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第一章
オムライス
しおりを挟む出来立てのオムライスを持って、シアがいるテーブルへ向かった。
「シア朝ごはんだぞ~。」
「ふわ……とってもいい匂い~。」
「今日の朝ご飯はオムライスだ。こっちのケチャップかデミグラスソースで食べてくれ。」
「うん!!お兄さんありがとう。」
「シアは何か飲むか?」
「昨日のがいい!!」
「わかった、今持ってくるからな。」
冷蔵庫からオレンジジュースを取り出しグラスに注ぐ。それと同時にコーヒーメーカーにスイッチを入れ、自分用のコーヒーも淹れる。
「ほい、オレンジジュース。」
「ありがとう!!」
「それじゃあ食べよう。」
「「いただきます!!」」
俺はナイフを手に取りオムレツに切れ込みを入れて割る。出てきた中身は半熟でトロトロ。シアのオムレツも割ってあげるとトロトロの中身を見て、シアは目を輝かせた。
「すごいとろとろ~。」
「それと一緒に下のご飯を食べるんだ、美味しいぞ?」
「うん!!んしょ、こーしてあーむっ!!んん~、おいひぃ~とろとろ~♪」
一口オムライスを食べたシアは、こぼれ落ちそうなほっぺを押さえながらくねくねとしている。
どうやらシアの口にオムライスは合ってくれたらしい。
さて、じゃあ俺のほうも食べ始めるとするか。シアがかけているケチャップとは別のデミグラスソースでいただこう。
たっぷりとデミグラスソースをかけたオムライスをスプーンで口へと運んだ。
「うん、うまい。デミグラスソースとよく合うな。」
そうして自分のオムライスを食べ進めていると、シアがじっとこちらを見ているのに気が付いた。
「ん、シアもかけるか?」
「うん!!」
飛びつくような反応を見せたシアのオムライスに、デミグラスソースをかけてあげると……。
「えへへ、いただきま~す!!あーむっ………ん~っ、こっちの方が美味しい!!」
「そうか、よかった。」
デミグラスソースをかけた後、あっという間にシアのオムライスは無くなった。
しかし、それだけでは足らなかったようで、俺が食べているオムライスをじーっと見ている。
「たべるか?」
「ふぇっ!?い、いいの?」
「あぁ、俺はもうお腹いっぱいだ。」
「やったぁ!!ありがとう!!」
そしてシアはぺろりと俺の分のオムライスもたいらげてしまう。余程美味しかったらしい、こんなに良い食いっぷりを見れると料理人冥利に尽きるというものだ。
ぽんぽんと膨れたおなかを満足そうに撫でているシアに俺は声をかける。
「満足したか?」
「うん!!おなかいーっぱい。」
「それじゃあごちそうさまするか。」
「「ごちそうさまでした!!」」
二人で食後の挨拶も終えた後、俺は再び熱いコーヒーを淹れてソファーに腰掛けた。するとシアが物珍しそうにコーヒーを見てきた。
「お兄さん、それなぁに?」
「ん?あぁ、これはコーヒーっていう飲み物だ。シアにはちょっと苦いかもな。」
「ちょっと飲みたい。」
「うーんあんまりおいしいものじゃないが、まぁいいか。ほい、飲んでみて。」
「ありがとう!!んー……。」
そしてシアがコーヒーを一口口に含んだ。その次の瞬間、シアは顔をしかめて、舌をべ~っと出して悶絶し始めた。
「ふえぇぇ、にがいぃ~。美味しくないよぉ~……。」
「ほら言っただろう?」
一口で満足したらしいシアからコーヒーを受け取る。口直しをするために、シアは急いでオレンジジュースを口に含んでいた。
さて、そろそろ今日の予定を話し合うか。
そうして今日の予定について話し合おうとしようとしたその時だった……。
「シア、今日の予定だが……ッ!!なんだ!?」
ハウスキットの外からドオォン!!という爆音が聞こえてきたのだ。
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