性徒会執行部!!

ふうまさきと

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一章

出会い、そして…… 1

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「そこの青年、私の胸を揉みなさい」

 あ……ありのまま、今起こった事を話すぜ?

 この「光雲高等学校」で一番有名な、それもマドンナ的な意味。そんな入学したばかりの俺たち新入生でも知っているその名前、井上弥生いのうえやよい。モデルのように無駄な贅肉がなく引き締められた体型。黒のロングヘアで艶が目立つ。

 そしてなにより、はち切れんばかりの豊乳。そんな人がいきなりモブキャラと言ってもいい容姿の俺にそのおっぱいを揉め……と?

 いや、そんなはずは無い。きっと何かの聞き間違いだ、そうに違いない。俺じゃなく俺の後ろの人のことを言っているに違いない。これじゃ自意識過剰だ。

「どうした? 私の胸が揉めないというのか?」

 俺は後ろにいるやつの顔を見たくなって振り向いてみた。けれど、見渡す限り廊下だけしか見えない。

「そこの振りかえった青年だよ」

 もう一度念のため、俺は首を傾げながら俺自身を人差し指で刺してみる。

「そう、青年のことだよ。どうした? 私の胸が揉めないというのか?」

 え? 何この挑発? そして聞き間違い、人違いじゃなかった……だと!?

 廊下で言われたこともあり、今まで俺と井上先輩以外誰もいなかった廊下に、次々と野次馬の如くクラスメイトが集まってくる。

「三年生が一年の階に何の用だ?」

「あれ? もしかしてあの人って」

「井上先輩だ」

「え? あの井上先輩?」

「今北産業」

「どうやら如月悠斗きさらぎゆうと、井上先輩に、乳揉めと言われる」

「何!? あのパッとしない如月が!? 羨ましすぎる!!」

 まったく、好き勝手言ってくれるぜ……。

 でも、何一つ間違っちゃいないことが……何でか悔しいです。

「ほぅ? 青年の名前は如月悠斗と言うのか」

「あ、はい」

 なんだか不適な笑みを浮かべてるように見えるんですけど!?

「悠斗よ、私の胸を揉むのかをYesかはいで答えろ」

 Yes・はい

 ふむ……どちらを選ぼうか……。

「って、どっちも肯定じゃないかよ!!」

 ついつい口に出して突っ込んでしまった。

「お前が揉まないと言うのなら俺が揉む!!」

「いや、俺だ!」

「いいえ、私よ!」

「俺に揉ませろ!」

「俺、昨日揉んだぜ……へへっ」

「如月は一生に一度かもしれないチャンスを投げ出すのか!?」

「井上先輩! 変わりに俺に揉ませて下さい!」

 俺のクラスや他のクラスの人達が何やら言い合っていた。ふと、おかしな声が二つほど聞こえたような気がした。昨日揉んだだの私が揉むだの。

そんな言い合いを一言で打ち消したのは井上先輩だった。

「私の胸で争うな!」

「はい!」

 えぇ……。

 なんですかこの洗礼された人達。

 なんていうか、この一連、まるでテンプレートやマニュアル通りって感じで行われたんだけど、もしかしておかしいのは俺の方?

 そりゃ本音を言えば揉みたい。俺だって健全な男子だ。その目測Fカップ以上のおっぱいを揉みたい。男なら誰だってそう思うだろう。

 しかし、本当に揉んでしまってもいいのだろうか?

“揉んじまえよ、相手が揉めっていってるんだぜ?”

 俺の中の悪魔が囁きかけてくる。

“そうよ、揉んじゃえばいいじゃない、これはチャンスよ?”

 俺の中の天使が抑制して……ない。あれ? 俺の中の天使誘惑に弱くない? ほんとうに天使だよね? もしかして堕天していらっしゃる?

 井上先輩のおっぱいは、どうやら俺の中の天使を堕天させるほどの誘惑の持ち主らしい。

“どうしたよ? お前、ここで揉まなければホモのレッテル張られるぞ?”

 たしかに、それは悪魔の言うとおりだ。合法的に豊満な胸を揉むチャンスを拒むということは、女に興味がないに等しい。そうすれば、おのずとこいつは女より男が好みだと言われることになっても仕方がない。

“それはそれで萌えちゃう♪”

 あれ? 天使は天使でも、堕天使じゃなくて腐天使でいらっしゃる?

 まったく、俺の中の天使と悪魔はいったいどうしたってんだよ。これでも俺は紳士で売ってるってのに。

 女子が泣き崩れていれば、そっと近付いて胸を貸してあげる……。フリをして、相手のおっぱいに顔を埋めたりしてちゃんと紳士な行動をしているのにっ!

“お前、それは変態だろ(相手いない癖に)”

“それは、大変変態ね(相手いない癖に)”

 はっはっは、そんなまさか。その程度で変態だなんて言われたら世の中みんな変態じゃないか。まったく、変態だなんて失礼なやつだなぁ。

 ……あれ、なんか涙が出てきたような。おかしい何でだろう。
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