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大人の恋心 76

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76.

" Catch 受けとめる"

 腕を骨折するか、はたまた指の骨折? そして手をつく余裕がなければ
顔面から落ちて首なんかをやられてしまうかも・・という思いが一瞬の
内に頭に浮かんだ。

 ・・が如何せん、反射神経などに頼れる年でもなく、全てを甘んじて
受け入れなければならないのだと自分を宥め、そのまま抵抗せずに
ダイブした。


 気付くと小野寺さんの胸の中にいた。
 私は自分がダイブしていく姿はしっかりと見ていたのに彼が
救出するべく身体を張ってくれたシーンは全く見えていなかったようだ。


 一瞬自分よりも速く地面に飛び込み、私を受け止めてくれていたのだ。


 「小野寺さん、どこか骨折したりしてないですか? ごめんなさい、私
かなり重いですから」


 「ははっ、大丈夫ですよ、背中がちょっと痛い程度です」
 そう言いながら彼は私が立ち上がるのを手伝ってくれた。

 「あーっ」

 「どうしたんですか? 」


 「私どこも怪我してないし、骨も折れてません。奇跡だわぁ~」


 「良かったですね」 


 「小野寺さんのお蔭です。
 ほんとにありがとうございました。

 実は不思議なことがあったんですよ。
 前のめりにジャンプしたみたいに飛ばされて地面に落下するシーンを
私、後ろから見てたんです。

 自分が転ぶシーンをまるごと映画を見るように後ろから見えて
たんです。
 えー、何っこれっ・・すごいっ凄すぎるって思いながら」


 
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