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第三章
ドーナ&ランVSリリン
しおりを挟む陽が沈んで夜になると、リリンに訓練場に来るように催促された。ドーナとランの二人とともに訓練場に向かうと、そこにはすでにリリンとフレイ、ライラ…そしてシンが俺たちを待っていた。
「来たわね…。」
月明かりに照らされながらこちらを振り向いたリリンの手には、その体系に不釣り合いなサイズの真っ赤な大鎌が握られていた。
「さ、始めましょうか。まずはドーナたちからかかってきなさい。遊んであげるわ。」
「あら、ワタシ達は一人で十分ってわけ?」
「さぁ、どうかしら……捉え方はあなたたちに任せるわ。」
「ずいぶん余裕じゃないか。余裕こいて吠え面かいても知らないよ。」
そしてドーナとランはリリンに向かって構える。二人の成長は、カオスドラゴンを倒したという結果だけしか俺も見ていない。
彼女たちの今の実力が、いったいどれほどのものなのか…きっとここで確認できることだろう。
「行くよっ!!」
まず飛び出したのはドーナだった。以前俺に見せた瞬きをした瞬間の加速とは違い、彼女がリリンに接近するのに使ったのは縮地…。
「あら、なかなか速いじゃない。」
「はぁっ!!」
縮地で一気に距離を詰めてから、彼女の得意な拳でのインファイトに持ち込んだ。
「悪くない攻撃よ。ま、当たってあげるつもりもないけれど。」
「当たらなくたって構わないさ。」
インファイトでさんざん拳での攻撃に意識を向けさせたドーナは、不意にリリンの足を払う。
「あらっ?」
「ずいぶん体勢が悪そうだねぇ……貰っときな!!」
リリンの倒れる方向に合わせての打突……これはかなり良い。ここまでの状況を作る流れも完璧だ。
しかし、リリンに拳が当たる直前…彼女の体が空中で急加速しドーナの攻撃から抜け出した。
「ちっ、完璧だったと思ったんだけどねぇ。」
「私に翼があることを忘れてもらっては困るわ。」
勝ち誇ったリリンの眼前に今度はランが迫る。
「ワタシがいることも忘れてもらっちゃ困るわ!!」
「フフフ、ちゃんと構ってあげるわよ。」
ランもドーナと同じく接近戦をリリンに仕掛けていくが、彼女はドーナとは違い魔法を織り交ぜながらのスタイルだ。
「う~ん、ドーナとはまた違う戦い方……いいわね。」
二人とも違う派生をした戦闘スタイルを楽しんでいるリリン。余裕を崩さない彼女に、ランが仕掛ける。
「フロストリング。」
ランが魔法を使うと、彼女の足元がパキパキとあっという間に凍り付いていく。
「はぁぁっ!!」
その凍った地面を勢い良くランが踏み抜くと、氷が宙に舞う。
「行くわよドーナ!!」
その掛け声と同時にランは宙に舞った氷をすべて粉々に破壊する。すると一瞬だが、リリンの視界が一瞬奪われた。
そこに飛び込んでくるのはドーナ。
「貰ったよ!!」
死角からの避けようがない完璧な一撃。それをサポートするようにランはリリンに正面から飛び込んでいた。
二人の攻撃がリリンに届く直前…彼女はクスリと笑う。
「ま、一先ずは合格ね。」
そして次の瞬間……キラリと赤い閃光が走り、ドーナとランの二人は前のめりに倒れ込んだ。
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