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第ニ章
実食ソードフィッシュ!!
しおりを挟む出来上がった天丼をみんなが待っているテーブルへと運んだ。
「お待たせしました。」
「いえいえ!!とんでもない。」
「お口に合うかわかりませんが……どうぞ。」
ミルタさんには、スプーンとフォークを付けて天丼を提供した。すると彼は興味深そうに天丼を眺め始めた。
「これは、見たことがない料理ですね。」
「野菜と魚に衣をまとわせて揚げたものをご飯の上にのせた天丼という料理です。ぜひご飯と一緒に食べてみてください。」
「ヒイラギの料理はとんでもなく美味しいから、ミルタもビックリすると思うよ?」
「ドーナさんがそう言うのであれば間違いないのでしょうな。」
料理の説明をしながら、みんなの前にも天丼を配膳していく。
「夜ごはんも美味しそうっす~。」
よだれを垂らしそうになりながら、グレイスがパタパタと翼をはばたかせ席に着いた。
「む!?ワイバーンを飼っているのですか!?」
「これはあの……なんと言いますか、あまり深く聞かないでいただけると助かります。」
「承知いたしました。私とした事が少し興奮してしまいました。申し訳ない。」
「いえ、大丈夫です。それでは食べましょうか。」
俺も席につき手を合わせた。
「「「「「いただきます!!」」」」」
いつもの食前のあいさつをしてから、みんなは食べ始めた。それを少し眺めた後、ミルタさんも食べ始めた。
「それではありがたく、いただきます。」
そして彼はさっそく、ソードフィッシュの天ぷらとご飯を一緒に口に運んだ。すると、カッと目を見開いて食レポを始めた。
「これは美味しいですな!!このサクサクとした衣が甘しょっぱい汁を吸って、このご飯でしたかな?これによく合いますな!!」
「口にあったようで何よりです。」
「口に合ったどころの話ではございませんぞ!!王族の晩餐会で出る料理よりもこれは……。」
天丼の味をべた褒めしながらミルタさんは、無我夢中といった様子で食べている。
改めてみんなのほうに目を向けると、みんなは彼以上に天丼にがっついていた。
「このおさかなふわふわ~♪美味しい~!!」
「お昼に頑張った甲斐があったってものね~。」
「こいつはまたご飯が止まらないよ!!」
「自分今まであんまり草は食べなかったっすけど、この草は美味しいっす~♪」
グレイス……それは草じゃなくて野菜だ。まぁ、ワイバーンからしたら野菜も草と同じ……なのかもしれない。
こうしてミルタさんを交えた夕食は、順調に進んだ。
そして夕食を食べ終えた後、彼と明日のことについて話し合うことにした。
「ミルタさんはシュベールを目指しているんですよね?」
「えぇ、そうですね。できればご一緒させていただけると助かるんですが……。」
まぁそれくらいならいいだろう。ここで恩を売っておけば、後々助けになってくれるかもしれないしな。
「いいですよ、自分達も目指すところはシュベールなので一緒に行きましょう。」
「ありがとうございます。この恩は必ずお返しさせていただきます!!」
「そんなに気にしなくても大丈夫ですよ。あ、そういえば申し遅れましたが自分はヒイラギと言います、よろしくお願いします。」
「ヒイラギさん……覚えましたぞ。こちらこそよろしくお願い致します。」
こうしてミルタさんとともに明日、シュベールを目指すことが決定した。
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