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 次の日、食卓で夕飯を摂る英介さんに来月に予定されている
父親ふれあい保育の話題を出した。

「それっていつ?」

「うん、来月の7日、6月7日で土曜日なんだけど、もし行けそうなら

参加ってことで。土曜でも休めないお父さんたちもいるみたいだから、

無理はしなくていいと思う」




「まだ今ははっきり行けるかどうか分からないから、そのつもりでいて

もらえると俺のほうも助かる。

ところで父親ふれあい保育ってどんなことするの?」



「私たちは昨日、野菜の苗の植え付けをしただけなんだけど。
父親の時は身体を少し動かしてもらいますって聞いたよ」


「駆けっことか、相撲とか?」


「何なんだろう、当日のお楽しみ? 
そうそう、でね、父親の日はイモの苗を植え付けるらしいわ」


「イモってサツマイモのこと?」


「たぶん」


「私たちは夏野菜のトマトやキュウリの苗をプランターに植え付けした
んだけど結構楽しくて、それに収穫も今から楽しみだし・・。

 家でも家庭菜園初めてみようかな」


「おっ、いいんじゃないか。
無農薬で新鮮なの食べられそうでいいねいいねー。
水遣りくらいなら手伝うよ」



「ありがとー、なんかやる気出てきちゃったぁ。

来月のふれあい、ほんとに無理しなくていいからね。

眞奈のお友達んちもおかあさんが出席するみたいで、私一人って
わけじゃないから」


「そっか・・」


「うん」



英介さんに父親ふれあい保育の話をしながら、できれば今回はむしろ仕事が

入って来られなくなったほうがいいのになんて、ふっと頭の片隅で

そんな思いが過ってしまった。



 そのことに少し罪悪感を持ったけれど、一方で大林さんたち親子のことを
思うとしようがないじゃない、っていう心の声もした。


 眞奈のところには父親がいて、自分んちにはいないっていうことを

比奈ちゃんがどう思うだろうか、寂しく思わないだろうか・・と考えずには

いられなかったんだもの。



 果たして・・6月の父親ふれあい保育の日、夫は仕事が入り
参加すること叶わず。

 なので、大林家と古家家では他所の父親たちに混じり、
私たち母親の参加となった。


 
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