転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

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第三章

まともじゃない三人

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 それから十分ほどすると二人は目を覚ました。

「あ、あれ?ここはどこ?」

「もしかしてアタイ、夢…見てたのかい」

 現実に引き戻された二人はがっくりとうなだれていた。どれだけ幸せな夢を見ていたんだか……。

「むっふっふ♪よっぽど夢の世界が心地よかったと見えるのぉ~。」

「って!!ミクモ!!」

「これもあんたの仕業かい!?」

 ガックリとうなだれていた二人を見て、クスクスとミクモは笑っていた。そしてそこで二人は初めてミクモの存在に気がつき、さっきの怒りが再び沸き上がってきたようだ。

「そうじゃ~?お主らの愛しの君を弄んでしまった罪滅ぼしにやったのじゃが……不満だったかの?」

「「むしろもう一回やってほしいわ!!」」

 二人は不満どころか大満足のようだな。これもミクモの作戦通りということなのだろうか?

「満足してくれたようでなによりじゃ。それよりも今は先に仕事を済ませてしまわんとのぉ~。」

 そしてミクモはガサゴソとカバンの中に手を入れて、綺麗に折り畳まれた袴と道着を俺に差し出した。

「ほれ、ご注文の品じゃ。妾の作ったものの中でも会心の出来じゃぞ!!」

「ありがとう。」

 ミクモから袴と道着を受け取って観察してみる。

(とても良くできている。あんなイラストだけでここまで再現するとは……感服した。)

「お主っ!!早う着てみるのじゃ!!妾はそれを羽織った者の姿が見たいのじゃ!!」

「そうだな、じゃあちょっと着替えてくるよ。」

「どこへ行く?ここで着替えれば良かろう?妾はそれをどういう風に着込むのかも気になるのじゃ!!」

「い、いや…流石にそれは少し恥ずかしい。それに男の着替えなんて見たって何の得にもならないだろ。」

 作ってくれたことに感謝はしているが、それとこれとはまた別の問題だ。

「何言ってるのよ!!ヒイラギの生着替えなんて、私ワタシ達にとっては得しかないじゃないの!!ねぇドーナ?」

「う…あ、アタイは……きょ、興味はある…ねぇ。」

 鼻息を荒くしながら答えるランに、少し恥じらいながらも興味を示すドーナ。……ダメだ、今ここに普通の大人なんていなかった。

「ほれほれ、早う脱ぐのじゃ!!そしてじっくりと妾に着付け方を見せてたも!!」

「大人しくしないとダメよ?」

「わ、悪いようにはしないから……。」

 三人はジリジリと俺の方に歩み寄ってくる。

(くっ、万事休すか……。)

 と、思いかけていたその時…ガチャリという音と共に医務室のドアが開いた。
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