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第三章
シンのカリスマ
しおりを挟むシンに連れられ俺達三人は、先程まで共に戦っていた獣人族の兵士達に顔を見せることになった。ベルグにも同じ事をしてもらったが、大勢の前で注目されるのはなかなか恥ずかしいものだ。
そしてシンと並んで整列した兵士達の前に立った。今のところ兵士達は緊張のためか、顔が強張っており表情から感情を読み取ることができない。
「皆、先程はご苦労だった。」
まずシンは兵士達の戦いの苦労を労った。
「我らが軍は大勝……そして犠牲も一人も出ていないとの報告があった。」
その言葉に兵士達がざわざわとし始め、強張っていた顔が少し解れてきている。
「我も皆が一人も欠けずに戻って来たことには、喜びを隠せん。この結果を導いたのは皆の努力に他ならない……誠に大義だった。」
その言葉に兵士達は喜び、シンへ歓声をあげるものもいた。
「しかし、先の戦いでは皆の他にも種族の枠を越えて我らを助けたもの達がいる……それが我の隣にいるこの三人だ!!」
この時俺はベルグの時のように静まり返り、嫌な雰囲気になるのではないかと思っていた。が、予想とは裏腹に大きな歓声に包まれた。予想外の出来事に唖然とする中でシンは続ける。
「しかもこの三人はこの戦いだけに留まらず、ベルグ達が戦っていた最前線での戦いでも大きな功績を残している。故に我はこの三人の功績を大きく称え人間の勇者として我が国に暖かく迎え入れようと思う!!反対するものは挙手せよ!!」
その言葉に挙手をするものは誰もいなかった。代わりにさらに大きな歓声が兵士達から上がった。兵士達の様子にシンは満足したようで、こちらにニッと笑いかけてきた。
「な?大丈夫だったろう?」
「シンさんの王としてのカリスマ性には心底驚きましたよ。」
本当にこの人は凄い。兵士達を引き込むカリスマ性といい何といい、人々を束ねることに必要なものが備わっている。
「まだ驚くには早い、ここからが本番だ。」
そうこちらに告げたシンは、更に兵士達に衝撃的な事を言い始めた。
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