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第四章
我慢比べ
しおりを挟むシンに注がれた酒を口に含むと、強烈なアルコールが口いっぱいに広がった。しかしそのあとに、ほのかな甘味が口を落ち着かせる。
アルコール度数はかなり強いようだが、しっかりと美味しさも兼ね備えてる。
「っかぁ~……強いな。でも美味い。」
「フフフ、流石のヒイラギといえどこれは効くであろう?」
「あぁ、これは効くよ。それじゃあお返しに俺からも一献。」
お返しでシンの盃にトクトクとその酒を注いだ。シンの表情が少し引き攣り、手がプルプルと震えているが……まぁ気のせいだろう。
「ひ、ヒイラギよ。も、もうよいのではないか?」
「ん?まだまだ半分も注いでないぞ?なに…俺からの気持ちだ。たんと飲んでくれ。」
そして盃いっぱいに酒を注ぐ。
「わ、我も一国の王なれば…この程度ッ!!むんッ!!」
俺に負けじとシンもグイッと一気に注がれた酒を飲み干した。
「いい飲みっぷりだ。」
飲み終わったシンはうつむきながらもカンッ…と音を立てて盃をテーブルの上に置いた。
「むふぅ~、ふぅ~……。」
彼がうつむいていた顔を上げると、その顔は真っ赤になっていた。
「だ、大丈夫か?」
「き、効いた……だがッ!!ヒイラギが酔うまでは我も倒れるわけにはいかぬのだ!!」
そう言うと再びシンは俺の盃に酒を注いだ。しかし、注いでいる手はプルプルと震えていて、今にも溢しそうだ。
「さぁ、ヒイラギよ!!もう一献だ!!」
シンから盃を受け取り、それを俺は再び一気に飲み干す。
正直……もう慣れた。アルコール度数は高いものの普通に美味しいし……このぐらいなら何杯飲んでもつぶれることはないだろう。
そして飲み干した盃をそっとテーブルの上に置いた。
「な、なんともないのか?」
「このぐらいなら何ともないぞ?」
さて、今度はシンの盃に酒を注いで……ってあれ? 先程まで酒壷が置いてあった場所に酒壷が無い。どこに行ったのか、辺りを見渡してみると。
「さぁドーナ!!今日は飲むわよ~!!」
「ちょ、ちょっと注ぎ過ぎじゃないかい!?」
「ランさん私も欲しいです~。」
不味い……。そう思ったときにはすでに遅く、ラン、ドーナ、イリスの三人はグイッと酒を飲み干してしまっていた。
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