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第四章
激闘の末
しおりを挟む龍桜を使った直後、地面を蹴り、一気に距離を詰める。その最中フードの女はボソッと何かを呟いた。
「おぉ……そうきたか。」
魔力が弾けるバチバチという音にかき消され、何を言っていたのかは聞こえなかったが、今はそんなことを気にしてる場合ではない。
「ふッ!!」
一瞬で距離を詰め、フードの女に向かって拳を突きだした。その次の瞬間‥……。
「なッ!?」
俺の視界が突然反転する。大幅に上がった動体視力でも、何をされたのかわからない。相手が動く挙動さえも捉えることができなかった。
そして地面と激突する刹那体をひねり、受け身をとる。
「今の状況で受け身をとるか、反応は悪くない。」
舞い上がった砂ぼこりの中から、フードの女はしっかりと俺を見据えて言った。
「だが、それを使ってそんなものか?」
「っ!!どういう意味だ……。お前は、何を知ってる!?」
フードの女は、まるで俺の使っている技を知っているかのように言った。
「さぁな、知りたいことがあるなら私を倒して、無理矢理にでも吐かせればいいのではないか?」
「……望むところだ!!」
再び地面を蹴り、フードの女に向かい急接近する。そしてさっきと同じように拳を突きだした。
「同じ手は効かん。」
拳が届く刹那、俺は全神経を目に集中させる。すると、とてつもない速さでフードの女の手が、俺の拳に触れようとしているのが見えた。
「その言葉そっくりそのまま返すぞ。」
「ぐっ!!」
咄嗟にサンダーブレスを拳に纏わせると、俺の手に触れたフードの女の体に電流が流れ、苦悶の声を上げた。
フードの女は俺から距離をとるが、それも予想通りだ。とられた距離を一瞬で詰め、さっきのお返しとばかりに連撃を繰り出す。
俺の体に触れられないとわかったフードの女は、ひたすらに当たらないように避けていた。
「いやはや……雷の体に龍の体とは厄介だな。」
ポツリとそう呟くと、フードの女はポケットからハンカチを取り出して、俺の視界を塞ぐように投げつけてきた。
「ふん!!」
それを切り裂くと、フードの女は俺の視界を切った一瞬の間に、また距離を取っていた。
「こちらの戦いでは流石に劣るかな。どうも場数が違うようだ。」
ため息交じりにそう言いながら、フードの女は困ったように頭を掻いた。
「私も適応しなければならないようだ……って、ん?」
突然、フードの女へと向かって様々な属性の魔法が撃ち込まれた。そして向こうからドーナ達が走ってくるのが見える。
「ふむ、どうやら時間のようだな。もう少し……再会の感動を味わっていたかったが仕方ない。」
魔法によって巻き上がる砂埃の中で、フードの女は少し残念そうにそう呟く。
「またな。ヒイラギ。」
最後にそう言い残すと、フードの女は忽然と姿を消した。
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