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第四章

つまみ食い

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 マーレでの用事を済ませ、俺達はハウスキットへと戻ってきていた。買い出しに行く前と変わらず、クリドラはラン達とじゃれ合っている。

「さて、今日は何を作ろうか。」

 いつもながら、みんなに何が食べたいのか問いかけたが、今回は俺のお任せがいいと言われてしまったからな。

「お任せか……。ん~……そういえば親子丼はやったけど、カツ丼はやってないな。」

 肉ならサラマンダーの肉が余ってるし、手軽に作れて美味しいから、今日はカツ丼にするか。

「じゃあまずは、玉ねぎとサラマンダーの肉をカットしないとな。」

 玉ねぎは少し厚めにスライスする。そしてサラマンダーの肉も厚めに切って塩、胡椒で下味をつける。

「そしたら肉にパン粉をつけてっと。」

 下味をつけた肉に小麦粉をまぶし、卵を絡ませパン粉をしっかりとつけていく。ちなみに、この工程を短縮したいのならば、小麦粉と卵を一緒に混ぜてもいい。玉にならないようにしっかりと混ぜれば大丈夫だ。

「後はこれを180℃の油で揚げる。」

 だいたいカツ丼用のカツを揚げるときの、目安の温度は170℃~180℃位。それ以下の温度だと、衣が油を吸ってぎとぎとになるし、かといってそれ以上だと焦げる。

「さて、この間にカツ丼の地を作るか。」

 鍋に水、醤油、味醂、酒、砂糖を入れて、少し甘めのカツ丼の出汁を作る。卵でとじるから少し味は濃いめでも問題ない。
 後は、軽くふつふつと沸いてきたら玉ねぎを入れて、しんなりとするまで軽く煮る。

「そしたら、しっかりと油を切ったカツを食べやすくカットして地の中に…………。」

 カツを切ろうとすると、何やら揚げ終わったカツの横でもぐもぐと口を動かしている、クリドラと目があった。

「食べたな?」

 そう問いかけると、ゴクン……と口の中のものを嚥下してから、しらを切るように言った。

「く、食ってないのじゃ~。」

「正直に言ったら、ご飯抜きにしないぞ?」

「食った!!」

 軽く揺さぶりをかけてやると、あっさり白状した……。

「うぅ……腹が減って仕方なかったのじゃ。すまぬ。」

 反省しているのか、少ししゅん……としながらクリドラは謝罪の言葉を述べる。まぁ、おかわりを想定して余分に揚げていたから1枚、2枚ぐらいつまみ食いされても問題はない。
 素直に謝れたことに免じて、今回は許してやろう。

「まぁ、今回は少し帰りが遅くなった俺にも非があるから、見なかったことにしておくよ。」

 そう言って、ポンポンとクリドラの頭を撫でてやると、彼女の顔が急に真っ赤に染まっていく……。

「つ、強いだけでなく、器も大きいのじゃ……。そしてこの抱擁力、お主はどこまでワシを虜にすれば気が済むんじゃ?」

 クリドラがそう言いながらモジモジしていると、また頭を鷲掴みにされた。

「こ~んなところにいたのね?ヒイラギの邪魔しちゃ駄目じゃない。」

「むぉっ!?お主…ラン、今良い雰囲気じゃったのじゃぞ!?」

「そんなの関係ないわ~、それじゃヒイラギ邪魔者は連れてくわね。」

「あ、あぁ……。」

 片手で軽々とランに持ち上げられ、クリドラは連行されていった……。

「……仕上げてしまおうか。」

 切り分けたカツを地に入れて、軽く沸かしたところに、溶き卵を回し入れて蓋をして少し蒸らせば……。

「よし、半熟だな。後はこいつをご飯の上に乗せれば半熟トロトロのカツ丼の完成だ。」

 後は味噌汁を盛り付けて、カツがしんなりとする前に皆のとこに持ってかないとな。急いで味噌汁を盛り付けて、お盆にカツ丼を乗せて皆のもとへと向かった。
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