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第四章
マーレの人達の署名
しおりを挟むそしてエートリヒとイリスとともに、バイル達を待つ間、軽くこれからの流れについて話し合うことにした。
「今日、戦争に反対の国民の署名が集まるが、これからはどうするのかね?」
「次は少し危険かもしれませんが、王都に行かないといけません。」
そう、次は国王にその署名を突きつける為に、王都に向かわなければならない。敵の本拠地に乗り込むという、かなりリスキーなことをしなければならないが、逆に考えれば王都の中ではあっちはそんなに激しい動きは見せられないはず。
洗脳していない国民に、その動きが見られては困るだろうからな。
「王都……か。いよいよここまできたな。」
「はい、ですが、王都では何が待ち受けているのか予想がつきません。最後まで油断はせず、堅実にいきましょう。」
「あぁ、わかっているよ。」
俺の言葉にコクリとエートリヒは頷く。彼も十分慎重派の人間だから、王都に行くことの危険性は理解しているのだろう。
「ちなみにどれぐらい署名が集まったかって聞いてますか?」
「いや、国全体のものは把握していないが……この街の人間は約9割以上が戦争に反対のようだ。」
おもむろに席を立ち上がったエートリヒは、机の引き出しから分厚い紙の束を取り出してテーブルの上に置いた。その紙一つ一つには、それぞれ違う人の名前が書いてある。
「まぁ、この街でこれだけの人数が反対の思想を持っているということは、他の街も同じような結果になると思うがね。」
「それを願うのみ……ですね。」
少なくとも国民の半数は、反対の署名が集まってほしい。でないと弱い。過半数が戦争に賛同しているとなれば、戦争を止める理由にはならないからな。
「それで王都にはいつ行くのかね?」
「早ければ明日……遅くても明後日にはここを発ちたいですね。」
国王の準備が整う前に王都には入りたい。話を聞く限り、ここからだと王都まで少し遠いらしいからな。
まぁ、いざとなればグレイスに飛んでもらうことも、選択肢の一つにはある。
そしてエートリヒと今後の予定について話し合っていると、屋敷の扉がコンコンとノックされた。どうやら重役達が到着したようだ。
さてさて、どれぐらい署名が集まったかな。
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