609 / 1,052
第四章
雨模様
しおりを挟む夜が明けて、朝になった。しかしながら、外はあいにくの土砂降りの雨。今日は外に出るのは難しそうだな。
「そういえば、こっちに来て初めての雨だな。」
今までずっと天気がいい日が続いていたから、なかなか新鮮な光景だ。この世界は雪とかも降るのだろうか?もし降るならシア達が喜びそうだな。
「雨~!!お外であそべないぃ~。」
「たいくつ…あめ…きらい。」
シアとメリッサは、窓ガラス越しに外の様子を眺めて口々に言った。
「シア達退屈そうね?」
「あぁ、暇を潰せるようなものなかったかな……。」
なにかシア達が暇を潰せるようなものがないか、ハウスキットの中を探していると……。
「ん?これは……。」
開けた戸棚から出てきたのは、新品のトランプだった。確かこれは料理長が一時期マジックにハマったときに買ってた物だ。
「これならシア達が遊べるな。」
まさかこんなところで、これが役に立つ日が来るとはな。トランプを片手に、窓際でボーッと外を眺めているシア達のもとへと向かった。
そしてポンポンと二人の肩を優しく叩く。
「あっ!!お兄さん、どうしたの?」
「二人ともこれで遊ばないか?」
手に持っていたトランプを二人に見せた。
「ぱぱ…なに…それ?」
「これはな、トランプっていうカードだ。これを使えば、いろんな遊びができるんだぞ?」
「面白そう!!」
室内でもできる遊びに、二人は興味津々といった様子だ。
「あら、面白そうね?ワタシもま~ぜて?」
「アタイもまぜておくれよ。」
「ふふっ♪私もいれてくださ~いっ♪」
「ぼ、ボクもまぜてよ~!!」
ドーナ達も暇をもて余していたのか、輪にハマってきた。トランプは大勢でやった方が楽しいから、大歓迎だ。
「じゃあ一番簡単な、ババ抜きからやってみようか。」
「「「ば…ババ抜き!?」」」
「わ、ワタシまだまだそんな歳じゃないわよ!!」
「アタイだってまだ二十代だし……」
「うぅ、確かにこの中では一番年上かも知れないですけど……。」
「ぼ、ボクもおばあちゃんって歳じゃないよ!?」
「あぁ……いや、そっちのババじゃなくてな。」
ひどい勘違いをしている四人に、ババというのはどういう意味かというのを説明するついでに、みんなにこのババ抜きというゲームのルールを説明した。
すると四人はホッと胸を撫で下ろす。
「まぁ、このジョーカー……つまりババを最後まで持っていた人が負けっていうゲームだ。」
「お兄さん、早くやろう!!」
「はやく…やりたいっ!」
「ふふ……ドーナ、あなたには負けないわよ~!!」
「アタイだって負けないよ!!」
シア達に急かされながらみんなにカードを配る。そしてババ抜き第1回戦が始まった。
3
お気に入りに追加
635
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる