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第1章 大陸南東編
3.作戦の狙い
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僕達は今、ルーミィのお母さんの前に正座中だ。何だか「お嬢さんを僕にください」とお願いしているように見えるけど、実は
『ルーミィvsお母さん&僕』という構図。
「ママ、あたしはやっと自分のやりたいことを見つけたの!だから応援してね!」
『あなた、まだ12歳じゃない。もっといろいろ経験してから自分に合ったことを見つけるべきよ?焦らないの』
「ロトと一緒にいろいろ経験するから大丈夫よ!」
おいルーミィ、変なこと言うな!お母さんがジト目でこっち見てるじゃん!誤解されてるぞ!
『あなたはロト君とは違うのよ?足を引っ張って迷惑を掛けるだけよ』
「昨日も剣術の試合でロトに勝ったもん!あたしが守ってあげるんだから!」
『ロト君がわざと負けたのよ。そんなことも気付かないで一緒に旅をできるわけ?』
何だか自分が情けなくなってきたよ……。
でも勇者リンネ様だって女の子だけど強かったし、あまり気にしちゃいけないの?でも男のプライドが傷付くよ。
「ぷぅ??!」
やばい、ルーミィが膨らんだ。キレる5秒前だ!
フォローしないと!
「お母さん、ルーミィちゃんは本当に強かったんですよ?まさに、狂戦士でした。クラスで1番強いと思います」
『ロト君が私を“お母さん”って呼ぶ日が来るなんて思わなかったわ!ルーミィ、いつの間にハートを射止めたの?』
「えへっ!日々の努力の積み重ねですっ!」
ちょっと!変な方向に向かわないで!
「すみません、“ルーミィちゃんのお母さん”!
もう1回言いますね、まさに、ルーミィちゃんはバーサーカーでした。一緒にいたらいつか刺されそうです」
『愛する乙女は皆がバーサーカーよ!ルーミィはやっぱり私の娘ね!見直したわ!』
「でしょ?じゃあ、旅に出ても良いよね?」
『でもね、まだ“いろいろ”経験するのは早いから、キスまでにしておくこと。ちゃんと約束できるならパパを説得してあげるわ』
「分かった!ママ、大好きっ!!」
「ちょっと待った!!僕の意思は?僕の意思が反映されていませんよね?移動だって……盗賊とか危ないし、学校だってあるし、“ルーミィちゃんのお父さん”だって、一人娘が出ていったら悲しみますよ!」
『ロト君は本当に慎重派よね、頼もしいわ!盗賊に会ったらルーミィがバーサークするし、学校は義務じゃないもの。一応、遠くの親類の家に遊びに行くって理由で休学するね。パパは大丈夫よ!娘なんてどうせいつかは出ていくんだから』
「そうよ、ロトは心配しすぎよ」
いつの間にか
『ルーミィ&お母さんvs僕』という構図に変わっているよ……どこで間違えた!?
「でも、僕は浮遊魔法を使って移動するから馬車とかいらないけど、ルーミィちゃんは……」
『浮遊魔法?ちょうど昨日衝動買いしちゃったわ!ラッキーね!これは運命なのかもしれない……俄然応援する気が湧いてきた!』
いや、ラッキー超えてご都合主義爆発でしょ!
ここまでくると、誰かの作為を感じるよ!
「さすがあたしのママだね!幸運スキルは本当に凄いわ!」
スキルかい!
どうする……?
心の奥底に眠る僕の夢が崩壊する!
1.勇者リンネ様の魂と共に歩む旅!
2.あわよくばハーレムを!
ルーミィがいたら全部ダメになる。どうする?
『ロト君、まだ何か不安があるの?』
不安しかありませんけどね!
「ロト、3日間はうちで準備するから1つ1つ解決していこう?あたしたちが力を合わせれば不可能はないわ!」
『そうね、ルーミィは浮遊魔法を練習しなさいね。ロト君もうちに泊まっていいから。お母さんには私から言っておくわ』
「はい……ありがとうございます……」
猶予は3日間か。そのうちにパパさんを味方につけて逆転を目指すしかないかな。まだ夢を諦めない!
★☆★
ルーミィの部屋での第1回作戦会議が始まった。
何回も来てる部屋だけど、相変わらず女の子全開の可愛い趣味してるなぁ。パステルカラーだよ。眩しすぎる。
なんか、机に僕の写真があるんだけど……ストーカー疑惑?ベッドはぬいぐるみばっかり。何だかいい匂いがする……。
「ちょっと!なに見てるのよ!ちゃんと作戦会議する気あるわけ?」
「そう言いながら顔をトマトみたいにして僕の写真をひっくり返してるのは誰かな。なんか、その写真……死んだ人みたいだから戻してよ」
「この写真……そう、あれよ!昨日のことを謝ろうと思って」
「それ、言い訳になってる?」
「仕方ないでしょ!さっ、会議するわよ!
まずは、ロトの蘇生魔法について教えてね」
「何が仕方ないか分からないけどね??。
僕の蘇生魔法の特徴は5つある。
1つ目は、1日1回しか使えない。
2つ目は、身体に触れないといけない。
3つ目は、生き物全てに効果がある。
4つ目は、同じ対象には1回しか効果がない。
5つ目は、病気や寿命で死んだ場合は数分間しか生き返らすことができない。
まだ使ったことはないけど、ざっとこんな感じかな」
「やっぱり、ロトは凄いわ!でも、どうしてお兄さんが亡くなったときに使わなかったの?」
「兄は、病気だったと聞いてる。勿論、父さんも母さんも僕のスキルのことは知ってる。だから、信じるしかないね」
「なんか嫌なこと聞いてごめんね」
「あのときは僕もまだ7歳だったし、兄のお葬式も遠くでやったみたいで僕は行ってないんだよね。もう昔のことだから気にしてないよ?」
「そう……じゃあ、あたしからいくつか質問ねっ!まず、蘇生の代金はどうするの?」
「えっ!?考えてなかったよ?お金をとるの?」
「不謹慎かもしれないけど、活動資金のこともあるし、タダにすると希望者が殺到するわよ?」
「それはそうなんだけど、僕は別にお金持ちだけを助けたいわけでも、自分がお金持ちになりたいわけでもないよ……」
「じゃあ、お金以外もありで良くない?」
「お金以外……アイテムとか?払う物が無ければもしかしたら……身体で払ってくださいとか?」
「バカっ!」
「ごめん、ちょっと調子に乗ってみた!払えなかったら、何か手伝ってもらうとかかな?それも無理なら身体で……」
「もぅ!でも、働いてもらうか、お手伝いや協力もありね。じゃあ、お金の場合はいくらにするの?」
「安くて良くない?100リル(1万円)くらいとか?」
「だから、それじゃタダと変わらないでしょ?お金持ちからはたくさん取るの!」
「じゃあ、『あなたが考えているこの人の命の価値を考えてお支払いください』みたいな?」
「しぶぅ??!それ渋くてかっこいいね!そうしてみよっか。なんかさ、人の性格が滲み出てくるよね」
「まぁ、3日間フィーネで試してみようよ」
「あと、どうやって依頼者を探すの?まさかお葬式場で待機とか、お墓荒らしとかしないわよね!?」
「それはちょっと考えてる。って、お墓荒らしじゃなくて、ギルドのクエスト掲示板を利用しようと思う」
「そっか、それは安心よね!でも、依頼者がたくさん来ちゃったらどうするの?1日1人だと、3日間で3人だけでしょ?」
「書類審査とか、面接とかは?」
「落ちた人が逆恨みするわよ?」
「そっか……僕が脅迫されたり殺されそうだね……」
「そんなときのために、あたしがいるんでしょ?ロトのことは絶対に守るわ!でも、あたしが死んじゃったら真っ先に蘇生してよ?」
「あははっ!分かったよ!」
「依頼者を選ぶのは、ギルドに任せない?」
「それも考えたんだけど、誰を生き返らすかは自分自身が決めないとダメだと思う。自分の目で見てから決めたい」
「そうだよね……ギルドを疑うわけじゃないけど、ロトが決めるべきというのは当然だわ!」
「先着順はダメだよね、依頼者か冒険者ばっかりになっちゃいそうだし」
「先着順なんて論外ね。まだ依頼者が殺到するかは分からないけどね。じゃあ、依頼者を集めて1番早く泣いた人が勝ちとか?」
「そっちこそ論外!嘘泣き上手に魔法を使ってあげる義理はなし!勝ち負けとか……真面目に考えてよ!」
「ごめん。真面目に考える」
……
「ロト、なるべく若い子を優先するのは?お年寄りを蔑ろにするつもりはないけど、将来性を考えたらそうすべきじゃない?」
「そうかもね。でも、事故で死んじゃった市長さんと、身寄りのない孤児と……世の中で必要とされるのはどっちだろう?」
「あたしには分からないわ!市長さんが実は悪いことたくさんしてるかもだし、孤児が将来、伝説の勇者になるかもだし」
「そうだよね。人の善悪が分かるスキルとか、未来が見えるスキルでもあればね」
「あるわよ?」
「へ?」
「あたしね、バーサーカーとソウルジャッジのスキルを持ってるの!」
「やっぱり、バーサーカーかよ!」
「このタイミングで、そっちを突っ込むの!?」
「じゃあ、ソウルジャッジって何?」
「ふふん!あたしは、その人の魂が持つ善悪を数値化して、±100の数字として見れるの!ユニークスキルよ!凄いでしょ!」
「凄い!けど、怖い!!因みに、僕には使わないでよね!?」
「大丈夫よ。ロトは今まで見た中で最強に良い人なんだから!あたしが保証する!」
まさか?ルーミィのスキルの底が見えたぜ!
僕の心に潜む邪悪な闇を見抜けないなんてな!
ハッハッハ!
「ロト、顔が怖い!」
「じゃあ、何?死体を全部見てチェックしてから誰を生き返らすか決めるってこと?なんか、精神的に無理じゃない?できれば避けたい……」
「それは……あたしも嫌だわ!じゃあ、書類審査して、年齢も見て、必要なら何人かにソウルジャッジをする感じ?」
「そうだよね。あまりにも依頼者が多かったらそのときに考えようか!」
「うん!あと、クラン(組織)を作るわよ!お金の管理もあるし、ロトを守ったり、審査や調査が必要だからそのうち事務員さんを雇うとして、しばらくはメンバーは2人だけど!で、クラン名は、『エンジェルウイング』にしよっ!」
「それって……」
「そう、昔、世界から奴隷制度を無くしたクランの名前!“天使の羽で世界を優しく包む”の。ちょっと名前負けしてるけどね!」
エンジェルウイングって、勇者リンネ様がいたクランじゃん!今は解散してるから名前は使えるかもしれないし、インパクトあるね!やる気が出てきた!
「賛成!!」
★☆★
僕達は、テンションMAXでギルドに駆け込み、クエスト掲示板に堂々と貼り紙を出した!!
さて、どんな依頼がくるかな……いつの間にかリーダーがルーミィ何だけど、あれだよね、僕の身を案じてという……?
『☆★蘇生、承ります★☆
◆全ての生き物の蘇生をします。
◇病死/老衰死の場合は一時的な蘇生になります。
◆1日1人のため、厳選に審査をします。
◇報酬は金銭、その他で応相談です。
◆依頼者は、ギルドまで連絡してください。
クラン:エンジェルウイング
リーダー:ルーミィ』
『ルーミィvsお母さん&僕』という構図。
「ママ、あたしはやっと自分のやりたいことを見つけたの!だから応援してね!」
『あなた、まだ12歳じゃない。もっといろいろ経験してから自分に合ったことを見つけるべきよ?焦らないの』
「ロトと一緒にいろいろ経験するから大丈夫よ!」
おいルーミィ、変なこと言うな!お母さんがジト目でこっち見てるじゃん!誤解されてるぞ!
『あなたはロト君とは違うのよ?足を引っ張って迷惑を掛けるだけよ』
「昨日も剣術の試合でロトに勝ったもん!あたしが守ってあげるんだから!」
『ロト君がわざと負けたのよ。そんなことも気付かないで一緒に旅をできるわけ?』
何だか自分が情けなくなってきたよ……。
でも勇者リンネ様だって女の子だけど強かったし、あまり気にしちゃいけないの?でも男のプライドが傷付くよ。
「ぷぅ??!」
やばい、ルーミィが膨らんだ。キレる5秒前だ!
フォローしないと!
「お母さん、ルーミィちゃんは本当に強かったんですよ?まさに、狂戦士でした。クラスで1番強いと思います」
『ロト君が私を“お母さん”って呼ぶ日が来るなんて思わなかったわ!ルーミィ、いつの間にハートを射止めたの?』
「えへっ!日々の努力の積み重ねですっ!」
ちょっと!変な方向に向かわないで!
「すみません、“ルーミィちゃんのお母さん”!
もう1回言いますね、まさに、ルーミィちゃんはバーサーカーでした。一緒にいたらいつか刺されそうです」
『愛する乙女は皆がバーサーカーよ!ルーミィはやっぱり私の娘ね!見直したわ!』
「でしょ?じゃあ、旅に出ても良いよね?」
『でもね、まだ“いろいろ”経験するのは早いから、キスまでにしておくこと。ちゃんと約束できるならパパを説得してあげるわ』
「分かった!ママ、大好きっ!!」
「ちょっと待った!!僕の意思は?僕の意思が反映されていませんよね?移動だって……盗賊とか危ないし、学校だってあるし、“ルーミィちゃんのお父さん”だって、一人娘が出ていったら悲しみますよ!」
『ロト君は本当に慎重派よね、頼もしいわ!盗賊に会ったらルーミィがバーサークするし、学校は義務じゃないもの。一応、遠くの親類の家に遊びに行くって理由で休学するね。パパは大丈夫よ!娘なんてどうせいつかは出ていくんだから』
「そうよ、ロトは心配しすぎよ」
いつの間にか
『ルーミィ&お母さんvs僕』という構図に変わっているよ……どこで間違えた!?
「でも、僕は浮遊魔法を使って移動するから馬車とかいらないけど、ルーミィちゃんは……」
『浮遊魔法?ちょうど昨日衝動買いしちゃったわ!ラッキーね!これは運命なのかもしれない……俄然応援する気が湧いてきた!』
いや、ラッキー超えてご都合主義爆発でしょ!
ここまでくると、誰かの作為を感じるよ!
「さすがあたしのママだね!幸運スキルは本当に凄いわ!」
スキルかい!
どうする……?
心の奥底に眠る僕の夢が崩壊する!
1.勇者リンネ様の魂と共に歩む旅!
2.あわよくばハーレムを!
ルーミィがいたら全部ダメになる。どうする?
『ロト君、まだ何か不安があるの?』
不安しかありませんけどね!
「ロト、3日間はうちで準備するから1つ1つ解決していこう?あたしたちが力を合わせれば不可能はないわ!」
『そうね、ルーミィは浮遊魔法を練習しなさいね。ロト君もうちに泊まっていいから。お母さんには私から言っておくわ』
「はい……ありがとうございます……」
猶予は3日間か。そのうちにパパさんを味方につけて逆転を目指すしかないかな。まだ夢を諦めない!
★☆★
ルーミィの部屋での第1回作戦会議が始まった。
何回も来てる部屋だけど、相変わらず女の子全開の可愛い趣味してるなぁ。パステルカラーだよ。眩しすぎる。
なんか、机に僕の写真があるんだけど……ストーカー疑惑?ベッドはぬいぐるみばっかり。何だかいい匂いがする……。
「ちょっと!なに見てるのよ!ちゃんと作戦会議する気あるわけ?」
「そう言いながら顔をトマトみたいにして僕の写真をひっくり返してるのは誰かな。なんか、その写真……死んだ人みたいだから戻してよ」
「この写真……そう、あれよ!昨日のことを謝ろうと思って」
「それ、言い訳になってる?」
「仕方ないでしょ!さっ、会議するわよ!
まずは、ロトの蘇生魔法について教えてね」
「何が仕方ないか分からないけどね??。
僕の蘇生魔法の特徴は5つある。
1つ目は、1日1回しか使えない。
2つ目は、身体に触れないといけない。
3つ目は、生き物全てに効果がある。
4つ目は、同じ対象には1回しか効果がない。
5つ目は、病気や寿命で死んだ場合は数分間しか生き返らすことができない。
まだ使ったことはないけど、ざっとこんな感じかな」
「やっぱり、ロトは凄いわ!でも、どうしてお兄さんが亡くなったときに使わなかったの?」
「兄は、病気だったと聞いてる。勿論、父さんも母さんも僕のスキルのことは知ってる。だから、信じるしかないね」
「なんか嫌なこと聞いてごめんね」
「あのときは僕もまだ7歳だったし、兄のお葬式も遠くでやったみたいで僕は行ってないんだよね。もう昔のことだから気にしてないよ?」
「そう……じゃあ、あたしからいくつか質問ねっ!まず、蘇生の代金はどうするの?」
「えっ!?考えてなかったよ?お金をとるの?」
「不謹慎かもしれないけど、活動資金のこともあるし、タダにすると希望者が殺到するわよ?」
「それはそうなんだけど、僕は別にお金持ちだけを助けたいわけでも、自分がお金持ちになりたいわけでもないよ……」
「じゃあ、お金以外もありで良くない?」
「お金以外……アイテムとか?払う物が無ければもしかしたら……身体で払ってくださいとか?」
「バカっ!」
「ごめん、ちょっと調子に乗ってみた!払えなかったら、何か手伝ってもらうとかかな?それも無理なら身体で……」
「もぅ!でも、働いてもらうか、お手伝いや協力もありね。じゃあ、お金の場合はいくらにするの?」
「安くて良くない?100リル(1万円)くらいとか?」
「だから、それじゃタダと変わらないでしょ?お金持ちからはたくさん取るの!」
「じゃあ、『あなたが考えているこの人の命の価値を考えてお支払いください』みたいな?」
「しぶぅ??!それ渋くてかっこいいね!そうしてみよっか。なんかさ、人の性格が滲み出てくるよね」
「まぁ、3日間フィーネで試してみようよ」
「あと、どうやって依頼者を探すの?まさかお葬式場で待機とか、お墓荒らしとかしないわよね!?」
「それはちょっと考えてる。って、お墓荒らしじゃなくて、ギルドのクエスト掲示板を利用しようと思う」
「そっか、それは安心よね!でも、依頼者がたくさん来ちゃったらどうするの?1日1人だと、3日間で3人だけでしょ?」
「書類審査とか、面接とかは?」
「落ちた人が逆恨みするわよ?」
「そっか……僕が脅迫されたり殺されそうだね……」
「そんなときのために、あたしがいるんでしょ?ロトのことは絶対に守るわ!でも、あたしが死んじゃったら真っ先に蘇生してよ?」
「あははっ!分かったよ!」
「依頼者を選ぶのは、ギルドに任せない?」
「それも考えたんだけど、誰を生き返らすかは自分自身が決めないとダメだと思う。自分の目で見てから決めたい」
「そうだよね……ギルドを疑うわけじゃないけど、ロトが決めるべきというのは当然だわ!」
「先着順はダメだよね、依頼者か冒険者ばっかりになっちゃいそうだし」
「先着順なんて論外ね。まだ依頼者が殺到するかは分からないけどね。じゃあ、依頼者を集めて1番早く泣いた人が勝ちとか?」
「そっちこそ論外!嘘泣き上手に魔法を使ってあげる義理はなし!勝ち負けとか……真面目に考えてよ!」
「ごめん。真面目に考える」
……
「ロト、なるべく若い子を優先するのは?お年寄りを蔑ろにするつもりはないけど、将来性を考えたらそうすべきじゃない?」
「そうかもね。でも、事故で死んじゃった市長さんと、身寄りのない孤児と……世の中で必要とされるのはどっちだろう?」
「あたしには分からないわ!市長さんが実は悪いことたくさんしてるかもだし、孤児が将来、伝説の勇者になるかもだし」
「そうだよね。人の善悪が分かるスキルとか、未来が見えるスキルでもあればね」
「あるわよ?」
「へ?」
「あたしね、バーサーカーとソウルジャッジのスキルを持ってるの!」
「やっぱり、バーサーカーかよ!」
「このタイミングで、そっちを突っ込むの!?」
「じゃあ、ソウルジャッジって何?」
「ふふん!あたしは、その人の魂が持つ善悪を数値化して、±100の数字として見れるの!ユニークスキルよ!凄いでしょ!」
「凄い!けど、怖い!!因みに、僕には使わないでよね!?」
「大丈夫よ。ロトは今まで見た中で最強に良い人なんだから!あたしが保証する!」
まさか?ルーミィのスキルの底が見えたぜ!
僕の心に潜む邪悪な闇を見抜けないなんてな!
ハッハッハ!
「ロト、顔が怖い!」
「じゃあ、何?死体を全部見てチェックしてから誰を生き返らすか決めるってこと?なんか、精神的に無理じゃない?できれば避けたい……」
「それは……あたしも嫌だわ!じゃあ、書類審査して、年齢も見て、必要なら何人かにソウルジャッジをする感じ?」
「そうだよね。あまりにも依頼者が多かったらそのときに考えようか!」
「うん!あと、クラン(組織)を作るわよ!お金の管理もあるし、ロトを守ったり、審査や調査が必要だからそのうち事務員さんを雇うとして、しばらくはメンバーは2人だけど!で、クラン名は、『エンジェルウイング』にしよっ!」
「それって……」
「そう、昔、世界から奴隷制度を無くしたクランの名前!“天使の羽で世界を優しく包む”の。ちょっと名前負けしてるけどね!」
エンジェルウイングって、勇者リンネ様がいたクランじゃん!今は解散してるから名前は使えるかもしれないし、インパクトあるね!やる気が出てきた!
「賛成!!」
★☆★
僕達は、テンションMAXでギルドに駆け込み、クエスト掲示板に堂々と貼り紙を出した!!
さて、どんな依頼がくるかな……いつの間にかリーダーがルーミィ何だけど、あれだよね、僕の身を案じてという……?
『☆★蘇生、承ります★☆
◆全ての生き物の蘇生をします。
◇病死/老衰死の場合は一時的な蘇生になります。
◆1日1人のため、厳選に審査をします。
◇報酬は金銭、その他で応相談です。
◆依頼者は、ギルドまで連絡してください。
クラン:エンジェルウイング
リーダー:ルーミィ』
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