216 / 1,052
第三章
空駆けるグレイス
しおりを挟む
グレイスside
ヒイラギ達が入ったバッグを落とさないように首にかけると、グレイスは空を見上げた。
「これで大丈夫っすね、それじゃっ……。」
大空へ向け翼を大きく羽ばたかせた。一つ二つと羽ばたく度にグレイスの体が空へと浮き上がった。
「高さはこんなもんっすかね~。」
雲のすぐ下ぐらいまで高度をあげたグレイスはそう言った。
「確かあっちの方って言ってたっすね、風は……向かい風。」
追い風ならば風にのって加速することができるので最高速を手っ取り早く出せるのだが、残念ながら今は向かい風…流れに乗ることはできない。
「うーんヒイラギさんに全力でって言われてるっすからね~。」
グレイスは魔力を練り上げ、ある魔法を使った。
「ブリーズ」
この魔法は風魔法の初歩的な魔法である。自身の周りにそよ風を起こす魔法だが、練度が高まると風の向き、強さ等も自由自在に変えることができる魔法だ。
「これで大丈夫っすね。じゃあ飛ばすっすよ!!」
ブリーズによって風は常に追い風になったことで、グレイスは一気に加速する。飛び始めて三分程で最高速に達した。
今のグレイスに出せる限界のスピード、音速に近い速度だ。
「なんか見えるっすね~、邪魔なのがいるっす。」
飛んでいると前方に行く手を遮るように鳥の魔物が群れで現れた。ギャアギャアとこちらを威嚇している。
しかし、グレイスはスピードを落とさない。むしろ突っ込む勢いで飛んだ。
「雑魚は引っ込んでろっす!!」
再びグレイスは魔力を練り上げる。先程のブリーズとは比べ物にならないほどの高密度の魔力…。
「ソニックブラスト!!」
そして、グレイスは翼の羽ばたきから生まれた音速の風の刃を鳥の魔物の群れへ放った。風の刃は何匹か鳥の魔物を切り裂き通過していく。
風の刃で倒せた魔物は少ないがグレイスの狙いは別にあった。
音速の風の刃が通りすぎた直後、鳥の魔物達が音の衝撃波で次々に落ちていった。ソニックブーム…音速を越えた物体が生み出す大音響だ。
その衝撃波は少し離れた窓ガラス程度であれば簡単に砕くという。もしそれを間近で食らえばどうなるか。
鼓膜が破れ、三半規管はボロボロになり下手をすれば爆ぜる。戦闘機がソニックブームの衝撃に耐えきれずバラバラになったという事例も少なくはない。
それほどの衝撃なのだ。
落ちていった魔物達を見下しながらグレイスが悠々とそこを通りすぎる。
「こんなんじゃ足止めにもならないっすよ。」
魔物の妨害を退け、グレイスは先を急ぐのだった。
ヒイラギ達が入ったバッグを落とさないように首にかけると、グレイスは空を見上げた。
「これで大丈夫っすね、それじゃっ……。」
大空へ向け翼を大きく羽ばたかせた。一つ二つと羽ばたく度にグレイスの体が空へと浮き上がった。
「高さはこんなもんっすかね~。」
雲のすぐ下ぐらいまで高度をあげたグレイスはそう言った。
「確かあっちの方って言ってたっすね、風は……向かい風。」
追い風ならば風にのって加速することができるので最高速を手っ取り早く出せるのだが、残念ながら今は向かい風…流れに乗ることはできない。
「うーんヒイラギさんに全力でって言われてるっすからね~。」
グレイスは魔力を練り上げ、ある魔法を使った。
「ブリーズ」
この魔法は風魔法の初歩的な魔法である。自身の周りにそよ風を起こす魔法だが、練度が高まると風の向き、強さ等も自由自在に変えることができる魔法だ。
「これで大丈夫っすね。じゃあ飛ばすっすよ!!」
ブリーズによって風は常に追い風になったことで、グレイスは一気に加速する。飛び始めて三分程で最高速に達した。
今のグレイスに出せる限界のスピード、音速に近い速度だ。
「なんか見えるっすね~、邪魔なのがいるっす。」
飛んでいると前方に行く手を遮るように鳥の魔物が群れで現れた。ギャアギャアとこちらを威嚇している。
しかし、グレイスはスピードを落とさない。むしろ突っ込む勢いで飛んだ。
「雑魚は引っ込んでろっす!!」
再びグレイスは魔力を練り上げる。先程のブリーズとは比べ物にならないほどの高密度の魔力…。
「ソニックブラスト!!」
そして、グレイスは翼の羽ばたきから生まれた音速の風の刃を鳥の魔物の群れへ放った。風の刃は何匹か鳥の魔物を切り裂き通過していく。
風の刃で倒せた魔物は少ないがグレイスの狙いは別にあった。
音速の風の刃が通りすぎた直後、鳥の魔物達が音の衝撃波で次々に落ちていった。ソニックブーム…音速を越えた物体が生み出す大音響だ。
その衝撃波は少し離れた窓ガラス程度であれば簡単に砕くという。もしそれを間近で食らえばどうなるか。
鼓膜が破れ、三半規管はボロボロになり下手をすれば爆ぜる。戦闘機がソニックブームの衝撃に耐えきれずバラバラになったという事例も少なくはない。
それほどの衝撃なのだ。
落ちていった魔物達を見下しながらグレイスが悠々とそこを通りすぎる。
「こんなんじゃ足止めにもならないっすよ。」
魔物の妨害を退け、グレイスは先を急ぐのだった。
70
お気に入りに追加
635
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる