『恋しくて! - I miss you. 』

『恋しくて! - I miss you. 71 』

71.
" Divorce 離婚  "

　娘まで手放してなんとか自分自身の立て直しをと、懸命に
過ごしてきたけれど、瑛との夫婦としての距離は如何とも
し難いものだった。


　当然の理だ。
　瑛との夫婦としての修復への努力など何一つして
いないのだから。

　あの日から夫を避けるばかりの日々を過ごしてきた。
　



　そして・・・

正看に復帰した日から3ヶ月後に私たちは離婚した。
　瑛からの反対はなかった。


　仕事と酒に逃げて彼と向き合おうとしない妻、娘さえも
手放してしまった女・・・に打つ手などないということ
だろう。


　呆気ないほど、簡単に進んだ離婚だった。


--最後の夜--


　「一緒の部屋で寝てくれないか?」


・・・・・・・・(なんて応えればいい?)



　「頼む、断らないで・・・・」


　私は自分の布団を寝室に運んだ。(これがわたしの答。)
　私たちが同じ部屋で寝るのは1年と数ヶ月振りのことだった。

　私が入浴を済ませて部屋に入ると夫はすでに布団に横たわって
いた。
　私もすぐに自分の布団に入った。

　どれくらいの間だったのか。

　長い沈黙の後に夫が言った。


　「君が眠りにつくまで、手を繋いでいたい」と。

　同時に夫の手が私の手を捕らえた。
　大きくて暖かい懐かしい私の知っている手だった。