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第三章
ロクロ山の魔物
しおりを挟む王都の門を出た俺たちは、ひたすらロクロ山を目指して走っていた。
「このスピードならすぐ着くな。」
走るスピードはもう車をはるかに超えている。これで日本に戻れたら、オリンピックに出られるな。
そんなことを考えていると。隣を並走しているドーナが前方を指さした。
「山の麓が見えてきたよ!!」
良く目を凝らしてみると、地面の土の色が変わっているのがわかる。その土の色が変わっている地点で一度足を止めると、周りを観察した。
「ここから木が生えてないんだな。」
「ゴツゴツした岩もその辺にゴロゴロ転がってるよ。」
「神剛石見つかるといいな。」
「そうだねぇ……。」
期待を胸に、ロクロ山を登り始める。すると登り始めてすぐに魔物と邂逅することができた。
「お?あの魔物背中に石くっついてないか?」
俺は眼の目に現れた一匹の魔物を指さした。眼前には、背中にゴツゴツとした岩をくっつけている大きなトカゲがいたのだ。
「あれはロックリザードだね。アタイ達の住んでる国じゃあまり見ることはない魔物だけど、こっちには普通にいるみたいだね。」
やっぱり国が違えば魔物の生態系も違うらしいな。
「多分アイツが鉱石をくっつけてるトカゲの魔物だよな。」
取りあえず一匹討伐してみるか。俺はロックリザードへ向かって足を踏み出す。
周りがゴツゴツとした岩場のため足場が悪い。躓いたり踏み外したりしないように気を付けないとな。
そしてロックリザードは近付いてくる俺を敵と認識したらしく、鳴き声を出して威嚇し始めた。
「グエェェェ!!」
「さて、お前は何の鉱石をくっつけてるのかな?」
少しワクワクしながら、慣れ親しんだ構えをとった。するとロックリザードは自分の尻尾を口に咥えて丸くなり、こちらに向かって転がりながら体当たりしてきたのだ。
「おっと!!」
半歩横に移動し体当たりを躱すと、ロックリザードは勢いそのまま山の麓の方へと転がっていってしまった。
「えぇ~?」
「行っちゃったねぇ。」
まさか自分で自分の転がるスピードを制御できていなかったとは…盲点だった。次は気を付けよう。
彼方まで転がっていってしまったロックリザードを、遠い目で見ながら俺達はロクロ山の上を目指すのだった。
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