10 / 57
『苦しめてごめん・・』10
しおりを挟む
10
◇転勤とパワハラ
春になり一時的に寒の戻りがあったものの、そのあとすぐに
春らしい暖かで穏やかな風が吹きはじめた頃、俺は1日付で
本社に赴任してきた。
元々が地方の支店採用で本社行はないという中でのこちらへの転勤は、
しぶしぶながら3年という約束でやって来た。
地元で採用された時には転勤はないと言われていたのに、
何の前触れもなく耳打ちすらない、いきなりの辞令だった。
人事異動の内示が異動の10日前、辞令が3日前に出た。
それは非常識きわまりないものだった。
会社を辞めるという選択肢も考えたが今回は涙を呑んで転勤してきた。
それなのにどこまでもついてないというか、直属の上司浅野一之係長
43才が理由わけもなくその時の気分で無理難題を押し付けてくる
パワハラ上司でクソなヤツだった。
俺は鬱になりそうだった。
着任したばかりでグチを零こぼせる相手もおらず2ヶ月足らずで
体重が5kgも落ちた。
とばっちりを受けたい者などいないだろう。
周囲は皆見て見ぬ振り。
何もかも放り出して郷里に帰ろうか、何度もそう思いながら
何とか踏ん張っている俺に声を掛けてくれた者がいた。
それが根米菜々緒だった。
◇ ◇ ◇ ◇
「神尾くん、あんな『ヒキガエル親父』の言うことなんて
聞き流せばいいから。私が後で絞めとくわ」
そう言い、彼女は勇ましい台詞で慰めてくれた。
俺はその言葉を聞いてすぐさまこう思った。
『勇ましいのはいいけどさ、口先じゃなくてほんとに絞めてくれよー』
◇転勤とパワハラ
春になり一時的に寒の戻りがあったものの、そのあとすぐに
春らしい暖かで穏やかな風が吹きはじめた頃、俺は1日付で
本社に赴任してきた。
元々が地方の支店採用で本社行はないという中でのこちらへの転勤は、
しぶしぶながら3年という約束でやって来た。
地元で採用された時には転勤はないと言われていたのに、
何の前触れもなく耳打ちすらない、いきなりの辞令だった。
人事異動の内示が異動の10日前、辞令が3日前に出た。
それは非常識きわまりないものだった。
会社を辞めるという選択肢も考えたが今回は涙を呑んで転勤してきた。
それなのにどこまでもついてないというか、直属の上司浅野一之係長
43才が理由わけもなくその時の気分で無理難題を押し付けてくる
パワハラ上司でクソなヤツだった。
俺は鬱になりそうだった。
着任したばかりでグチを零こぼせる相手もおらず2ヶ月足らずで
体重が5kgも落ちた。
とばっちりを受けたい者などいないだろう。
周囲は皆見て見ぬ振り。
何もかも放り出して郷里に帰ろうか、何度もそう思いながら
何とか踏ん張っている俺に声を掛けてくれた者がいた。
それが根米菜々緒だった。
◇ ◇ ◇ ◇
「神尾くん、あんな『ヒキガエル親父』の言うことなんて
聞き流せばいいから。私が後で絞めとくわ」
そう言い、彼女は勇ましい台詞で慰めてくれた。
俺はその言葉を聞いてすぐさまこう思った。
『勇ましいのはいいけどさ、口先じゃなくてほんとに絞めてくれよー』
2
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
Husband's secret (夫の秘密)
設樂理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
夫のカノジョ / 垣谷 美雨 さま(著) を読んで
Another Storyを考えてみました。
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
『 ゆりかご 』
設樂理沙
ライト文芸
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始
の加筆修正有版になります。
2022.7.30 再掲載
・・・・・・・・・・・
夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・
その後で私に残されたものは・・。
・・・・・・・・・・
💛イラストはAI生成画像自作
『愛が揺れるお嬢さん妻』- かわいいひと -
設樂理沙
ライト文芸
♡~好きになった人はクールビューティーなお医者様~♡
やさしくなくて、そっけなくて。なのに時々やさしくて♡
――――― まただ、胸が締め付けられるような・・
そうか、この気持ちは恋しいってことなんだ ―――――
ヤブ医者で不愛想なアイッは年下のクールビューティー。
絶対仲良くなんてなれないって思っていたのに、
遠く遠く、限りなく遠い人だったのに、
わたしにだけ意地悪で・・なのに、
気がつけば、一番近くにいたYO。
幸せあふれる瞬間・・いつもそばで感じていたい
◇ ◇ ◇ ◇
💛画像はAI生成画像 自作
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる