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第四章
予想外の再会
しおりを挟むそして本棚をなぎ倒しながら現れたものを見て、思わず大きく目を見開いた。
「んなっ……クリスタルドラゴン?」
「なんだ、貴様こいつを知っているのか。もっと驚き恐怖すると思っていたんだがな。」
目の前に現れたのは、この前何処かに行ったっきり行方知れずだったクリスタルドラゴンだった。国王はクリスタルドラゴンに近付くと、その輝く鱗に手を当てて言った。
「大変だった……こいつを屈伏させるのは。だが今日ようやく完全に物にした。最後の最後まで抵抗してくれたおかげで、……ゴフッ!!私の命も残り僅かになってしまった。」
書庫の床に血を吐きながら忌々しそうに国王は言う。マーレを出発する最後の最後までお前が現れなかったのは、そういうことだったのか。すぐに解放してやるからな。ちょっとだけ待ってろよ。
キッと国王を睨み付けると、彼はニヤリと笑いクリスタルドラゴンに指示を出した。
「殺れ。」
国王の指示が出ると、クリスタルドラゴンは城全体を揺るがすような咆哮を上げ、その大きな口にブレスを溜め始めた。避ければバイル達が死ぬ。かといって受ければ大ダメージは間違いない。
俺は床を蹴りクリスタルドラゴンの口へ向かって跳んだ。
「フンッ!!」
そしてブレスを溜めていた口の下顎を思い切り蹴り上げる。前に戦ったときのように、ブレスがフェイントということはなく、閉じられた口のなかで溜めている途中だったブレスが爆ぜた。
「……やっぱり無傷か。」
やはりとんでもなく硬い。柔らかいと思っていた口の中でさえも火傷の痕ひとつない。
「無駄だッ!!クリスタルドラゴンの防御力はオリハルコンをも凌ぐ。一介の人間に傷つけられる代物ではない。」
勝ち誇ったかのように国王は笑う。確かにこいつの鱗はとんでもなく硬い。だがお前は知らないだろ?こいつは一度俺に敗北宣言をしていることをな。
「なぁ、思い出せよクリスタルドラゴン。そんな奴に完璧に操られるほど、お前は弱くないはずだ。」
再びブレスを吐こうと、口を開けたクリスタルドラゴンの目の前に飛びあがると、鼻先に手を置いた。
「ずっと言ってたよな。ちゃんとした名前が欲しいって。」
そう語りかけると、クリスタルドラゴンの動きがぴたりと止まる。
「ちゃんと考えたんだぞ?俺からお前に送る名前は……。」
語りかけていくと、クリスタルドラゴンの瞳から、ボロボロと大粒の涙が零れ落ちていく。
「レイだ。」
考えていた名前を伝えると、パキン……と彼女を縛り付けていたモノがはじけ飛ぶ。
「お……おぉっ!!主ぃぃぃっ!!感謝するのじゃああぁぁぁ!!」
興奮のあまり、俺をつぶしそうな勢いで抱きしめながら、尻尾を大きく振り上げたレイ。その直下には国王がいた。
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