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 そして翌日の時間外保育の時間になり、予想通り眞奈が比奈ちゃんと
遊ぶというので、買い物など済ませていた苺佳は大林が迎えに来るまで
比奈といようと、文庫本を手にちらちらと子供たちの様子を見ながら
時間をやり過ごした。

          ◇ ◇ ◇ ◇


「あっ、瑤《けい》ちゃんっ」と口にするや否や、比奈ちゃんは
大林さんの来る方へと駆け出した。

『やっぱり親子だね~、気にして待ってたんだ』


「こんにちは。お疲れ様です」

「あぁ・・こんにちは。どうし・・ですか?」

「比奈ねぇ、ずっと眞奈ちゃんと遊んでたんだよ」

「そっか、良かったな。じゃあ、帰ろっか、💼カバン取ってきな」

「はーい」


 そう言いながら、彼女も比奈ちゃんのあとを付いて行った。


 もうこれ以上話すこともなさそうだったので、私も眞奈を促して
そのまま帰ることにした。

 あ~あ、なんか取りつく島もないって感じ。

 こういう予感がしなくもなかったが、世間話でもいいのでもう少しは
会話があると思ってたんだけど・・やっぱり大林は大林だった。


 折角子供同士が仲いいんだから親も少しはね、って思う
私はおかしいのかな。


 そんなふうに気落ちして帰ったのが週末で、大林の態度に気落ちして
しまった苺佳は翌週からはまた、眞奈が比奈と居残って遊びたいと言えば
遊ばせたけれど、大林とバッティングしないよう比奈のお迎えがありそな
時間の15分くらい前には眞奈を連れて帰るようにした。



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