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4章 青髪騎士団長お姉さん

第48話 そなたの角は美しい

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 グリフォンと対峙した翌朝、攻略スキルを確認すると、

--------------------------------------------
ステラ・ファビアーノ・エルネスタ
 好感度
  35/100
--------------------------------------------

 さがっとるやんけ!?

 スナフさん改め、ステラさんの好感度がめちゃくちゃ下がっていた。

 昨日時点で、せっかく〈52/100〉までいっていたのに、今は〈35/100〉、最初のころよりも下がっている。

 やっぱり、リリィのことをオレの女って紹介したのがマズかったのだろうか。好感度が下がった理由はそれくらいしか思い当たらない。

 でも、検索条件には
------------------------------------
一夫多妻制への抵抗が少ない
------------------------------------
 という条件も入れている。

 いや、でもでも、惚れてない状況で、彼女がいるってわかったら身を引くのは当たり前か?

「う~ん…」
 頭を捻っていても、攻略さんは新しいアドバイスをくれない。

 とにかく、ステラさんに会わないと。
 ……会って、なにをどう言い訳すればいいのかは…わからないけど…

 とりあえず、オレは日課になったジョギングの準備をして、ファビノ食堂に向かうことにした。



「ふっふっ」

 オレはいつも通り、町を一周するコースでジョギングをする。そして、ファビノ食堂の前についたので、

「ふぅー」と息を整えて中に入った。

 カランコロン
 ドアについているベルが小気味よい音を鳴らす。

「え?」

「あ、おはようございます」

 いつものエプロン姿のステラさんがそこにいて、不思議そうな顔をしつつも、
「おはよう?ございます??」と返してくれた。

「……また…来たんですね…」

「え?そりゃそういう約束ですし、なにより!スナフさんの料理は毎日の楽しみですから!
 あ、ステラさんでしたっけ!?すみません!」

「…いえ、こちらこそ、偽名を使ってしまい、すみません…ステラで大丈夫です」

「じゃあ、ステラさん。全然いいんですが、なぜ偽名を?騎士団長ともなると身分を隠すものなんでしょうか?」

「いえ……そういうわけではないのですが…」
 なんだか煮え切らない様子だ。

「身分を明かすと…怖がられてしまうかと思って…」

 彼女は下を向いてなんだか苦しそうにしている、心配だ。

「ほう?騎士団長はたしかに強そうな響きですが、オレも冒険者です。そんな肩書きにビビったりしませんよ?」

「いえ……そうではなく…」

 彼女は頭の三角巾に手をかざすと、スルリ、とそれを外す。

 青白くて透明な角が現れた

「……あの、角がある女が作った料理なんて……気味が悪いでしょう?
 ……あははっ」

 彼女は自嘲ぎみな笑顔でそんなことを言う。

「へ??なんでですか??」
 心底不思議に思って回答した。

「え?きもち…わるく、ないんですか?」

 言いたくなさそうに、手を胸の前でぎゅっと握って下を向きながら話す。

「そんなこと全く思いません。だって、こんなに綺麗じゃないですか」

 オレは手をのばして、彼女の角に触れようとするが、彼女がビクッとするので、手を引っ込めた。

「あ、ごめんなさい!突然失礼なことを!」

「い!いえ!ちょっと驚いただけです!」

 ステラさんの方を見ると驚いた顔をして、でも頬を赤らめていた。

「……ホントに変じゃないですか?」

「はい。ステラさんの綺麗な髪の色に似合っていて、とても綺麗な角だと思います。なんていうか、アクセサリーみたいな感じですかね」

 オレが言葉を選びながらそう答える。

「……アクセサリー…
 (小声)そんなこと言われたのはじめて…」

「え?」

「い!いえ!なんでもありません!あっ!今日も朝食食べていきますか!?」

「はい!ぜひお願いしたいです!」

「わかりました!すぐに用意してきますね!」

 彼女は赤い頬のまま、パタパタと慌てて厨房に消えていった。

 なんだか最初は雲行きが怪しかったが、さっきの様子からして機嫌を直してくれたように思う。

 今日からも美味しい朝ごはんにありつけそうだ。

 そのあと、オレたちはいつも通り、2人で食卓を囲んで朝ごはんを食べた。

 ステラさんからは、最初の暗い雰囲気がなくなり、いつもみたいに冗談を言ったら、あはは、とちゃんと笑ってくれた。

 彼女の中で、なにか引っかかっていたものが無くなったのだろう。
 角のことだったのかな?
 あんなに綺麗なんだから、気にすることないのに。

 なにはともあれ、普通に話せるように戻れて良かった良かった。

「じゃあ、明日も来ますね」

「はい、お待ちしてますね」

 今日も店先まで出てきてくれて笑顔で手を振ってくれる彼女に手を振りかえして、オレは宿に戻る。

 しかし、帰り道でふと気づく。

 あれ?そういえば、リリィのこと言い訳してないけど、良かったのかな?
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