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一方兄夫婦がまさかの危機的状況になっているとは知る由もない
俊介はというと、自分がやらかした頃よりも苺佳が一層美しくたおやかに
なり、兄、英介と仲睦まじく暮らしているのを実家で集う度見るにつけ、
自分の取った選択を後悔するのだった。
ほんとに自分は苺佳と結婚するつもりでいたから、よけいその想いが
募るのだった。
相手の妊娠により責任を取る形で、吉原理恵とでき婚したものの
すぐに相手は流産してしまった。
ただ流産したにしては落ち込んだような素振りが少しもないことから、
日に日に、妊娠はほんとうだったのだろうか? と疑いを深める俊介だった。
振り返れば、妊娠した時も流産した時もそれを証明するものを
自分はなにひとつ理恵から知らされていない。
妊娠の時も『妊娠した』とだけ聞かされ、病院は家の近所の産婦人科に
かかったと聞いたのみ。
妊娠するとエコー写真をもらうのだと妊娠して臨月まで働いて
辞めるのだという先輩の女子社員が話しているのを小耳に挟み、知った。
いつも母子手帳に挟んで携帯していると聞いた。
その日の夜、理恵に訊いた。
『母子手帳、見せてくれない?』
「今まで一言もそんなこと言って来なかったじゃない。
子供がお腹にいなくなってから訊いてくるなんて酷い人ね。
今更そんなもの見たって意味ないのよ」
そうプリプリ怒り出し、結局理恵は手帳を出しては来なかった。
この調子だとどこの病院か、掛かっていた病院名を訊けばもっと
大変なことになりそうで、益々疑惑を深める俊介だった。
もやもやの取れない日々を過ごしていたのだが、ほどなくして
疑惑が確信に変わる日が訪れた。
一方兄夫婦がまさかの危機的状況になっているとは知る由もない
俊介はというと、自分がやらかした頃よりも苺佳が一層美しくたおやかに
なり、兄、英介と仲睦まじく暮らしているのを実家で集う度見るにつけ、
自分の取った選択を後悔するのだった。
ほんとに自分は苺佳と結婚するつもりでいたから、よけいその想いが
募るのだった。
相手の妊娠により責任を取る形で、吉原理恵とでき婚したものの
すぐに相手は流産してしまった。
ただ流産したにしては落ち込んだような素振りが少しもないことから、
日に日に、妊娠はほんとうだったのだろうか? と疑いを深める俊介だった。
振り返れば、妊娠した時も流産した時もそれを証明するものを
自分はなにひとつ理恵から知らされていない。
妊娠の時も『妊娠した』とだけ聞かされ、病院は家の近所の産婦人科に
かかったと聞いたのみ。
妊娠するとエコー写真をもらうのだと妊娠して臨月まで働いて
辞めるのだという先輩の女子社員が話しているのを小耳に挟み、知った。
いつも母子手帳に挟んで携帯していると聞いた。
その日の夜、理恵に訊いた。
『母子手帳、見せてくれない?』
「今まで一言もそんなこと言って来なかったじゃない。
子供がお腹にいなくなってから訊いてくるなんて酷い人ね。
今更そんなもの見たって意味ないのよ」
そうプリプリ怒り出し、結局理恵は手帳を出しては来なかった。
この調子だとどこの病院か、掛かっていた病院名を訊けばもっと
大変なことになりそうで、益々疑惑を深める俊介だった。
もやもやの取れない日々を過ごしていたのだが、ほどなくして
疑惑が確信に変わる日が訪れた。
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