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2章 ダンジョンと刀
第54話 人類初のスキルホルダー
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荻堂一心、27歳、人類初のダンジョン踏破者兼スキルホルダーとして有名な人物だ。今から8年前、ダンジョン災害から1年後、当時19歳だった彼は、6人の仲間たちと共に初のダンジョン踏破者となった。
ボスにとどめの一撃を放った彼がスキルホルダーとなり、勢いづいた荻堂パーティはすぐに次のダンジョンに挑戦。そして、彼1人を残してパーティは壊滅した。
ここまではニュースなどで取り上げられていて有名な話だった。
「その荻堂さんって人、鳴神流だったんですね?」
教室にて、5人揃って栞先輩の話を聞く。栞先輩は少し難しそうな顔で話を続けた。
「はい。荻堂さんは鳴神流の免許皆伝で、父の一番弟子でした。とても強い人で、わたしもあれくらい強くなって父に認められたい、そう思っていたのを覚えています」
「へー、すごい人なんだね?でも、栞ちゃんが苦手って言うのはなんでなの?」
「それは……父がダンジョンに囚われてから道場の経営が厳しくなってきた頃、道場の師範をお願いして、断られたからです……荻堂さんほど有名な人なら、道場を再建できる、と考えてのことだったのですが……」
「なるほど、それなら、その人を誘うのはやめときましょう」
オレはすぐに栞先輩の案を却下することにした。
「え?な、なんでですか?」
「え?だって、栞先輩が嫌な思いをしてまで誘う必要なくないですか?」
「……」
オレの言葉を聞いた栞先輩が、少し驚いた顔をした後、下を向いてもじもじし出した。頬が少し赤い。どうしたんだろう?
「あんたって、ほんと女ったらしよね」
「は?なにいってんだ?チビ」
「はぁ?ぶっ殺されたいわけ?」
「えっと……陸人くんの気持ちは嬉しいのですが、やはりお誘いすべきかと。荻堂さんはとても強い方ですし、力になってくれると思います。あのときは、わたしも荻堂さんの気持ちを考えれていなかったので」
「というと?」
「荻堂さんのパーティは、全員が鳴神流の門下生で、父の道場で一緒に修行をした仲でした。きっと、道場に来たら、ご友人のことを思い出してしまう……そんな心境だったのだと思います。だから断られたのかと……」
「そっかぁ……そういう事情なら可哀想かも。栞ちゃんを助けてくれなかったことは嫌だけど、ゆあでも同じことしちゃうかも……」
「はい。わたしも今はそう思ってます。なので、声をかけるだけでもしてみませんか?それに、荻堂さんはダンジョンから持ち帰った神器を所持しています。それだけでもお借りできないかと考えているんです」
「神器ってなんでしたっけ?」
桜先生のことをチラッと見る。
「うふふ♪陸人くんは今度補習ですね♪2人っきりで♪」
「お、お願いします?」
なんだか、桜先生の目が怪しく光っているがスルーして話を聞くことにした。
「では、解説しましょう。神器とは、ダンジョン内で発見された武器のことです。その武器はどんな力を加えても壊れることはなく、刃こぼれなども一切しないと言われています。また、仮説ではありますが、神器には隠された力があり、それを発揮できれば、より強力な武器になるだろう、と言われているのです」
「ほへ~……」
「りっくん、授業聞いてなかったの?」
「聞いてたような気もするけど忘れた」
「ぽんこつっくんね」
「だから、原型留めてないんだってば。じゃあ、話をまとめると、栞先輩の提案通り、荻堂さんに声をかけてみて、可能なら戦いの指導を、それと神器を貸してくれないか頼んでみる、その方針でいいかな?」
「いいんじゃない?」
ということで、みんなが頷くのを確認して、その日は解散となった。
ボスにとどめの一撃を放った彼がスキルホルダーとなり、勢いづいた荻堂パーティはすぐに次のダンジョンに挑戦。そして、彼1人を残してパーティは壊滅した。
ここまではニュースなどで取り上げられていて有名な話だった。
「その荻堂さんって人、鳴神流だったんですね?」
教室にて、5人揃って栞先輩の話を聞く。栞先輩は少し難しそうな顔で話を続けた。
「はい。荻堂さんは鳴神流の免許皆伝で、父の一番弟子でした。とても強い人で、わたしもあれくらい強くなって父に認められたい、そう思っていたのを覚えています」
「へー、すごい人なんだね?でも、栞ちゃんが苦手って言うのはなんでなの?」
「それは……父がダンジョンに囚われてから道場の経営が厳しくなってきた頃、道場の師範をお願いして、断られたからです……荻堂さんほど有名な人なら、道場を再建できる、と考えてのことだったのですが……」
「なるほど、それなら、その人を誘うのはやめときましょう」
オレはすぐに栞先輩の案を却下することにした。
「え?な、なんでですか?」
「え?だって、栞先輩が嫌な思いをしてまで誘う必要なくないですか?」
「……」
オレの言葉を聞いた栞先輩が、少し驚いた顔をした後、下を向いてもじもじし出した。頬が少し赤い。どうしたんだろう?
「あんたって、ほんと女ったらしよね」
「は?なにいってんだ?チビ」
「はぁ?ぶっ殺されたいわけ?」
「えっと……陸人くんの気持ちは嬉しいのですが、やはりお誘いすべきかと。荻堂さんはとても強い方ですし、力になってくれると思います。あのときは、わたしも荻堂さんの気持ちを考えれていなかったので」
「というと?」
「荻堂さんのパーティは、全員が鳴神流の門下生で、父の道場で一緒に修行をした仲でした。きっと、道場に来たら、ご友人のことを思い出してしまう……そんな心境だったのだと思います。だから断られたのかと……」
「そっかぁ……そういう事情なら可哀想かも。栞ちゃんを助けてくれなかったことは嫌だけど、ゆあでも同じことしちゃうかも……」
「はい。わたしも今はそう思ってます。なので、声をかけるだけでもしてみませんか?それに、荻堂さんはダンジョンから持ち帰った神器を所持しています。それだけでもお借りできないかと考えているんです」
「神器ってなんでしたっけ?」
桜先生のことをチラッと見る。
「うふふ♪陸人くんは今度補習ですね♪2人っきりで♪」
「お、お願いします?」
なんだか、桜先生の目が怪しく光っているがスルーして話を聞くことにした。
「では、解説しましょう。神器とは、ダンジョン内で発見された武器のことです。その武器はどんな力を加えても壊れることはなく、刃こぼれなども一切しないと言われています。また、仮説ではありますが、神器には隠された力があり、それを発揮できれば、より強力な武器になるだろう、と言われているのです」
「ほへ~……」
「りっくん、授業聞いてなかったの?」
「聞いてたような気もするけど忘れた」
「ぽんこつっくんね」
「だから、原型留めてないんだってば。じゃあ、話をまとめると、栞先輩の提案通り、荻堂さんに声をかけてみて、可能なら戦いの指導を、それと神器を貸してくれないか頼んでみる、その方針でいいかな?」
「いいんじゃない?」
ということで、みんなが頷くのを確認して、その日は解散となった。
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