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第三章

希少な魔物たち

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 頑丈な扉をくぐり中へ入ると早速魔物の剥製が俺たちを出迎えた。その剝製の前に立つと、この魔物について説明が始まった。

「この魔物はウデアという魔物で、迷いの森の最奥に生息しています。長い年月を生きる魔物のため体表に苔やキノコなどが生えている個体がほとんどです。肝心の肉の方ですが…柔らかく臭みがないのが特徴で、とても美味でございます。」

 間近で見ると剥製なのにまるで生きているかのような生命力を感じる。それに体表に生えているキノコや苔も干からびたり枯れている様子はない。
 むしろ生き生きとしているようにも見える。

「こちらの魔物も美味しいことには間違いないのですが、お求めの最高のモノではございません。」

 カツカツ…と足音を鳴らしながら奥へと進む獣人の後へついていくと……。

「こちらの魔物が現在ある品物の中で最も美味しい魔物でございます。」

「これは…羊?」

 そう、彼が案内してくれた最も美味しいという魔物の剥製は、毛皮がモコモコの羊なのだ。いったいこいつのどこが珍しいというのだろうか。

 そう疑問に思っていると、こちらの考えを読んだのか彼は続けて説明を始める。
 
「今、勇者様はこの魔物のどこが珍しいのか気になっておいでですね?確かに一見ただの羊にしか見えませんが、この魔物の名前は。悪夢を再現する魔物なんです。」

「悪夢を…再現?」

「はい、この魔物は自分を狩ろうとした狩人の悪夢を読み取って、それを再現する…。そしてその悪夢が恐ろしければ恐ろしいほど、味が美味しくなるというかなり特殊な魔物でございます。」

 こいつ可愛い顔してかなりえげつない事をするんだな。

 それにしても悪夢を再現…か。俺の場合は間違いなくが出てくるんだろうな。

「私共ではナイトメアシープは味によって段階評価をつけておりまして、最高評価は5…そして今ここで保存しておりますナイトメアシープの肉は、評価4となっております。」

 なるほど、美味しさによって段階分けしてるのか。日本で言う牛のランクみたいなものだろうな。 最高レベルが無いのは残念だが、まぁ希少性が高いから仕方ないのだろう。

「そうか…。それで、も含めて最も美味しい魔物はどれなんだ?」

「やはり気になりますか?」

「あんだけ含みがある言い方をされたら、気になって仕方なくなるだろ?」

 まぁ恐らくはわざとそういう言い方をして興味を引いていたのだろうがな。

「そうでございますね、それではご案内いたしましょう。こちらです。」

 案内された先には更に厳重な扉があった。それほどまでに貴重なものなのか?

「こちらに保存しております剥製は、国宝級のものでございます故……お気を付けください。」

 彼はガチン…と重厚な扉の鍵を解錠し中へと招き入れてくれた。

 剥製でも国宝級のものか……いったい何が出てくるやら。
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