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172 前哨戦
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当然のようにユーリ様たちのところに移動させられるが、顔が熱い。肩を掴まれて引き寄せられていた。
「ミカエラ、大丈夫???」
「レオン様……逃げたい。」
恥ずかしい。顔を覆って息を吐き出す。そう思っていたらジュースを渡された。黄色い声が上がっている。お客様でもあるご婦人たちに囲まれてしまった。レオン様が離れた瞬間に。逃げ帰りたい。お茶会からお食事会。色々その場でお誘いをされるが学園生活の地獄が待っているのでと正直に話してお断りしておく。今季の進学が少ないこと。圧倒的留年率も聞いているからなのかあっさり承諾してもらえた。当然のように後ろから抱きしめられて頭を撫でられる。家だけにして欲しいから押しどける。
「ミカエラ、面倒臭いのが来ていますからこちらに。」
「???」
「イザーク様!!!!私という婚約者がありながら!!!!」
ラエティ子爵令嬢が乗り込んできた。のだが、ローズ嬢が私の前に立っていた。
「婚約?神殿に問い合わせましたが、レフィラ様婚約の誓いをなされていないのにそのような妄言でフィル子爵にご迷惑を掛けてはなりません。」
「婚約の誓い?」
「神殿で誓約書を書く。もしくは神殿発行の誓約書を書く。というのが貴族の婚約です。」
「へぇ…」
「ミカエラにはサインをしてもらいましたよ?」
「はい????」
神殿からの書類を差し出されて渡されたペンでサインをした気がする……でもそれは寄付の書類だった気がする。いや、商売系じゃなくて神殿だからと読まずにサインもしたかもしれない。
「あ……何枚かちゃんと読まずにサインしたかも。」
「はい。書類が多い時に紛れ込ませてサインして頂きました。」
「出したとか?」
「勿論です。レフィラ嬢、私とあなたは初対面なのですが、何故婚約者と???私はフィル子爵と男爵の時に婚約の誓いをしていたのですが……スカルラッティ家の別の男では?私にはミカエラがいますので。」
髪を手に取って唇を寄せた。やめれとどれだけ言いたいか。恥ずかしいのに。
「レフィラ嬢には私よりも良い殿方がいますよ。私なんかよりも。それに私はミカエラに年単位で愛を請い続けてましたので……」
ん???脚色では???口説くとは言われたが愛を請い続けたのだろうか。
「それに、私と貴方とでは価値観が合いません。家の力で無理矢理婚姻届出されても名前を貸すだけなら構いませんが、貴方の傍に立つことは無いので他を当たってください。」
笑顔で言い切った。
「イザーク様」
「貴方への嫌がらせを主導した。それだけで拒むには十分です。アルフィアス令嬢に任せて移動しませんか?顔色が良くないですよ。」
誰のせいで……頭が痛い思いをしているか。そう思いながら睨む訳では無いが見上げると抱き上げられてしまった。
「歩け…」
「目立ちたくなかったら顔を埋めた方がまだマシですよ。」
顔を埋めて逃げる。
休憩用に解放されている部屋に通されて真っ赤になって両手で顔を覆う。
「悪目立ち過ぎる……」
「キチンと婚約するだけ無駄だとゴリ押しで解決させましたよ。」
靴を脱いで足を休ませる。彼女の立場が悪くなる。ちょっとどころではない。少し申し訳なさそうな顔はしているが理由はなんだろう。
「何を気にしてるのです。」
「貴方に恥ずかしい思いをさせてしまった。殴りますか?」
「……殴りませんが?」
貴族って本当にもう……面倒臭い。だけどもレフィラ嬢の立場はかなり悪くなる。婚約済の相手が自分の婚約者だと吹聴してイザーク様の演出のせいで全てが悪手。スカルラッティ家はイザーク様ではなかったと反故しつつ切り捨てるのかな。それにしても彼女が暴走したのか親の指示でそうしていたのかは知らないけれど、あまりにも失礼な言動が目立ったし、こっちにそう言う悪質なことをしていたと言うことは知られているだろう。それがスカルラッティ伯爵にも多分おそらく連絡は入っている。彼女の行動はやりすぎていた。それを制御してなかったのも大問題ではあるんだろうけれど。私は何も悪いことをしていない。周りが動いてくれたから。に近いけれど……いや、彼女の自爆の方が大きいと思う。あれだけ公の場で人にボロクソ言って許されるわけないでしょう。一般人でもドン引きの罵詈雑言といじめだし。貴族でもそう言うのが許されているのかと思ったけれど、ローズ様とかの様子を見ているとそうではないらしい。貴族でもレフィラ嬢が悪い。と言うことだけは学園生活で理解はした。貴族だから身分差を使った理不尽は問題ないと言う感じかと思ったけれど、実はそうではないらしい。裏でこそこそお茶会で仲のいい人限定ならともかくこんな大ぴらに人をボロクソに貶すのはやっぱりダメらしい。平民というか庶民はそんなことをあまりしないで拳の語り合いで何とかするけれど……
私、このまま帰れるのかな????帰りたいけれど。帰りたいでいいのかな????これで全てが終わればいいけれど、終わるのかな????絶対にそんなことはない気がする。
「ミカエラ、大丈夫???」
「レオン様……逃げたい。」
恥ずかしい。顔を覆って息を吐き出す。そう思っていたらジュースを渡された。黄色い声が上がっている。お客様でもあるご婦人たちに囲まれてしまった。レオン様が離れた瞬間に。逃げ帰りたい。お茶会からお食事会。色々その場でお誘いをされるが学園生活の地獄が待っているのでと正直に話してお断りしておく。今季の進学が少ないこと。圧倒的留年率も聞いているからなのかあっさり承諾してもらえた。当然のように後ろから抱きしめられて頭を撫でられる。家だけにして欲しいから押しどける。
「ミカエラ、面倒臭いのが来ていますからこちらに。」
「???」
「イザーク様!!!!私という婚約者がありながら!!!!」
ラエティ子爵令嬢が乗り込んできた。のだが、ローズ嬢が私の前に立っていた。
「婚約?神殿に問い合わせましたが、レフィラ様婚約の誓いをなされていないのにそのような妄言でフィル子爵にご迷惑を掛けてはなりません。」
「婚約の誓い?」
「神殿で誓約書を書く。もしくは神殿発行の誓約書を書く。というのが貴族の婚約です。」
「へぇ…」
「ミカエラにはサインをしてもらいましたよ?」
「はい????」
神殿からの書類を差し出されて渡されたペンでサインをした気がする……でもそれは寄付の書類だった気がする。いや、商売系じゃなくて神殿だからと読まずにサインもしたかもしれない。
「あ……何枚かちゃんと読まずにサインしたかも。」
「はい。書類が多い時に紛れ込ませてサインして頂きました。」
「出したとか?」
「勿論です。レフィラ嬢、私とあなたは初対面なのですが、何故婚約者と???私はフィル子爵と男爵の時に婚約の誓いをしていたのですが……スカルラッティ家の別の男では?私にはミカエラがいますので。」
髪を手に取って唇を寄せた。やめれとどれだけ言いたいか。恥ずかしいのに。
「レフィラ嬢には私よりも良い殿方がいますよ。私なんかよりも。それに私はミカエラに年単位で愛を請い続けてましたので……」
ん???脚色では???口説くとは言われたが愛を請い続けたのだろうか。
「それに、私と貴方とでは価値観が合いません。家の力で無理矢理婚姻届出されても名前を貸すだけなら構いませんが、貴方の傍に立つことは無いので他を当たってください。」
笑顔で言い切った。
「イザーク様」
「貴方への嫌がらせを主導した。それだけで拒むには十分です。アルフィアス令嬢に任せて移動しませんか?顔色が良くないですよ。」
誰のせいで……頭が痛い思いをしているか。そう思いながら睨む訳では無いが見上げると抱き上げられてしまった。
「歩け…」
「目立ちたくなかったら顔を埋めた方がまだマシですよ。」
顔を埋めて逃げる。
休憩用に解放されている部屋に通されて真っ赤になって両手で顔を覆う。
「悪目立ち過ぎる……」
「キチンと婚約するだけ無駄だとゴリ押しで解決させましたよ。」
靴を脱いで足を休ませる。彼女の立場が悪くなる。ちょっとどころではない。少し申し訳なさそうな顔はしているが理由はなんだろう。
「何を気にしてるのです。」
「貴方に恥ずかしい思いをさせてしまった。殴りますか?」
「……殴りませんが?」
貴族って本当にもう……面倒臭い。だけどもレフィラ嬢の立場はかなり悪くなる。婚約済の相手が自分の婚約者だと吹聴してイザーク様の演出のせいで全てが悪手。スカルラッティ家はイザーク様ではなかったと反故しつつ切り捨てるのかな。それにしても彼女が暴走したのか親の指示でそうしていたのかは知らないけれど、あまりにも失礼な言動が目立ったし、こっちにそう言う悪質なことをしていたと言うことは知られているだろう。それがスカルラッティ伯爵にも多分おそらく連絡は入っている。彼女の行動はやりすぎていた。それを制御してなかったのも大問題ではあるんだろうけれど。私は何も悪いことをしていない。周りが動いてくれたから。に近いけれど……いや、彼女の自爆の方が大きいと思う。あれだけ公の場で人にボロクソ言って許されるわけないでしょう。一般人でもドン引きの罵詈雑言といじめだし。貴族でもそう言うのが許されているのかと思ったけれど、ローズ様とかの様子を見ているとそうではないらしい。貴族でもレフィラ嬢が悪い。と言うことだけは学園生活で理解はした。貴族だから身分差を使った理不尽は問題ないと言う感じかと思ったけれど、実はそうではないらしい。裏でこそこそお茶会で仲のいい人限定ならともかくこんな大ぴらに人をボロクソに貶すのはやっぱりダメらしい。平民というか庶民はそんなことをあまりしないで拳の語り合いで何とかするけれど……
私、このまま帰れるのかな????帰りたいけれど。帰りたいでいいのかな????これで全てが終わればいいけれど、終わるのかな????絶対にそんなことはない気がする。
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