5 / 61
" 逆転した立場5 "
しおりを挟む
5.
きっと私の下手糞な意見を聞きながら……
幸せな結婚生活を送ってる萌枝に何が判るっていうの、って
当時の祐子は思っていたに違いない。
数年の時を経て、立場が逆転した。
私は祐子の気持ちなんて何一つ判ってなかったんだって
ことを今回身を持って知った。
当時祐子の元旦那に頼まれたとはいえ、簡単に
『元サヤに戻ったほうがいいのでは?』なんて祐子に意見した自分を
殴りたいくらいだ。
人間なんて想像力で問題を片付けられることもあるけど、想像力で
モノを考えるのと現実の問題に直面してその問題に対峙するのとでは
そのふたつの間にどれほどの乖離があるのかと、身を持って私は
経験することとなった。
そんな当時のことを思い出しながら、私の身に起こっている出来事を
祐子に吐き出した。
私の話を聞いていた祐子が言った。
「38才、子供を産めるぎり年齢で崖っぷち女だよね。
あなたの旦那、最初から狙われてたのよ、きっと。
前の職場の時から隙あらばって思ってたのね。
でも中琉さん根が真面目だから隙がなくて断念してたところ
意外にも支店ごとの懇親会があって、今回は中琉さんの中に
隙を見つけた……っていうか、自分のペースに中琉さんを
引き込むことに成功したんでしょうね。
しかしあざとい女だわね。
妻も子もいる既婚者捕まえて妊娠まで企むなんて狂ってるとしか
言いようがないわ。
認知かぁ~、きっつい選択肢だわよね。
翔琉くんの一生にも関わってくる問題だもの」
◇ ◇ ◇ ◇
「祐子……」
「ン?」
「祐子に元旦那さんとの再構築を簡単に勧めた
私を許してほしい」
「うん、判った。それに今あたし、幸せだからさ大丈夫だよ。
萌枝以外にだって両親や義両親友達同僚、みんな許してやれって
声多かったしね。
萌枝の意見があながち外れてたわけでもないしさ。
だけど、自分の心のままに進んで良かったって思ってる。
だからね、萌枝にも自分の心に正直な道を歩んでもらたいなって思う。
ありきたりで陳腐な言いぐさになるけれど、明けない夜はないからさ」
「そうだね。それに自分に起きたことは他のどんな人にも
代わってもらうことなんて出来ないんだから、よく考えて
前に進んでいくわ」
「そうだよ、そのいき。疲れた時は休みやすみね」
電話を切った後、私にもいつかまた笑って過ごせる日々が
戻ってくるのだろうか、とそんな風なことを思った。
きっと私の下手糞な意見を聞きながら……
幸せな結婚生活を送ってる萌枝に何が判るっていうの、って
当時の祐子は思っていたに違いない。
数年の時を経て、立場が逆転した。
私は祐子の気持ちなんて何一つ判ってなかったんだって
ことを今回身を持って知った。
当時祐子の元旦那に頼まれたとはいえ、簡単に
『元サヤに戻ったほうがいいのでは?』なんて祐子に意見した自分を
殴りたいくらいだ。
人間なんて想像力で問題を片付けられることもあるけど、想像力で
モノを考えるのと現実の問題に直面してその問題に対峙するのとでは
そのふたつの間にどれほどの乖離があるのかと、身を持って私は
経験することとなった。
そんな当時のことを思い出しながら、私の身に起こっている出来事を
祐子に吐き出した。
私の話を聞いていた祐子が言った。
「38才、子供を産めるぎり年齢で崖っぷち女だよね。
あなたの旦那、最初から狙われてたのよ、きっと。
前の職場の時から隙あらばって思ってたのね。
でも中琉さん根が真面目だから隙がなくて断念してたところ
意外にも支店ごとの懇親会があって、今回は中琉さんの中に
隙を見つけた……っていうか、自分のペースに中琉さんを
引き込むことに成功したんでしょうね。
しかしあざとい女だわね。
妻も子もいる既婚者捕まえて妊娠まで企むなんて狂ってるとしか
言いようがないわ。
認知かぁ~、きっつい選択肢だわよね。
翔琉くんの一生にも関わってくる問題だもの」
◇ ◇ ◇ ◇
「祐子……」
「ン?」
「祐子に元旦那さんとの再構築を簡単に勧めた
私を許してほしい」
「うん、判った。それに今あたし、幸せだからさ大丈夫だよ。
萌枝以外にだって両親や義両親友達同僚、みんな許してやれって
声多かったしね。
萌枝の意見があながち外れてたわけでもないしさ。
だけど、自分の心のままに進んで良かったって思ってる。
だからね、萌枝にも自分の心に正直な道を歩んでもらたいなって思う。
ありきたりで陳腐な言いぐさになるけれど、明けない夜はないからさ」
「そうだね。それに自分に起きたことは他のどんな人にも
代わってもらうことなんて出来ないんだから、よく考えて
前に進んでいくわ」
「そうだよ、そのいき。疲れた時は休みやすみね」
電話を切った後、私にもいつかまた笑って過ごせる日々が
戻ってくるのだろうか、とそんな風なことを思った。
3
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
『Goodbye Happiness』
設樂理沙
ライト文芸
2024.1.25 再公開いたします。
2023.6.30 加筆修正版 再公開しました。[初回公開日時2021.04.19]
諸事情で7.20頃再度非公開とします。
幸せだった結婚生活は脆くも崩れ去ってしまった。
過ちを犯した私は、彼女と私、両方と繋がる夫の元を去った。
もう、彼の元には戻らないつもりで・・。
❦イラストはAI生成画像自作になります。
『愛が揺れるお嬢さん妻』- かわいいひと -
設樂理沙
ライト文芸
♡~好きになった人はクールビューティーなお医者様~♡
やさしくなくて、そっけなくて。なのに時々やさしくて♡
――――― まただ、胸が締め付けられるような・・
そうか、この気持ちは恋しいってことなんだ ―――――
ヤブ医者で不愛想なアイッは年下のクールビューティー。
絶対仲良くなんてなれないって思っていたのに、
遠く遠く、限りなく遠い人だったのに、
わたしにだけ意地悪で・・なのに、
気がつけば、一番近くにいたYO。
幸せあふれる瞬間・・いつもそばで感じていたい
◇ ◇ ◇ ◇
💛画像はイラストAC様よりフリー素材
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
『恋しくて! - I miss you. 』
設樂理沙
ライト文芸
信頼していた夫が不倫、妻は苦しみながらも再構築の道を探るが・・。
❧イラストはAI生成画像自作
メモ--2022.11.23~24---☑済み
『 ゆりかご 』
設樂理沙
ライト文芸
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始
の加筆修正有版になります。
2022.7.30 再掲載
・・・・・・・・・・・
夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・
その後で私に残されたものは・・。
・・・・・・・・・・
💛イラストはAI生成画像自作
Husband's secret (夫の秘密)
設樂理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
夫のカノジョ / 垣谷 美雨 さま(著) を読んで
Another Storyを考えてみました。
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
An endless & sweet dream 醒めない夢 2024年5月見直し完了 5/19
設樂理沙
ライト文芸
息をするように嘘をつき・・って言葉があるけれど
息をするように浮気を繰り返す夫を持つ果歩。
そしてそんな夫なのに、なかなか見限ることが出来ず
グルグル苦しむ妻。
いつか果歩の望むような理想の家庭を作ることが
できるでしょうか?!
-------------------------------------
加筆修正版として再up
2022年7月7日より不定期更新していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる