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第三章
ミクモと油揚げ
しおりを挟む「よし、そろそろだな。」
ザルを用意してそこに一気にうどんが入った鍋をあける。ここからはスピード勝負だ。うどんが伸びる前に急いで盛り付ける。
均等に器にうどんを入れて、そこに上から温めた甘汁をかける。その上に甘く煮付けた油揚げとシアたちに切ってもらったネギをトッピングして……。
「よし、これで完成だ。うどんは時間がたつと食感が悪くなるから早くみんなで食べよう。」
「それは困るわ!!早く食べましょ!!」
出来上がったキツネうどんを持って、ミクモたちが待つテーブル席へと向かった。さて、ミクモはどんな反応をしてくれるだろうか。
いざ彼女の前にキツネうどんを置いてみると……。
「これがキツネうどんか、なんともやさしい香りがするのぉ~。」
「口に合うかわからないが……まぁ食べてみてくれ。」
「お兄さん!!早くいただきますしよ?」
「そうだな。」
俺が手を合わせると、みんなも続いて手を合わせた。
「いただきます。」
「「「いただきます!!」」」
恒例のあいさつを終えてみんな食べ始める。勢いよく食べ始めた面々に呆気にとられていたミクモだが、彼女もみんなに続いて食べ始めた。
「妾も食べてみようかの。」
ミクモは箸が使えないため、フォークでうどんを絡めて口に運んだ。
「むっ、とても美味しいのじゃ!!」
「口に合ったようでよかったよ。その上にのってる油揚げも食べてみてくれ」
「この茶色い奴じゃな?どれ……。」
そしてミクモはついに目玉である油揚げをほおばった。味わうようにゆっくりと咀嚼し、ごくんと飲み込むと、彼女はカッと目を見開いた。
「お、おぉ……美味しいのじゃあぁぁぁぁぁ!!」
やはり伝承通り、キツネには油揚げ……ミクモも油揚げがとても口に合ったらしい。
「こんなに美味しいものは初めて食べたのじゃ!!もう一つ食べたいのぉ……。」
彼女は物欲しそうな目で俺の油揚げを見つめている。どうやらまだ食べたりない様子だ。
「そう言うと思ってな……。」
あらかじめ用意しておいた、山盛りにした大量の油揚げをミクモの前に差し出した。
「おぉ~っ!!こ、こんなにたくさん食べてもよいのか?」
「あぁ、たくさん食べていいぞ。これもお礼の内だ。」
「やったのじゃあぁぁぁぁぁ!!」
あっという間にうどんを完食すると、ミクモは山盛りに盛られた油揚げに飛びついた。
いい反応も見られたし、俺もうどんが伸びる前に食べようか。
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