上 下
26 / 194

26

しおりを挟む
26


 悪態をつきつつも、彼女たちの他愛のない会話を耳にした苺佳は
自然と彼女の佇まいを思い返していた。

 
 そう、今耳にしたように彼女の瞳の色と輝きは顔の造形とマッチしていて
人を虜にする魅力がある。

 頬から顎にかけてのラインが素晴らしい。

 シャープで造形が美しく、前髪を上手く7:3に斜めにサイドへと全体的に流し、毛先の跳ねているショートヘアーがそんな彼女を一層引き立てている。

 耳にはBLACKの小さなピアスが嵌っており、服装がこれまた小粋な
マニッシュ風で高身長ときている。


 宝塚の男役に嵌れる女性なら完全に彼女の虜になるのは必至だろう。

 すごいな、彼女。
 まだ入園式から一ヶ月足らずだというのにこの人気振り。

 なんだか分からないけど、モヤモヤする。

『あんな奴に人気があるなんて、人生舐めてるよ』
胸中の呟きに、ン?誰が人生舐めてることになるのかしら? 

そそそ、大林だよ。大林はさぁ、人生舐めてんのよ。

と、むちゃくちゃな理論をぶちかましつつ、苺佳は眞奈と帰途についた。
しおりを挟む

処理中です...