていた。
「よし、みんないるな?」
一人ずつついてこれているか確認し、全員揃っていることを確かめてから、王都へと向かう。
関所に辿り着くと、そこにいた兵士がこちらにビシッと敬礼した。
「ヒイラギ様にエルフの皆様、ようこそいらっしゃいました!!」
前日に予めエートリヒに王都で商売をすることを伝えていたため、関所につくとすぐに護衛をしてくれる兵士達が集合した。
「場所は確保してありますので、どうぞこちらへ。」
兵士達に周りを囲まれながら、俺達は営業を許可された場所へと向かう。その道中、ユリとハリーノが緊張しながら辺りを見渡していた。
「に、人間がたくさんだ。」
「大丈夫だと思ってましたけどぉ……実際に囲まれてみるとなかなか緊張しますねぇ。」
緊張しているのは他の社員のエルフ達も同様で、数多い人間に圧倒されてしまっていた。
まぁ、100年も他種族との交流を絶ってきたのだから、これも当たり前。ゆっくりと慣れていくしかない。
「着きました。」
「ありがとう。助かったよ。」
案内してくれた兵士達にお礼を告げて、みんなに声をかける。
「さ、今日は初めての他国での営業だ。慣れない環境だから緊張するとは思うが、いつも通りやればそれでいいから。」
そしてみんなで屋台の準備を進めていると、徐々に緊張の糸が解れ始めている様子だった。これならきっと大丈夫。
いざ営業が始まれば、いつもと何ら変わらないってことが実感できると思うしな。
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