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第一部 綿毛のようにたどり着きました

お説教

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女子会を終えて宿に帰る。
始まりも早かったから終わりも早かったんだけれど、アナベルさんとマルタさんが送ってくれた。ジョーさんとハンナさんは工房がそばだとかで一緒に帰っていった。


「バグズブリッジは治安は悪くないんですけど、それでも独り歩きはちょっと……」

あー。そうなのか~。
どこの世界でも心配ごとは同じだね。

「今日はありがとうございました。ハンナは明日の朝、神殿の鐘が七を打つくらいに来ますね」
「少し早くて申し訳ないけど……」
「いえいえ。私も8つの鐘でギルドに行かないといけないので……」
そう言うと二人の視線がパシッと光った。

「あ、あの、例の件ですけど……」

うん。打診してみるよ!

……まあ、その前にアーロンに相談しないといけない。

「聞くだけは聞いてみますね」

私としてはこれから色々売りたいし、でも目立つのは嫌なので「なんか女子が集まってるな……」くらいの感じでやれるととても嬉しい。

幸い、話した感じみんないい人っぽいし!

そんなことを考えて部屋に入り、生活魔法で冷たい水を一杯飲む。
ドアと鍵を確認。
ん!
大丈夫!

それからスキルを使ってスクリーンを開けたら……

アーロンがカンカンになって待っていた。


「お! ま! え! は!」

おー。
一音一音スタッカートだ……。
でも今回の件は不可抗力だと思うの。

「そもそもオーロラの助けなんか借りるから……! お前はあの女がどれだけ頑固なのか知らんのだ!」


……まあ、それは、確かに知らないけど……。

でも、今回の件はオーロラが手を出してくれなかったら結構大変だったと思うよ。

「む、それはそうなのだが……」

でしょでしょ?

「しかし本神殿がな……」

あれ、神殿ってアナスタシアや三大神を祀ってるんじゃないの?

「……色々あるのだ」

私の素朴な疑問にアーロンは苦虫を噛み潰したような顔をした。


そ、そうか……色々あるのか……。
なんか嫌な予感しかしないよ。

「まあ、しかし、あまり心配させるな」

アーロンの口調からは本気で心配してくれていたことが伝わってきて、私はなんだかじん……と来てしまう。

「アーロン、ありがと」

「私は怒っているのだが?」

うん。
なんか、あるよね。怒られてるけど嬉しいって!

まあ、しかし、それはそうなんだけど、とりあえずは資源ごみ漁りにうつる。

透明なガラス瓶と色付きのといくつか揃えたいんだよね。

「量に気をつけろ。宿の人間はお前がさして大荷物を持たずに宿泊したのを覚えているはずだからな」


おお!
そうだった!

さすが知恵の神様。賢い。

「全く褒められた気がせん」

げっそりと、アーロンがつぶやく。


「本気で褒めてるのにな~」

そんなことを言いつつスクリーンを眺めていたら可愛い赤いガラス瓶が目に入る。あー! この化粧品使ったことがある! ロングセラーだよね。

時間はかかったけれどいくつか色を取り揃えることができた。
ハンナさんが上手にガラスペンを作ってくれると良いんだけど……
 

私には技術的なことは全くわからないから悩みつついくつか取り揃えた。
私は簡単に作ってくれたらいいな~と思ってるけど、ハンナさんにとってはものすごく難しいのかもしれないし、本当にわからない。

「ところで、神官補は信用していい」

考え込みながら物色しているとアーロンがボソッと言う。
あ、そうなんだ。

職人女子会を隠れ蓑にするのはどう?

「それも、悪い考えではないのだが……」

こちらは、アーロンがやや歯切れの悪い反応を返した。

「まあ、あれだ……さんざん言っておいてなんだが、オーロラの意志の儀式をしておくぐらいはしたほうが良いな」


あ、そうなんだ。

「人の口に戸は立てられないからな」

でも、フェリックスさんとの契約はしても良いと言われたよ。まずは女子会を契約母体にしてその中に私の保護事項を組み込むようにさせるといい、と言うことだった。

うお~。
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