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第1章
《Episode.Ⅲ 一つ目の話、閉幕》
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反射 ⅰ
「ワンコちゃん、これから何が起こっても私が良いと言うまで決して出て来ては駄目よ? これが出来たらご褒美をあげる。」
大きな建物の一角にある、窓ガラスの前。
朝日に照らされ始め、反射する。
その前に立つのは、1人の魔女。
「鏡よ、鏡よ、鏡の魔女様。どうか出て来てくださいな、姿を見せてくださいな。」
反射した窓は、魔女の姿を映し出す。
映った色は赤と、銀の二人
窓の前に立つ姿は、
「その呼び出し方をされるの、嫌いだとはっきりお伝えしたはずだと私の記憶にはあるのですがどういうことでしょうか? 」
鏡の中の銀の少女は不愉快そうに顔を顰めて、話し出した。
「私も覚えてるよ。」
「でしたら、この物語から魔女がお一人消えておなくなりになる事になりますわね。後悔は無くて?」
「まさか。後悔は過去や未来に生きるものだけがする事でしょ、今以外に興味の無い魔女がするものじゃないよ。特に貴女が後悔なんて言葉をするのも変な感じだわ、【鏡の魔女】今はシルヴィだっけ。」
サァァ…
風が吹き抜け思わず目を閉じた少女の目に、窓に映るのは赤の少女のみ。
それに驚く事もなく、赤の少女は後ろを振り返る。
「毎度の事ながら、何でこっちにくると鏡に映らなくなるのかな?」
「そこに映る方がおかしいのではなくて? 私は一人ですもの、あちらとコチラのどちらにも存在している訳無いじゃないですか。」
「なるほど、そういう理屈なら確かに貴女の言い分が正しいや。」
「ところでそろそろ私は魔女を減らしても良いのかしら?ねぇ、【森の魔女】アンバー。」
小首を傾げ、銀の魔女は問う。
「今はそれじゃないらしいよ、カルディナだって。それと私をどうにかする前に、相談があるんだけどね。」
「あら? そうでしたの、それは失礼しました。全く、時代の移り変わりは早いですわね。 それと相談ですか…まぁ久々ですし、聞いて差し上げない事もないですわ。」
「・・・そう、良かった。うん、ありがとう」
「それで相談とは? 先日の雑草が何か落としていきましたか?」
「えぇ、まぁ落とすというより雑草が金の花を摘みに来たようです。花を護る為に、夜は彼女がいるんですが、陽のある間は私と貴女でなくては金の花は摘まれてしまいます。」
「ふふっ、私一人でもと言いたいところですが、学園に彼女を入れた以上見るものが多過ぎて面倒ですわ。仕方ないので、今回は見逃して差し上げます。」
「宜しくお願いします。もうひとつだけ、学園に貴女が入り生徒として彼女の側にいて欲しいんです。書き換えは私がしますから。」
「その程度の事、私自分で出来ますわ。仮にも私も魔女です。」
「でしたら、お願いしますね。書き換えは明日の夜明け、新たな物語の夜明けとしましょう。」
日が沈み、世が明ける。
魔女の物語、明日より開幕。
「ワンコちゃん、これから何が起こっても私が良いと言うまで決して出て来ては駄目よ? これが出来たらご褒美をあげる。」
大きな建物の一角にある、窓ガラスの前。
朝日に照らされ始め、反射する。
その前に立つのは、1人の魔女。
「鏡よ、鏡よ、鏡の魔女様。どうか出て来てくださいな、姿を見せてくださいな。」
反射した窓は、魔女の姿を映し出す。
映った色は赤と、銀の二人
窓の前に立つ姿は、
「その呼び出し方をされるの、嫌いだとはっきりお伝えしたはずだと私の記憶にはあるのですがどういうことでしょうか? 」
鏡の中の銀の少女は不愉快そうに顔を顰めて、話し出した。
「私も覚えてるよ。」
「でしたら、この物語から魔女がお一人消えておなくなりになる事になりますわね。後悔は無くて?」
「まさか。後悔は過去や未来に生きるものだけがする事でしょ、今以外に興味の無い魔女がするものじゃないよ。特に貴女が後悔なんて言葉をするのも変な感じだわ、【鏡の魔女】今はシルヴィだっけ。」
サァァ…
風が吹き抜け思わず目を閉じた少女の目に、窓に映るのは赤の少女のみ。
それに驚く事もなく、赤の少女は後ろを振り返る。
「毎度の事ながら、何でこっちにくると鏡に映らなくなるのかな?」
「そこに映る方がおかしいのではなくて? 私は一人ですもの、あちらとコチラのどちらにも存在している訳無いじゃないですか。」
「なるほど、そういう理屈なら確かに貴女の言い分が正しいや。」
「ところでそろそろ私は魔女を減らしても良いのかしら?ねぇ、【森の魔女】アンバー。」
小首を傾げ、銀の魔女は問う。
「今はそれじゃないらしいよ、カルディナだって。それと私をどうにかする前に、相談があるんだけどね。」
「あら? そうでしたの、それは失礼しました。全く、時代の移り変わりは早いですわね。 それと相談ですか…まぁ久々ですし、聞いて差し上げない事もないですわ。」
「・・・そう、良かった。うん、ありがとう」
「それで相談とは? 先日の雑草が何か落としていきましたか?」
「えぇ、まぁ落とすというより雑草が金の花を摘みに来たようです。花を護る為に、夜は彼女がいるんですが、陽のある間は私と貴女でなくては金の花は摘まれてしまいます。」
「ふふっ、私一人でもと言いたいところですが、学園に彼女を入れた以上見るものが多過ぎて面倒ですわ。仕方ないので、今回は見逃して差し上げます。」
「宜しくお願いします。もうひとつだけ、学園に貴女が入り生徒として彼女の側にいて欲しいんです。書き換えは私がしますから。」
「その程度の事、私自分で出来ますわ。仮にも私も魔女です。」
「でしたら、お願いしますね。書き換えは明日の夜明け、新たな物語の夜明けとしましょう。」
日が沈み、世が明ける。
魔女の物語、明日より開幕。
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