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寝過ぎてしまった。ずっと撫でられていたのか近くにイザークがいた。身体を起こすとタオルで顔を拭かれた。当然のように口付けをしてくるのはやめてほしいが、毎回していいかと聞かれるのも困る。寝過ぎて辛い。
お腹空いた。変な時間だ。ミカエラはため息をついて髪を撫でる手を見上げる。
「やはり体調が悪いのでは???」
「久しぶりのこのベッドで爆睡しただけです。庭というか少し散歩してもいいです??怒られますか???」
「準備します。」
準備??剣をもったりするのだろうか。そう思っているとドレスや靴などを揃えられてしまった。簡単で締め付けのないドレスに着替えさせられた。時間も遅いし人を呼ぶのも断るから着替えを手伝うのはこの人だ。恥ずかしさは減ったけれど、何故ここまで女性のドレスの仕組みをご存知なのか???
「???」
「出ましょうか」
「はい。」
当然のようにエスコートをしてもらって侯爵家の庭に出る。寝過ぎたけど散歩をしたら眠れるかもしれない。そう思ってなのだが、この屋敷で護衛はいらないと思う。
「侯爵家では不要だと思うんです。」
「そうでもないですよ。ユーリ様が父をこちらに招いているようなので…」
「伯爵から見て格上の侯爵家のお客様としてきている私に害をなすとは思えないんですけれど。」
「…やりようですよ。」
庭に噴水あるのがすごい。ミカエラは整えられた庭を見ながら散歩をする。外壁をぐるっと回るだけでもかなりいい運動になるに違いない。ため息が出るほど綺麗に整えられた庭ではある。靴が貴族の御令嬢が履くような踵の高いものではなく、ペタンと歩きやすい靴であった。人目があまり付かないところに場所に腰をおろす。
「疲れましたか?」
「モフみが足りていないだけです。」
膨れて見上げてみる。彼は隣に腰を下ろしてこてんと頭を肩に置いてきた。
「ここは人の目が多いのであなたの家でよろしいですか。ブラッシングでもなんでも受けますから。」
「…わかりました。」
残念と思いながら頭を撫でると距離は近い。もしかして私が爆睡している間ずっと起きていたとか???そう思いながら髪を撫でる。ゴロンと膝に転がってくる。外でこれだけ甘えた?ようにするのは珍しい。鼻のきく範囲で人の気配を感じていないのだろう。ミカエラがそう思いながら彼の頭を撫でていると腰に腕を回してくっついてきた。
「近い。」
「近くに誰もいませんから。寝静まっていますし。」
「…だから私の醜聞とか言われるのでしょうか。」
「醜聞ではないでしょう。仕事と私的なことですから。」
まぁ醜聞かどうかで言われたら醜聞ではないし、別にやましいことのない同意のある契約の仕事でもある。やましいことがあるように振る舞っているがどこをどう見ても健全である。適当に髪を撫でていると身体を起こした彼はいつものようにミカエラを膝に乗せてきた。
「イザーク様…」
「好きです。」
「何回も言われなくてもわかりました。」
「ミカエラは変わりましたか?いい方向に」
「…特に変化なしです。これで怒っていないのだからそれでいいでしょう。」
「私は足りません。」
足りないと言われても私には語彙も無ければ好きか嫌いの二択を迫られたら好きだがここまでではない。イザークは口付けばかりしてくる。耳元で愛しているだの恥ずかしいセリフを良い声で囁いてくる…勘弁してくれ。赤くなりながらも近くにある彼の口を手で押さえて嫌だと離れる。腕で抱えられているから動く範囲は限られているが大体これで引いてくれる。
近付かないがじっと見下ろされる。腕を離してくれたら降りれるが、直ぐに降りようとしたらへそをまげる(経験則)。どうしたものか。
「他所様の家の庭でするようなことではないです。」
「侯爵家の方々は気にしませんよ。」
「私が気にするので嫌です。」
「…せめて誑かして下さい。」
「そんな語彙ありません。」
「…少しくらい私が喜ぶような言葉を聞かせてください。」
いや、言ったら調子乗りますよね????拡大解釈して私は言葉巧みに丸め込まれて変な方向に頷かされて事後承諾とか頷いたからとかで巻き込まれるのを知っているのですよ???
「ミカエラ? ちょっとしたワガママもダメなのですか?」
「……せめて家にしてください。散歩に出てきたのです…下ろしてください。部屋に戻ります。」
少し強引に腕から抜け出して立ち上がる。風が強くなってきた。薄着すぎ…温かいものが肩にのった。上着…
「分厚いストールか上着を準備すべきでした。雨が近いようですし部屋に戻りましょう。」
「…分かるのですか?」
「まぁ、犬が混ざってますから感覚は鋭いですよ。」
1度別の方角を気にしたように見えた。多分勘違いだろう。寒いし部屋に戻ろうと歩きだそうとした。
「????」
「すみません。」
「はい??」
しないと言ったのに無理矢理口付けをされた。しかも長い…長い…苦し…胸をドンドンと叩いてやっと離してくれたがしんどい。酸欠になるかと思った。ひょいと抱き上げられた。出禁にしてやろうか…そう思った。本気で。
「なんですか!いきなり!!」
「…すみません。お叱りは後で受けます。風邪引く前に部屋に戻りましょうか。」
誰かいたとか……聞きたくない。
「拗れないようにお願いします。」
これくらいしか言えない。風邪引く前に部屋に戻る。明日には家に帰れるだろうから。
お腹空いた。変な時間だ。ミカエラはため息をついて髪を撫でる手を見上げる。
「やはり体調が悪いのでは???」
「久しぶりのこのベッドで爆睡しただけです。庭というか少し散歩してもいいです??怒られますか???」
「準備します。」
準備??剣をもったりするのだろうか。そう思っているとドレスや靴などを揃えられてしまった。簡単で締め付けのないドレスに着替えさせられた。時間も遅いし人を呼ぶのも断るから着替えを手伝うのはこの人だ。恥ずかしさは減ったけれど、何故ここまで女性のドレスの仕組みをご存知なのか???
「???」
「出ましょうか」
「はい。」
当然のようにエスコートをしてもらって侯爵家の庭に出る。寝過ぎたけど散歩をしたら眠れるかもしれない。そう思ってなのだが、この屋敷で護衛はいらないと思う。
「侯爵家では不要だと思うんです。」
「そうでもないですよ。ユーリ様が父をこちらに招いているようなので…」
「伯爵から見て格上の侯爵家のお客様としてきている私に害をなすとは思えないんですけれど。」
「…やりようですよ。」
庭に噴水あるのがすごい。ミカエラは整えられた庭を見ながら散歩をする。外壁をぐるっと回るだけでもかなりいい運動になるに違いない。ため息が出るほど綺麗に整えられた庭ではある。靴が貴族の御令嬢が履くような踵の高いものではなく、ペタンと歩きやすい靴であった。人目があまり付かないところに場所に腰をおろす。
「疲れましたか?」
「モフみが足りていないだけです。」
膨れて見上げてみる。彼は隣に腰を下ろしてこてんと頭を肩に置いてきた。
「ここは人の目が多いのであなたの家でよろしいですか。ブラッシングでもなんでも受けますから。」
「…わかりました。」
残念と思いながら頭を撫でると距離は近い。もしかして私が爆睡している間ずっと起きていたとか???そう思いながら髪を撫でる。ゴロンと膝に転がってくる。外でこれだけ甘えた?ようにするのは珍しい。鼻のきく範囲で人の気配を感じていないのだろう。ミカエラがそう思いながら彼の頭を撫でていると腰に腕を回してくっついてきた。
「近い。」
「近くに誰もいませんから。寝静まっていますし。」
「…だから私の醜聞とか言われるのでしょうか。」
「醜聞ではないでしょう。仕事と私的なことですから。」
まぁ醜聞かどうかで言われたら醜聞ではないし、別にやましいことのない同意のある契約の仕事でもある。やましいことがあるように振る舞っているがどこをどう見ても健全である。適当に髪を撫でていると身体を起こした彼はいつものようにミカエラを膝に乗せてきた。
「イザーク様…」
「好きです。」
「何回も言われなくてもわかりました。」
「ミカエラは変わりましたか?いい方向に」
「…特に変化なしです。これで怒っていないのだからそれでいいでしょう。」
「私は足りません。」
足りないと言われても私には語彙も無ければ好きか嫌いの二択を迫られたら好きだがここまでではない。イザークは口付けばかりしてくる。耳元で愛しているだの恥ずかしいセリフを良い声で囁いてくる…勘弁してくれ。赤くなりながらも近くにある彼の口を手で押さえて嫌だと離れる。腕で抱えられているから動く範囲は限られているが大体これで引いてくれる。
近付かないがじっと見下ろされる。腕を離してくれたら降りれるが、直ぐに降りようとしたらへそをまげる(経験則)。どうしたものか。
「他所様の家の庭でするようなことではないです。」
「侯爵家の方々は気にしませんよ。」
「私が気にするので嫌です。」
「…せめて誑かして下さい。」
「そんな語彙ありません。」
「…少しくらい私が喜ぶような言葉を聞かせてください。」
いや、言ったら調子乗りますよね????拡大解釈して私は言葉巧みに丸め込まれて変な方向に頷かされて事後承諾とか頷いたからとかで巻き込まれるのを知っているのですよ???
「ミカエラ? ちょっとしたワガママもダメなのですか?」
「……せめて家にしてください。散歩に出てきたのです…下ろしてください。部屋に戻ります。」
少し強引に腕から抜け出して立ち上がる。風が強くなってきた。薄着すぎ…温かいものが肩にのった。上着…
「分厚いストールか上着を準備すべきでした。雨が近いようですし部屋に戻りましょう。」
「…分かるのですか?」
「まぁ、犬が混ざってますから感覚は鋭いですよ。」
1度別の方角を気にしたように見えた。多分勘違いだろう。寒いし部屋に戻ろうと歩きだそうとした。
「????」
「すみません。」
「はい??」
しないと言ったのに無理矢理口付けをされた。しかも長い…長い…苦し…胸をドンドンと叩いてやっと離してくれたがしんどい。酸欠になるかと思った。ひょいと抱き上げられた。出禁にしてやろうか…そう思った。本気で。
「なんですか!いきなり!!」
「…すみません。お叱りは後で受けます。風邪引く前に部屋に戻りましょうか。」
誰かいたとか……聞きたくない。
「拗れないようにお願いします。」
これくらいしか言えない。風邪引く前に部屋に戻る。明日には家に帰れるだろうから。
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