転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

文字の大きさ
上 下
571 / 1,052
第四章

アドルフ・エートリヒ

しおりを挟む

 一服を終えた俺は、今回ドーナと共にオーナルフという人物に会うため、街へと駆り出してきていた。今回は危ないかもしれない……という理由でシア達はハウスキットでお留守番だ。

 ストックしてた料理をいくつか出してきたし、昼ご飯には困らないはずだ。

「関所の兵士が言うには、もうそろそろ着くって話だけど。」

「あの大きい屋敷じゃないか?」

 指差した方向には、明らかに他の住宅とは違う、豪華で大きな屋敷があった。

「あれっぽいねぇ~。」

「近くまで行ってみるか。」

 あそこがオーナルフという人物の屋敷と信じて、私とドーナは屋敷の方へと歩きだした。そして近くまで来たので門の前にある表札を見てみると……。

「確かにオーナルフって書いてあるな。」

 表札で確認しているとひとりでに門が開いた。突然のことで思わずビクッとなってしまう。

「入れってことか?」

「そうみたいだねぇ。」

 何が待っているかはわからない。一応最大限に警戒はしておかないとな。開かれた門をくぐり、中庭へと足を踏み入れる。

「手入れされてなさそうだな。雑草が生え放題だ。」

「これだけ大きな屋敷なのに、メイドを雇ったりしてないのかねぇ~。」

 これだけ広い屋敷を持ってるなら、メイドの一人ぐらい雇う金はあると思うんだが……。今のところ誰もこちらを出迎えてくれるような人物は現れない。そして中庭を抜けて屋敷の扉の前に立った。

「さて、いよいよか。ドーナ、何が待ってるかわからない。警戒はしておけよ?」

「わかってる。」

 警戒しながら扉を開ける。ギギギ……と重い音をたてて、少しずつ扉が開いている最中だった。

「っ!!」

 ヒュン……という風切り音と共に、俺に向かって矢が射られた。とっさに片手で矢を掴みとると、矢の先端からポタポタと液体が垂れている。

 無造作にポイッと矢を放り投げて、屋敷の中に入ると階段の上に一人の弓を構えた人物が見えた。

「今のを無力化するか、ただ者ではないなご客人。」

「あなたがオーナルフさん……ですか?」

「いかにも……と言いたいところだが、ご客人が用があるのはではないのかね?」

「えぇ、そうです。では改めて聞きましょうか?あなたがエートリヒさんで間違いありませんか?」

「あぁいかにも、私がエートリヒ……アドルフ・エートリヒだ。」

 ビンゴ……だが、俺にはもう一つ確認することがある。彼に悟られないように鑑定を使った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い異世界転生。何も成し遂げることなく35年……、ついに前世の年齢を超えた。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~

むらくも航
ファンタジー
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。 ☆10/25からは、毎日18時に更新予定!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

処理中です...