62 / 165
第一部 綿毛のようにたどり着きました
お説教
しおりを挟む
女子会を終えて宿に帰る。
始まりも早かったから終わりも早かったんだけれど、アナベルさんとマルタさんが送ってくれた。ジョーさんとハンナさんは工房がそばだとかで一緒に帰っていった。
「バグズブリッジは治安は悪くないんですけど、それでも独り歩きはちょっと……」
あー。そうなのか~。
どこの世界でも心配ごとは同じだね。
「今日はありがとうございました。ハンナは明日の朝、神殿の鐘が七を打つくらいに来ますね」
「少し早くて申し訳ないけど……」
「いえいえ。私も8つの鐘でギルドに行かないといけないので……」
そう言うと二人の視線がパシッと光った。
「あ、あの、例の件ですけど……」
うん。打診してみるよ!
……まあ、その前にアーロンに相談しないといけない。
「聞くだけは聞いてみますね」
私としてはこれから色々売りたいし、でも目立つのは嫌なので「なんか女子が集まってるな……」くらいの感じでやれるととても嬉しい。
幸い、話した感じみんないい人っぽいし!
そんなことを考えて部屋に入り、生活魔法で冷たい水を一杯飲む。
ドアと鍵を確認。
ん!
大丈夫!
それからスキルを使ってスクリーンを開けたら……
アーロンがカンカンになって待っていた。
「お! ま! え! は!」
おー。
一音一音スタッカートだ……。
でも今回の件は不可抗力だと思うの。
「そもそもオーロラの助けなんか借りるから……! お前はあの女がどれだけ頑固なのか知らんのだ!」
……まあ、それは、確かに知らないけど……。
でも、今回の件はオーロラが手を出してくれなかったら結構大変だったと思うよ。
「む、それはそうなのだが……」
でしょでしょ?
「しかし本神殿がな……」
あれ、神殿ってアナスタシアや三大神を祀ってるんじゃないの?
「……色々あるのだ」
私の素朴な疑問にアーロンは苦虫を噛み潰したような顔をした。
そ、そうか……色々あるのか……。
なんか嫌な予感しかしないよ。
「まあ、しかし、あまり心配させるな」
アーロンの口調からは本気で心配してくれていたことが伝わってきて、私はなんだかじん……と来てしまう。
「アーロン、ありがと」
「私は怒っているのだが?」
うん。
なんか、あるよね。怒られてるけど嬉しいって!
まあ、しかし、それはそうなんだけど、とりあえずは資源ごみ漁りにうつる。
透明なガラス瓶と色付きのといくつか揃えたいんだよね。
「量に気をつけろ。宿の人間はお前がさして大荷物を持たずに宿泊したのを覚えているはずだからな」
!
おお!
そうだった!
さすが知恵の神様。賢い。
「全く褒められた気がせん」
げっそりと、アーロンがつぶやく。
「本気で褒めてるのにな~」
そんなことを言いつつスクリーンを眺めていたら可愛い赤いガラス瓶が目に入る。あー! この化粧品使ったことがある! ロングセラーだよね。
時間はかかったけれどいくつか色を取り揃えることができた。
ハンナさんが上手にガラスペンを作ってくれると良いんだけど……
私には技術的なことは全くわからないから悩みつついくつか取り揃えた。
私は簡単に作ってくれたらいいな~と思ってるけど、ハンナさんにとってはものすごく難しいのかもしれないし、本当にわからない。
「ところで、神官補は信用していい」
考え込みながら物色しているとアーロンがボソッと言う。
あ、そうなんだ。
職人女子会を隠れ蓑にするのはどう?
「それも、悪い考えではないのだが……」
こちらは、アーロンがやや歯切れの悪い反応を返した。
「まあ、あれだ……さんざん言っておいてなんだが、オーロラの意志の儀式をしておくぐらいはしたほうが良いな」
あ、そうなんだ。
「人の口に戸は立てられないからな」
でも、フェリックスさんとの契約はしても良いと言われたよ。まずは女子会を契約母体にしてその中に私の保護事項を組み込むようにさせるといい、と言うことだった。
うお~。
始まりも早かったから終わりも早かったんだけれど、アナベルさんとマルタさんが送ってくれた。ジョーさんとハンナさんは工房がそばだとかで一緒に帰っていった。
「バグズブリッジは治安は悪くないんですけど、それでも独り歩きはちょっと……」
あー。そうなのか~。
どこの世界でも心配ごとは同じだね。
「今日はありがとうございました。ハンナは明日の朝、神殿の鐘が七を打つくらいに来ますね」
「少し早くて申し訳ないけど……」
「いえいえ。私も8つの鐘でギルドに行かないといけないので……」
そう言うと二人の視線がパシッと光った。
「あ、あの、例の件ですけど……」
うん。打診してみるよ!
……まあ、その前にアーロンに相談しないといけない。
「聞くだけは聞いてみますね」
私としてはこれから色々売りたいし、でも目立つのは嫌なので「なんか女子が集まってるな……」くらいの感じでやれるととても嬉しい。
幸い、話した感じみんないい人っぽいし!
そんなことを考えて部屋に入り、生活魔法で冷たい水を一杯飲む。
ドアと鍵を確認。
ん!
大丈夫!
それからスキルを使ってスクリーンを開けたら……
アーロンがカンカンになって待っていた。
「お! ま! え! は!」
おー。
一音一音スタッカートだ……。
でも今回の件は不可抗力だと思うの。
「そもそもオーロラの助けなんか借りるから……! お前はあの女がどれだけ頑固なのか知らんのだ!」
……まあ、それは、確かに知らないけど……。
でも、今回の件はオーロラが手を出してくれなかったら結構大変だったと思うよ。
「む、それはそうなのだが……」
でしょでしょ?
「しかし本神殿がな……」
あれ、神殿ってアナスタシアや三大神を祀ってるんじゃないの?
「……色々あるのだ」
私の素朴な疑問にアーロンは苦虫を噛み潰したような顔をした。
そ、そうか……色々あるのか……。
なんか嫌な予感しかしないよ。
「まあ、しかし、あまり心配させるな」
アーロンの口調からは本気で心配してくれていたことが伝わってきて、私はなんだかじん……と来てしまう。
「アーロン、ありがと」
「私は怒っているのだが?」
うん。
なんか、あるよね。怒られてるけど嬉しいって!
まあ、しかし、それはそうなんだけど、とりあえずは資源ごみ漁りにうつる。
透明なガラス瓶と色付きのといくつか揃えたいんだよね。
「量に気をつけろ。宿の人間はお前がさして大荷物を持たずに宿泊したのを覚えているはずだからな」
!
おお!
そうだった!
さすが知恵の神様。賢い。
「全く褒められた気がせん」
げっそりと、アーロンがつぶやく。
「本気で褒めてるのにな~」
そんなことを言いつつスクリーンを眺めていたら可愛い赤いガラス瓶が目に入る。あー! この化粧品使ったことがある! ロングセラーだよね。
時間はかかったけれどいくつか色を取り揃えることができた。
ハンナさんが上手にガラスペンを作ってくれると良いんだけど……
私には技術的なことは全くわからないから悩みつついくつか取り揃えた。
私は簡単に作ってくれたらいいな~と思ってるけど、ハンナさんにとってはものすごく難しいのかもしれないし、本当にわからない。
「ところで、神官補は信用していい」
考え込みながら物色しているとアーロンがボソッと言う。
あ、そうなんだ。
職人女子会を隠れ蓑にするのはどう?
「それも、悪い考えではないのだが……」
こちらは、アーロンがやや歯切れの悪い反応を返した。
「まあ、あれだ……さんざん言っておいてなんだが、オーロラの意志の儀式をしておくぐらいはしたほうが良いな」
あ、そうなんだ。
「人の口に戸は立てられないからな」
でも、フェリックスさんとの契約はしても良いと言われたよ。まずは女子会を契約母体にしてその中に私の保護事項を組み込むようにさせるといい、と言うことだった。
うお~。
33
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説
Age43の異世界生活…おじさんなのでほのぼの暮します
夏田スイカ
ファンタジー
異世界に転生した一方で、何故かおじさんのままだった主人公・沢村英司が、薬師となって様々な人助けをする物語です。
この説明をご覧になった読者の方は、是非一読お願いします。
※更新スパンは週1~2話程度を予定しております。
玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~
やみのよからす
ファンタジー
病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。
時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。
べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。
月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ?
カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。
書き溜めは100話越えてます…
異世界召喚に巻き込まれたおばあちゃん
夏本ゆのす(香柚)
ファンタジー
高校生たちの異世界召喚にまきこまれましたが、関係ないので森に引きこもります。
のんびり余生をすごすつもりでしたが、何故か魔法が使えるようなので少しだけ頑張って生きてみようと思います。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
異世界転移した町民Aは普通の生活を所望します!!
コスモクイーンハート
ファンタジー
異世界転移してしまった女子高生の合田結菜はある高難度ダンジョンで一人放置されていた。そんな結菜を冒険者育成クラン《炎樹の森》の冒険者達が保護してくれる。ダンジョンの大きな狼さんをもふもふしたり、テイムしちゃったり……。
何気にチートな結菜だが、本人は普通の生活がしたかった。
本人の望み通りしばらくは普通の生活をすることができたが……。勇者に担がれて早朝に誘拐された日を境にそんな生活も終わりを告げる。
何で⁉私を誘拐してもいいことないよ⁉
何だかんだ、半分無意識にチートっぷりを炸裂しながらも己の普通の生活の(自分が自由に行動できるようにする)ために今日も元気に異世界を爆走します‼
※現代の知識活かしちゃいます‼料理と物作りで改革します‼←地球と比べてむっちゃ不便だから。
#更新は不定期になりそう
#一話だいたい2000字をめどにして書いています(長くも短くもなるかも……)
#感想お待ちしてます‼どしどしカモン‼(誹謗中傷はNGだよ?)
#頑張るので、暖かく見守ってください笑
#誤字脱字があれば指摘お願いします!
#いいなと思ったらお気に入り登録してくれると幸いです(〃∇〃)
#チートがずっとあるわけではないです。(何気なく時たまありますが……。)普通にファンタジーです。
世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない
猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。
まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。
ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。
財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。
なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。
※このお話は、日常系のギャグです。
※小説家になろう様にも掲載しています。
※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる