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187 学園内での情報収集

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学園ではクラスメイトと頭を付き合わせて呻き声を上げながらノートにメモをしたり自分の意見もまとめておく。小テストの知識を求められる試験ではなく、問題文に対してどうするのか。起こりうるメリットデメリット、短期的に見た時、長期的に見た時という実践的な考え方をさらに求めてくるようになってきた。そこで小部悦に先生が読み込んで評価を下していく。合わせて仮領地の条件を出されてどういう法律を出して税収を上げるのか。そういう質問を出してくる。宿題の間は全員で唸りながらペンを走らせながら宿題や自分で見つけた調べないといけないことなどを控えておく。私は昼食休憩を食堂に向かう。アリアにお願いをして今日はやめてもらった。向かうのは食堂なのだが、庶民エリアと貴族エリアの境目に向かい、貴族様のメニューを選んで席に座る。従僕を連れ歩くのは禁止だが、コンシェルジュなどがいるので給仕をさせてもいいが、時間がかかる。私は自分で食べるものを盛り付けて貰って境界になる場所で1人で食べる。



「食堂も美味しい。流石貴族向け。」



  貴族よりの席には富豪の家の人が座り、出入口に1番近いのが何とか学食を食べれる人達だ。格安で提供されているが弁当の方が安い人もいる。視界の隅っこには聖女だとチヤホヤされているイリヤ嬢がいるが、無視するしかない。



「ミカエラ様、こちらよろしいですか?」

「ローズ様……どうぞ。」



   普通の女子生徒の服装だ。ちょっと驚いた顔をしていたのかニコニコしていた。



「陛下のお茶会では王子様風の衣装だったり騎士の装いですよ。それにこれカツラです。」



  切ってしまったらしい。少年に見えるように短くしたら王妃から切り落とした髪でカツラを作ってくれたとか。ローズ嬢やる時はやる人だった。



「御両親嘆かれませんでした?」

「王妃様経由で婚約者の紹介もいただいて尚且つ専属騎士にもなれそうなので色々言いたそうですが、我慢してますね。」

「まぁ、婚約までおめでとうございます。」

「騎士団の出世頭という方で両親も相手が相手なので…少し年上の方ですが、第2夫人という位置なので王妃様も喜んでくださっています。」



   なるほど。自分の手元に置いておきたくてしっかり固めたのか。



「それにしても学園内に新興宗教が出来るとは思いませんでした。」

「新興宗教……あぁ、そうですね。私なんて早速色々言われてめんどくさいと思っているところです。」

「ウチのクラスにも魔道具無しが宗教に入信しはじめて揉めてます。連携はまだ出来ますが、信仰の違いというか……アレは病巣でしょう。」

「……私なんて突然喧嘩売られましたから。一応令嬢ではなくて爵位持ちなんですけどねぇ……」



  ローズはそれは大変ですね。と、微笑んでいた。談笑をしながら昼食をとるけれど……宗教の侵食具合は思ったよりも深刻かもしれない。危機感を持っているのは魔道具を持っている上位貴族又は跡取り。それ以外はイリヤ嬢の傍に行きチヤホヤと群れている。



「ミカエラ様、なんと言われたのですか?」

「平民上がりと。自分は貧民街上がりというのを棚に上げてますけどね。」

「確かに。それに作法や話し方、所作を見ているとミカエラ様と比べるのも失礼です。お茶会には行きたくありませんね。」

「ローズ嬢も何か言われたのですか?」

「屍肉喰らいと聞いたと素で言ってくるのは思いませんでしたね。」



  わーお。アルフィアスの特徴というか出世の仕方ではそんな噂はあったかもしれないけれど、本人には聞かないしそれは御先祖様の出世の仕方で、今は正攻法に近い。失礼を積み上げていくなぁ。



「え…そんな失礼積み上げてるのですか?」

「チヤホヤしない相手には失礼積み上げていますね。騎士課程でも文官課程でも。」

「先生方の反応はどうですか?」

「ニコニコして読めませんが魔道具を付けてますから様子見かと。」



   めんどくさいなぁ。学園内で新興宗教が拡大していてその教祖様に目をつけられているなんて。



「ミカエラ様、お気をつけて。レフィラ嬢が酷く入れ込んでいるようなので。」

「ありがとうございます。ローズ様。」





   教室に戻るとやはり全員が他のクラスの友人が新興宗教に入っていたりしていたようで頭を抱えていた。



「聖女の皮を被った妖婦じゃないのか???」

「風紀が乱れるから神殿巫女として奉仕活動に放り込んでくれ…」

「……友達減る。何とか魔道具装備させるように連絡しないと……」



   全員似たようなことを言っていた。
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