転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

文字の大きさ
上 下
88 / 1,052
第ニ章

実食ソードフィッシュ!!

しおりを挟む

 出来上がった天丼をみんなが待っているテーブルへと運んだ。

「お待たせしました。」

「いえいえ!!とんでもない。」

「お口に合うかわかりませんが……どうぞ。」

 ミルタさんには、スプーンとフォークを付けて天丼を提供した。すると彼は興味深そうに天丼を眺め始めた。

「これは、見たことがない料理ですね。」

「野菜と魚に衣をまとわせて揚げたものをご飯の上にのせたという料理です。ぜひご飯と一緒に食べてみてください。」

「ヒイラギの料理はとんでもなく美味しいから、ミルタもビックリすると思うよ?」

「ドーナさんがそう言うのであれば間違いないのでしょうな。」

 料理の説明をしながら、みんなの前にも天丼を配膳していく。

「夜ごはんも美味しそうっす~。」

 よだれを垂らしそうになりながら、グレイスがパタパタと翼をはばたかせ席に着いた。

「む!?ワイバーンを飼っているのですか!?」

「これはあの……なんと言いますか、あまり深く聞かないでいただけると助かります。」

「承知いたしました。私とした事が少し興奮してしまいました。申し訳ない。」

「いえ、大丈夫です。それでは食べましょうか。」

 俺も席につき手を合わせた。

「「「「「いただきます!!」」」」」

 いつもの食前のあいさつをしてから、みんなは食べ始めた。それを少し眺めた後、ミルタさんも食べ始めた。

「それではありがたく、いただきます。」

 そして彼はさっそく、ソードフィッシュの天ぷらとご飯を一緒に口に運んだ。すると、カッと目を見開いて食レポを始めた。

「これは美味しいですな!!このサクサクとした衣が甘しょっぱい汁を吸って、このご飯でしたかな?これによく合いますな!!」

「口にあったようで何よりです。」

「口に合ったどころの話ではございませんぞ!!王族の晩餐会で出る料理よりもこれは……。」

 天丼の味をべた褒めしながらミルタさんは、無我夢中といった様子で食べている。

 改めてみんなのほうに目を向けると、みんなは彼以上に天丼にがっついていた。

「このおさかなふわふわ~♪美味しい~!!」

「お昼に頑張った甲斐があったってものね~。」

「こいつはまたご飯が止まらないよ!!」

「自分今まであんまり草は食べなかったっすけど、この草は美味しいっす~♪」

 グレイス……それは草じゃなくて野菜だ。まぁ、ワイバーンからしたら野菜も草と同じ……なのかもしれない。

 こうしてミルタさんを交えた夕食は、順調に進んだ。

 そして夕食を食べ終えた後、彼と明日のことについて話し合うことにした。

「ミルタさんはシュベールを目指しているんですよね?」

「えぇ、そうですね。できればご一緒させていただけると助かるんですが……。」

 まぁそれくらいならいいだろう。ここで恩を売っておけば、後々助けになってくれるかもしれないしな。

「いいですよ、自分達も目指すところはシュベールなので一緒に行きましょう。」

「ありがとうございます。この恩は必ずお返しさせていただきます!!」

「そんなに気にしなくても大丈夫ですよ。あ、そういえば申し遅れましたが自分はヒイラギと言います、よろしくお願いします。」

「ヒイラギさん……覚えましたぞ。こちらこそよろしくお願い致します。」

 こうしてミルタさんとともに明日、シュベールを目指すことが決定した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~

むらくも航
ファンタジー
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。 ☆10/25からは、毎日18時に更新予定!

処理中です...