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102 プレゼント
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「ミカエラ、私としてきちんとプレゼントを贈りたいのです。」
「商業ギルドに言って流行を追いつつ発注書出したらどうせ私のところに来るんですよ?それなら最初から材料だけ持ってきて希望のデザインを話してもらい私が作ったほうがいいです。美味しいご飯で手を打ちますし。ただ、材料は持参になりますけれど。それで良ければ私が作りますよ?」
職人の細かいことは彼女の方が上ではあるが、高価なものを渡すというよりも自分が贈りたいだけなのにそれを作るとなると彼女に依頼が入ってしまう。と言っても、彼女以上に今人気のある技術者はいない。それに依頼しようとしたら彼女がまず出来栄えを職人としてみてしまいそうだ。それにドレスは宝石以上にはやりが早い。色々考えたら宝石類が一番いいわけだが。プレゼントをしたい。イザークもそれはそれで困ったと。思いながら彼女をみる。
「結局こうなるならなくていいと思うのですけれど。」
「う…もう少し考えますが、人の作品を贈られたらどういう気持ちになるのですか?」
「勉強の意味も込めてマジマジとじっくりと見ます。それでこれくらいかなって値段予想つけます。聞くようなことはしませんよ?悪徳職人に捕まってないかだけ尋ねるかも知れませんけれど。」
ミカエラは仕事ということで確認作業だけはするかも知れない。ぼったくり過ぎていたら商業ギルドに行くべき案件だ。偽物の石や粗悪品を使う場合だってある。審美眼のない貴族相手なら。そういうのは大体伯爵家以下の三男とかあまり高級品も買う機会が多くないお貴族様相手にするわけで、イザーク様はそれにあたるので下手したらぼったくられる。
「私がぼったくられると?」
「プレゼントを工房や店まで行って買う人って結構ぼりやすいんです。貴族の家にお抱えの職人に命じるならまだいいです。家には本物がたくさんあって価値もそれ以上もあるでしょうから。ですが、店にとなるとぼるところはある程度粗悪品を並べて粗悪品から注文を取ろうとするんです。そういうところって結構あったりしますからね。貴族の下請けで。審美眼がないと自分で白状するのも貴族のプライドが許さないでしょうし。」
「なら給料天引きで侯爵家の専属に頼めばいいのですね。」
「ユーリ様に言ったら私に仕事回しますよ。内容だけ聞いて。」
そういう人だと思う。面白おかしくすると思う。それに私の気持ちとかよりも付き合いの長いイザーク様を優先するのは当然だし、私はただの庶民だし。優先順位は私よりもイザーク様だし。
そういうことも踏まえてイザークがどう動くのだろうと思って、ミカエラは彼をみる。トータルの費用対効果を考えたら私に依頼するのが一番いいし、私も使ったことのない材料で要望だけ聞いて好き勝手に作れるならそれはそれでいい気がしてきた。
アクセサリーを作るのが仕事で身につけるなんてしないから作ったとしても髪飾りとかになるはず。イザーク様の髪も長いからそれでいいと思う。耳飾りとか私使わないし。お金は取らないから珍しい宝石や魔石を獲得してくれるならそれはそれで私が嬉しいと思う。宝石でもクズ石を色々使ってきたが大きな宝石は買わないといけないし採掘するにも色々大変だ。
そういうことでプレゼントとなると話がまとまらない。
イザークは立ち上がり椅子を持ち彼女の横に移動する。正面で向かい合うより隣に座りたいようだ。彼女は頭を撫でられたりしてされるがままだ。嫌ではないし、心地良いと言えば心地よい。ここまで人に頭を撫でられたりするのは孤児院もあまりなかったので最初は慣れなくて嫌だったけれど、今ではそうではないと思い始めた。
懐柔されているのか絆されているのか…一番どうしていいかわからない。それでもこの人が喜ぶなら。で、自分も嫌ではないということで今のこの感じが成立している。触りたいならさわれば良いと思っているし私も思っていたより単純なのかも知れない。
「そこまで無理しないでプレゼントとか要りませんよ?貴重な宝石や魔石を渡されて作りたいものを作っていいでも私結構喜びますし。」
「材料渡されて喜ぶって何ですか。」
「職人なので自分用で仕事ではない趣味を作るにしてもそれはそれで楽しいんです。」
「ですが、あなた魔石を加工するにも魔力そんなにないでしょう。」
「そうですよ。魔力ないから時間をかなりかけて作るしかないんです。」
魔石の加工は大なり小なり魔力を必要とする。そして魔力があまりないミカエラがするにはすぐに魔力切れを起こして寝込むなり倒れたりすることもある。なので貴重な魔石などであれば魔力の少ないミカエラはすぐに寝込むに決まっている。
「…触ってみたい宝石とかあるのですか?原石で。大体触っていたりするのでは???」
「そうですね…貴族様はダイヤモンドとか色々持ち込みもあるので結構触っていますね。」
「特に触ってみたい宝石もないのですか?」
「…亜麻色の髪に合わせるとなると大体紫とかが多いですね。でも何でもいいですが。そこをお任せしても???」
イザークは別方向でまた頭を悩ませることになった。方向性として彼女に原石を渡すことになるのだろうけれど、彼女が欲しがる石を探ることになりそうだ。
「商業ギルドに言って流行を追いつつ発注書出したらどうせ私のところに来るんですよ?それなら最初から材料だけ持ってきて希望のデザインを話してもらい私が作ったほうがいいです。美味しいご飯で手を打ちますし。ただ、材料は持参になりますけれど。それで良ければ私が作りますよ?」
職人の細かいことは彼女の方が上ではあるが、高価なものを渡すというよりも自分が贈りたいだけなのにそれを作るとなると彼女に依頼が入ってしまう。と言っても、彼女以上に今人気のある技術者はいない。それに依頼しようとしたら彼女がまず出来栄えを職人としてみてしまいそうだ。それにドレスは宝石以上にはやりが早い。色々考えたら宝石類が一番いいわけだが。プレゼントをしたい。イザークもそれはそれで困ったと。思いながら彼女をみる。
「結局こうなるならなくていいと思うのですけれど。」
「う…もう少し考えますが、人の作品を贈られたらどういう気持ちになるのですか?」
「勉強の意味も込めてマジマジとじっくりと見ます。それでこれくらいかなって値段予想つけます。聞くようなことはしませんよ?悪徳職人に捕まってないかだけ尋ねるかも知れませんけれど。」
ミカエラは仕事ということで確認作業だけはするかも知れない。ぼったくり過ぎていたら商業ギルドに行くべき案件だ。偽物の石や粗悪品を使う場合だってある。審美眼のない貴族相手なら。そういうのは大体伯爵家以下の三男とかあまり高級品も買う機会が多くないお貴族様相手にするわけで、イザーク様はそれにあたるので下手したらぼったくられる。
「私がぼったくられると?」
「プレゼントを工房や店まで行って買う人って結構ぼりやすいんです。貴族の家にお抱えの職人に命じるならまだいいです。家には本物がたくさんあって価値もそれ以上もあるでしょうから。ですが、店にとなるとぼるところはある程度粗悪品を並べて粗悪品から注文を取ろうとするんです。そういうところって結構あったりしますからね。貴族の下請けで。審美眼がないと自分で白状するのも貴族のプライドが許さないでしょうし。」
「なら給料天引きで侯爵家の専属に頼めばいいのですね。」
「ユーリ様に言ったら私に仕事回しますよ。内容だけ聞いて。」
そういう人だと思う。面白おかしくすると思う。それに私の気持ちとかよりも付き合いの長いイザーク様を優先するのは当然だし、私はただの庶民だし。優先順位は私よりもイザーク様だし。
そういうことも踏まえてイザークがどう動くのだろうと思って、ミカエラは彼をみる。トータルの費用対効果を考えたら私に依頼するのが一番いいし、私も使ったことのない材料で要望だけ聞いて好き勝手に作れるならそれはそれでいい気がしてきた。
アクセサリーを作るのが仕事で身につけるなんてしないから作ったとしても髪飾りとかになるはず。イザーク様の髪も長いからそれでいいと思う。耳飾りとか私使わないし。お金は取らないから珍しい宝石や魔石を獲得してくれるならそれはそれで私が嬉しいと思う。宝石でもクズ石を色々使ってきたが大きな宝石は買わないといけないし採掘するにも色々大変だ。
そういうことでプレゼントとなると話がまとまらない。
イザークは立ち上がり椅子を持ち彼女の横に移動する。正面で向かい合うより隣に座りたいようだ。彼女は頭を撫でられたりしてされるがままだ。嫌ではないし、心地良いと言えば心地よい。ここまで人に頭を撫でられたりするのは孤児院もあまりなかったので最初は慣れなくて嫌だったけれど、今ではそうではないと思い始めた。
懐柔されているのか絆されているのか…一番どうしていいかわからない。それでもこの人が喜ぶなら。で、自分も嫌ではないということで今のこの感じが成立している。触りたいならさわれば良いと思っているし私も思っていたより単純なのかも知れない。
「そこまで無理しないでプレゼントとか要りませんよ?貴重な宝石や魔石を渡されて作りたいものを作っていいでも私結構喜びますし。」
「材料渡されて喜ぶって何ですか。」
「職人なので自分用で仕事ではない趣味を作るにしてもそれはそれで楽しいんです。」
「ですが、あなた魔石を加工するにも魔力そんなにないでしょう。」
「そうですよ。魔力ないから時間をかなりかけて作るしかないんです。」
魔石の加工は大なり小なり魔力を必要とする。そして魔力があまりないミカエラがするにはすぐに魔力切れを起こして寝込むなり倒れたりすることもある。なので貴重な魔石などであれば魔力の少ないミカエラはすぐに寝込むに決まっている。
「…触ってみたい宝石とかあるのですか?原石で。大体触っていたりするのでは???」
「そうですね…貴族様はダイヤモンドとか色々持ち込みもあるので結構触っていますね。」
「特に触ってみたい宝石もないのですか?」
「…亜麻色の髪に合わせるとなると大体紫とかが多いですね。でも何でもいいですが。そこをお任せしても???」
イザークは別方向でまた頭を悩ませることになった。方向性として彼女に原石を渡すことになるのだろうけれど、彼女が欲しがる石を探ることになりそうだ。
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