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終わりは突然に ④
しおりを挟む私の声は震えていた。うつむき、ぎゅっと目を閉じて副島課長の言葉を待った。しかし、私に訪れたのは言葉ではなく……声のない怒りだった。
肩を強く押され、私はそのままベッドに倒れ込む。起き上がろうとする前に、副島課長は私の腰に跨り、腕を伸ばして、痛いくらい肩を強く抑えていた。目の奥に、怒りや落胆に近い様な色が見え隠れしていた。私はハッと呼吸を飲むが、もう遅かったみたいだ。歯がぶつかるような荒々しいキスで、唇を塞がれていた。無理やり舌が入り込み、私の咥内をくまなく蹂躙し始める。
「ん、んんぅ~!」
胸を叩き、腕で強く押し返す……けれど、課長はびくとも動かない。課長は首の角度を変え、さらに口づけを深めていく。耳にまで舌同士が交じり合う音が響く。頭の中で、どれだけこのキスを拒んでも体は勝手に火をつけたように熱くなっていく。
「や、やめ……!」
力を込めて胸板を押し返すと、ぐっと課長の体は離れていった。私を見下ろすその目に光は無く、冷ややかにその瞳で私を映すだけだった。
「課長……?」
「……ご主人様、でしょう? はる」
課長はベッドから降り、カバンの中を漁り始めた。おそらく、いつもの首輪を取り出そうとしているのだろう。私はベッドの上で後ずさり、課長から距離を取ろうとした。
副島課長は無理やり作った笑顔を貼り付けて、ベッドに乗り上げ私に近づく。
「はる、いい子にして」
「いや!」
大きく手をはねのけると、指先が副島課長の頬を掠めた。ハッと見上げると、課長の頬に赤い筋が見えた。
「……反抗するだけならまだしも、ご主人様に傷までつけるとは、ね」
低く冷たい声は、私の背筋を強張らせた。反射的に、「ごめんなさい」と頭を下げると、副島課長は私の顎を指先で掴み、無理やり上を向かせる。
「……それで、抱かれたくないって、どうして?」
「それは……」
あなたの好意が、私には決して向かないのが辛くて仕方がないからです、なんて、口が裂けても言えなかった。あの二人が並ぶ光景が、脳裏に焼き付いて離れない……私が彼と一緒にいるよりも、ずっとお似合いに見えた。最初から、この人の心の中に私が入り込む隙間なんてなかったのだ。
「あの写真、ばらまかれたい?」
それも嫌と、私は首を横に振る。課長は深く深くため息をついた。
「わがままばっかり……そんな子はおしおきですよ、はる」
硬直する私の首に、あのひんやりとしていて、少しだけ重たい赤い首輪が巻かれる。課長はネクタイを解き、私の両手首をまとめる。そして、ネクタイで強く縛り上げた。肩を軽く押され、私は再びシーツに深く沈み込む。ネクタイの端は、ベッドの手すりに括りつけられ、私は身動きが取れなくなる。
怯えた瞳で見上げると、彼を私の目じりを軽く親指の腹で撫で、少しだけ溢れた涙を拭った。舌先でその雫を舐めとる。
「はるは、涙も甘いんですね」
「いや! 離して、これ取ってください!」
「……おしおきだと言ったでしょう?」
ブラウスの襟をつかみ、そのまま一気に下まで引き裂いた。勢いよく、ブラウスについていたボタンが飛び散っていく。それらがベッドの下に落ちていく音が、私の怯えた悲鳴と共に部屋の中で無情に響いていった。課長は背中に片手を回し、ブラジャーのホックを器用に外した。ブラはそのまま上に押し上げられ、震えている乳房が課長の眼前に曝け出された。抵抗しようにも、私の腕は縛り付けられていて
「や、やめてください……!」
「ここは、嫌だと言っていないみたいだけど?」
課長は、曝け出された胸の頂を指ではじく。私はびりびりと痺れるような小さな快感を、唇を噛んだ痛みで打ち消した。そんな私の仕草を見ていた課長は、眉をしかめる。
「……いい度胸だね、はる」
そう囁いた課長は、上半身をかがめ、顔を乳房に近づける。そして、舌の先でくすぐるように、じらすように乳頭を舐めた。
「ん……!」
「……気持ちいいなら、素直に鳴いてもいいんですよ?」
私がぶんぶんと頭を横に振ると、課長は「強情なんだから」と悪びれた様子もなく囁いた。
課長は私の胸を口に含み、唾液を纏わせた舌でわざとらしい水音を立てながら腔内ではじいていく。ぬるぬるとした生暖かい体温と、強くなっていく舌の刺激が次第に私の体を翻弄し……体の中でたまる快楽を逃すために内ももを擦り合わせていた。課長はもう片方の乳房を柔らかく下から持ち上げるように揉みしだき、指でぷっくりと腫れた乳輪を円を描くように、じらすようになぞっていく。私がこらえきれずため息を漏らすと、そのすきを見逃さなかった課長はきゅっと指でつまみ上げた。
「んあぁ……っ!」
「そう……可愛い声だ、はる」
乳首をちゅっと吸い上げた課長は、次は指で弄んでいた方を口に含む。唇で強く食み、舌ではじいていく。強い刺激とは裏腹、唾液に塗れたもう片方の胸の頂をぬるぬるとなぞるだけの刺激を与えていく。
「あ、んんぅ……や、だめ、だめぇ……!」
「気持ちいいなら、いいって言いなさい」
その言葉を聞いた私は、翻弄されないようにもう一度唇を固く閉じる。課長は落胆したように大きく肩を落とす。その瞳の色は、真っ黒で冷ややかで……とても、寂しげなように見えた。
課長は体を起こし、私を見下ろしながら両の乳房を掴みやわやわと揉みしだく。ふいに訪れる優しい快楽が、ゆっくりと背筋から腰、潤い始めた淫部に伝わり始める。課長もそれに気づいた様子で、私は慌てて、課長から視線をずらす。
しかし、課長の手は止まることがなかった。スカートのホックを外し、ジッパーを性急に下ろしてスカートを引きずり下ろすように脱がしていく。ストッキングと下着越しに、秘部の割れ目に指を這わせる。
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