80 / 1,052
第ニ章
川の畔でひと休み
しおりを挟む盗賊達を始末して先へと進んだ。道を進んでいる途中、馬車からひょっこりとシアが顔を出して話しかけてきた。
「お兄さんつらそう……大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。それより、さっき怖くなかったか?」
「ううん!!お兄さんが守ってくれたから大丈夫!!」
「そうか。」
満面の笑顔のシアの頭を撫でた。これだけでだいぶ癒される。
しかし、人を殺すのは後からじわじわ来るものがある。気を強く持たないと、この負の感情に呑み込まれそうだ。
それからは特に何事もなく、進むこと2時間程で川を見つけることができた。ここなら少し休憩してもよさそうだ。
「グレイス、そろそろ休憩しよう。」
「えっ!?自分まだまだ大丈夫っすよ?」
「いや、休憩はできるときにしておかないとな。この先休憩できる場所があるかわからないんだし。」
いくらグレイスが疲れていないとはいえ。この先こういう場所があるかわからない。休めるときには休めばいいのだ。
「そういうことなら、わかったっす。」
馬車を止めグレイスの装備をはずした。
「わーい♪冷たいお水!!」
シアが川に足をいれバシャバシャと遊んでいる。
「あら、いいわね。ワタシも水浴びしようかしら。」
ランも川に入ると翼を生やして水をかけたりしている。
「アタイも足だけ浸けようかねぇ~……ってつめたっ!!」
ドーナは岸に座り足だけを川に入れていた。
一方グレイスはというと……。
「とれたっす~!!」
前足で器用に泳いでいる魚を川岸にうちあげていた。
うん、熊かな?
「ふわぁぁ、グレイス凄い!!」
その光景にシアが目を輝かせている。
「シアもやる!!…………えいっ!!やったぁ~お兄さん取れた!!」
狙いすまして川の中に手を突っ込んだシアの両手には、大きな魚が捕まえられていて、ビチビチと激しく暴れていた。
「わっわっ!!あ、暴れにゃいで、ふにゃあ!!」
そして、無情にもつるんとシアの両手から魚が逃げてしまう。
「おさかな逃げちゃった。」
「シア、魚を持つときはな?魚の顔の脇にあるエラに手をいれると逃げないぞ?」
「そうなの!?わかった、もう一回やってみる!!」
するとシアはまた水面とにらめっこを始めた。
「あら?面白そうね。ねぇドーナ、ワタシとどっちが多く魚を取れるか勝負しない?」
「暇つぶしにはちょうどいいねぇ、やってみるかい。」
また二人はここでも勝負をするようだ。休憩のはずだが……まぁ、楽しんでいるからいいか。
152
お気に入りに追加
633
あなたにおすすめの小説
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
ステータス999でカンスト最強転移したけどHP10と最低ダメージ保障1の世界でスローライフが送れません!
矢立まほろ
ファンタジー
大学を卒業してサラリーマンとして働いていた田口エイタ。
彼は来る日も来る日も仕事仕事仕事と、社蓄人生真っ只中の自分に辟易していた。
そんな時、不慮の事故に巻き込まれてしまう。
目を覚ますとそこはまったく知らない異世界だった。
転生と同時に手に入れた最強のステータス。雑魚敵を圧倒的力で葬りさるその強力さに感動し、近頃流行の『異世界でスローライフ生活』を送れるものと思っていたエイタ。
しかし、そこには大きな罠が隠されていた。
ステータスは最強だが、HP上限はまさかのたった10。
それなのに、どんな攻撃を受けてもダメージの最低保証は1。
どれだけ最強でも、たった十回殴られただけで死ぬ謎のハードモードな世界であることが発覚する。おまけに、自分の命を狙ってくる少女まで現れて――。
それでも最強ステータスを活かして念願のスローライフ生活を送りたいエイタ。
果たして彼は、右も左もわからない異世界で、夢をかなえることができるのか。
可能な限りシリアスを排除した超コメディ異世界転移生活、はじまります。
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~
アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活
ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。
「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。
現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。
ゆっくり更新です。はじめての投稿です。
誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる