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2章 ダンジョンと刀

第33話 新しい仲間は大人のお姉さん教師

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 オレたちは、いつものメンバーに桜先生を加えてリムジンに乗り込み、オレの自宅までやってきた。玄関を開けて、お母さんにひとこと挨拶だけしてから訓練場の中に入る。

「ここが、陸人くんのお家……ドキドキ……」

 桜先生の様子がさっきからおかしい。お母さんに挨拶したときも異様にアピールしていたし、なによりゆあちゃんがずっとキレてるのも怖い……

「それじゃ、ゆあのスキルの話と、新メンバーの話をしましょうか。アトム、お茶」

 鈴が椅子に座って足を組みながら言う。

「かしこまりました。鈴様」

 アトムがお茶の準備をはじめてくれた。

「あ、桜先生、こちらにどうぞ」

「うふふ♪ありがと♪陸人くん♪」

 椅子を引くと、何故か嬉しそうにされた。座った後もニコニコとオレのことを見つめ続けてくる。

「りっくん?」

「へ?」

「りっくん!ゆあには!」

「あ!はい!ゆあちゃんもどうぞ!」

 キレられたので、ゆあちゃんの椅子も引いて座っていただいた。
 こ、こわい……何を怒っているのだろうか……

「めんどくさいわね。ゆあ、静かにしてなさい」

「がるるる……」

 とりあえず、鈴が話を進めてくれそうなので、オレも黙って座ることにした。

「それじゃ、改めて自己紹介を。わたしは双葉鈴、こっちが的場柚愛、で、せんせの王子様とかいう咲守陸人よ。よろしくね、せんせ」

「うん。こちらこそよろしくお願いします、双葉さん。私は小日向桜。これから、みんなのサポートをさせてもらいたくて、ついてきました」

「てことは、せんせはダンジョンには入らないってことよね?」

「うん。年齢的に20歳をこえたからもう入れないってのもあるけど……なにより、怖くって……ごめんなさい……」

 ペコリと頭を下げられる。

「そこはいいわ。一応確認しただけよ。大学四年生ってことは22歳かしら?」

「今は21だけど、今年22になります……陸人くんは年上でも大丈夫?」

「だ、大丈夫?とは?なにがですが?」

「もう……いじわる……」

 もじもじされてしまった。まじでなにが!?

「がるる……」

「で、年齢はいいとして、小日向せんせは、わたしたちに協力してくれる、サポート的なことを担当してくれる、ってことよね?具体的に何ができるのかしら?」

「私ができるのはオペレーターとして、ダンジョンのマッピングと、あとは装備の点検や開発なんかもお手伝いできると思う。私自身はダンジョンに入れないけど、サポートロボットを同行させてダンジョンの地図を作成できるのと、トラップの発見とかもできると思う」

「へぇ、それはすごいな」

「ホントに!?私!陸人くんの役に立てるかな!?」

「え?ええ……まぁ……」

「せんせ、落ち着いて。装備の開発ってのは?」

「あ、うん。えっとね。私、教師としての資格以外にプログラミングも専攻してるから、みんなの装備をカスタムしたり、新しい装備を開発したりとかも出来ると思うの。どうかな?仲間に入れてくれる?」

「んー、わたしはいいと思うけど?あんたたちは?」

「ゆあは反対!」

「オレはいいと思うけど」

「りっくん!ゆあは反対だって言ってるでしょ!反対反対!!」

「ゆあ、シッダウン。陸人の能力のこと考えるなら、仲間は多い方がいい。それはわかってるでしょ?」

「でもでも!」

「もしここで仲間を増やさなくって、陸人が死ぬことになったら、あんた、生きてけるの?」

「でもでも……」

「大丈夫、陸人はあんたのもんよ?」

 ちがうが?と思うが黙っておく。

「私は現地妻でも大丈夫です♪(小声)ということにしておきましょう。うふふ……」

「やっぱりゆあはいや!」

「せんせ、ややこしくなるから黙ってて」

「はぁーい♪」

「ゆあは黙らせるとして、あんたのスキルにせんせって入れれるのかしら?」

「どうなんだろ?同い年以外は試したことないけど」

「とりあえずやってみたら?」

「そうだな。ゆあちゃん、オレは桜先生を仲間にしたいと思ってる。許してくれる?」

「うー……」

「先生が仲間になれば、また強くなれる。ステータスボーナスがかなり入るからね。でも、ゆあちゃんがどうしても嫌だって言うなら、オレはゆあちゃんの意見を尊重するよ」

「それは……ゆあが1番ってこと?」

「い、1番?」

―――――――――――――――――――
とりあえず、1番だって言っておきなさい
―――――――――――――――――――

 オレがなんて答えればいいかわからずオドオドしていると、鈴がモニターに文字だけ表示して指示を出してくる。ゆあちゃんには見えないように。

「ゆ、ゆあちゃんが、1番だよ(棒)」

「な、なら……嫌だけど……我慢する……ゆあも、りっくんには強くなってもらいたいから……」

「あ、ありがとう……」

 なんかよくわからん流れだが、騙しているような気がして、めっちゃ気まずい。

「話はまとまりましたか?」

「ええ、ようこそ、チームノンデリっくんへ。せんせ」

「変なチーム名やめてもろて」

「うふふ♪やっと王子様と一緒になれるんですね♪陸人くん♡」

 桜先生が両手を顔の前で合わせながら、ウキウキした声色で見つめてきた。
 ……なんですか?その、いただきます、みたいなポーズは……

 ということで、新しいメンバーに、桜先生を迎えることになった。桜先生には、オレのスキルと鈴のスキルについて説明し、まずはクラスに加入できるか試してみることにする。

「ゆあのスキルの話、ぜんぜんできないんだけど?」

「ごめんね。このあとすぐだから」

「ぷー……」

 ゆあちゃんをなだめながら、《クラス替え》スキルを操作し、桜先生をクラスに加入できるのか試してみることにした。
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