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第五章
荒稼ぎ
しおりを挟むスロットのようなものを3人でやり始めてから、約30分ほど経つと……俺達の背後には大量の金貨がぎっしりと詰められた箱が積み重なっていた。
「おぉ!!また揃ったのじゃ~。」
「私も揃いました♪」
俺の隣に座る二人は、またしても一番倍率の高い絵柄を揃えて、大量の金貨を獲得していた。
「な、なんか申し訳なくなるな……。」
この絵柄は一つ二つ……と揃えていくと、最後の三つ目の絵柄が超高速で変化して、最後を揃えるのがとても難しい……はずなのだが。
俺やレイにとっては、それもまるで止まって見えてしまう。故に100発100中の精度で、同じ絵柄を三つ揃えることができてしまうのだ。
ちなみにイリスはどうやって当てているのかというと……。
「ぽん、ぽん、ぽん♪」
何故か彼女の場合……適当に押しているのにも関わらず、三つ絵柄が揃ってしまう。こちらから見れば、まるで自分から絵柄が当たりに来ているようにも見えてしまうのだ。
「のぉ、主。これはいつ頃やめればよいのかの~?」
「まぁ程々で……。」
「ということはまだまだやっても良いのじゃな!!」
「あ、あぁ……。」
レイとイリスの二人はまだまだ遊び足りないらしい。俺は少し申し訳なくなってきたから、この辺で一度止めて、他のみんなの様子を見てこようかな。
「それじゃあ、俺は他のみんなの様子をみてくるよ。」
一度得た金貨を全てマジックバッグにしまってから、俺は他のみんなの様子を確認しに向かう。人の間を潜り抜けながら、ドーナ達を探していると……ディーラーと対面して座っているドーナたちの姿を発見した。
「あ…ぱぱ!」
「みんな調子はどうだ?」
「いやぁ……今日は予想がまったく当たんなくてねぇ。今んとこみんな負けちゃってるんだ。」
「ふむ。」
ドーナ達が遊んでいたのは、チンチロのサイコロがコインに変わった賭け事。コップの中に入っている三枚のコインが、表を向いているコインが多いか、それとも裏を向いているコインが多いかを予想する、極めて単純な賭け事だ。
ドーナがそれをやっているところを眺めていると、メリッサがあることを耳打ちしてきた。
「ぱぱ…あのにんげん…ずるしてるの。」
「なんだって?」
「ままの…よそうと…はんたい…でるように…してる。」
要するにイカサマをされて負けているというわけだ。
「どうしたら…いい?」
「メリッサ、そんなズルには、もっとズルいことをして対抗してやればいいんだ。」
自分がイカサマをしてるんだ、それならやり返されても文句はないだろう。
するとメリッサは何かを思いついたようで、俺からお小遣いとしてもらった白金貨をディーラーに差し出した。
「つぎは…わたし。おもてに…かける。」
白金貨を見ると、一瞬ディーラーの表情が綻んだ。そして流れるように、コインを三枚コップの中に入れた。
「では、参ります。」
シャカシャカとコップが振られ、勝ちを確信したディーラーがコップを開けると……。
「なっ!?」
「ふふ…わたしの…かち。」
三枚のコイン全てが、メリッサの予想通り表を向いていたのだ。どういう理屈なのか不思議に思っていると、コップからディーラーに見えないようにひょっこりと小さなハチが顔を出して、メリッサに敬礼していた。
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