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第三章
73. 次の段階
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16時過ぎ。ロッド様が薬材と食材を持ってやってきた。
「ロッド様、ありがとうございます。お一人ですか?」
「あぁ、シンシアは帰った。もともと今日帰る予定だったしな。それよりペタンコ花、持ってきたぞ。珍しい薬材かと思えば簡単に手に入る薬材で拍子抜けしたぜ。」
ロッド様が放り投げたペタンコ花を受け取る。これで次の段階に進むことができる。先ほど飲ませた体力と疲労を回復させる効果の薬にシイラの葉とペタンコ花を調合して体の吸収力を上げる、そういう薬を調合しよう。今朝も先ほどもイチコノ実をベースに作った。栄養的にも違う食材を使った方がいいだろうか・・・。
今朝、魔獣が持ってきてくれた木の実や葉っぱを覗き見る。よく見れば私たちが食べる木の実も混ざっていた。知っている味があるのは有り難い。木の実やキノコを擦り潰しスープを作ろう。魔獣たちがいつも調味料などを使わないことを考えると、調味料は一切使わずに素材の旨みを引き出さなくてはならない。キノコが食材にあって助かった。
キノコは旨みの塊と言っても過言ではない食材だ。羊乳凝を薄く敷き、その上でじっくりキノコを炒めれば、それだけで何とも言えないおいしそうな香りが漂う。周りの魔獣の鼻はヒクヒク動き、ベルは味見をくれとばかりに寄ってきた。
「ベル、これは薬に使うからベルはあとでね。」
ベルが残念そうに鳴いた。炒め終わったキノコと茹でた木の実を合わせペースト状にした。ペーストを指先に塗って味を確かめる。うん、うまみが凝縮されている味がする。塩などの調味料を使っていないぶん、調味料に慣れてしまった人間の舌ではどうしても物足りなさを感じてしまうが魔獣の舌ならば十分に美味しさを感じられるのではないだろうか。
ベースとなる味は出来た。あとは調合だ。問題はどうやってシイラの葉とペタンコ花の効力を融合させるかだ。
「薬材の意思・・・。」
ガヌーダ様の言っていた薬材の意思という言葉を思い出す。その身にいくつもの効力を持つ薬材がどうして一つの効力を選び薬に与えることにしたのか、それを考えたことはあるか?とガヌーダ様は言っていた。そしてニコラウスさんだ。ニコラウスさんは自身の魔力を薬に与えることで薬材に意思を伝えていると言っていた。考えても分からない。とりあえず、やってみよう。
ザーシャの葉は今までと同じように沸騰した湯に入れて効力を湯に移しておく。問題はここからだ。通常、シイラの葉は細かく刻んでから少量のお湯を咥え、ふやかしてからすり潰す。そのすり潰したものから出る汁を布巾に塗り乾燥させることで吸収力の高い布巾が完成するのだ。きっとそのままの液を飲んだら液に触れたところ全ての吸収力がアップするから、胃や腸にたどり着く前に薬材が無くなってしまうだろう。
取りあえず、シイラの葉を擦り潰し、汁を取り出すところまでは通常通り行った。行ったと言っても、私の指示でレイがやってくれたのだが。視界の端でロッド様を見る。
はぁ、ロッド様がここにいなければもっと自由に調合することが出来るのに。一回ずつレイに説明してやってもらうのは正直もどかしく、面倒くさいのだ。そうも言っていられないのだけれど。
ペタンコ花をレイに解してもらい水に浮かべる。一度沸かした湯を冷まし不純物を最小限にしたところで解したペタンコ花を投入した。そのまましばらく様子を見て、効力がなかなか溶けださないのをスキルで確認すると鍋に火を放った。
やはりお湯に入れた方が効力が溶けだすのか。
効力が溶け出し始めたのを見て火を消した。熱し続けることで効力が消えてしまっては勿体ない。十分に効力が移ったところでシイラの葉の液とペタンコ花の液を並べた。
「レイ様ありがとうございました。ここからは私がやります。」
「だが、1人では・・・。」
レイの視線がロッド様を捉える。
「大丈夫です。やってみたいのです。」
「わかった。」
私はそれぞれの液を持ちやすいように少量だけグラスに移し、それを同時に鍋に開けながら少しずつ魔力を込めた。
胃で消化、小腸で吸収。胃で消化、小腸で吸収。
心の中で呪文のように唱えながら更に魔力を込める。どのくらい魔力を込めるのだろう・・・。スキルで確認していると突然液体がドロっとした茶色の液体に変化し、文字が消えた。
「失敗した・・・。」
その後立て続けに2回失敗し、魔力が足りなくなったところで回復薬を飲んだ。
「おい、大丈夫か?」
「大丈夫です。回復薬を飲んだので直ぐに復活しますよ。」
「そうか。」
そう言いながらロッド様が私をじっと見る。
「・・・ロッド様はどうしてここにいるのですか?帰っても構わないのでは?」
あんまりじっと見ていられると調合しづらいというものだ。慣れている調合ならまだしも、なんせ手探り状態なのだ。
「あぁ、せっかくだからお前の手料理を食べてから帰ろうと思って。このあと、ご飯作るんだろ?」
「作りますけど・・・。」
「いい食材を持ってきてやったんだぜ。あぁ、楽しみだな。」
ロッド様の呑気さに呆れ、遠い目をした。
「わかりました。とりあえず、調合を再開するので離れていてください。」
一体何がいけなかったのだろうか。
最初のは魔力を込めたて暫くすると全ての効力が消えてしまった。2回目は消化液が出来上がり、鍋を溶かしてちょっとした騒ぎになった。レイが直ぐに魔力でくるんでくれたので鍋を解かしただけで済んだが、あんな液を飲んでしまったら体の臓器が溶けてしまう。3回目は【袋効果2】などという謎の薬が出来上がった。何に役立つのかよくわからなかったがこの薬は一応とっておくことにした。
・・・もしかして言葉で意思を伝えなくても良いのではないか?よく考えてみれば人の言葉を薬材が理解できるとは思えない。イメージで伝える。それと、1度目の失敗は魔力を込めすぎたからかもしれない。もともと薬材の力だけで完成する薬で、魔力は私の意思を薬材に伝えるためのものだ。こちらが薬材に干渉する魔力が強くなれば、薬の効力が破壊されてもおかしくは無い。
少しの魔力でイメージを伝える。薬の効力を破壊しないように薬材に寄り添う気持ちで精神を統一する。
先ほどからレイが静かだ。私の邪魔をしないようにと黙っていてくれるのが有り難い。両手にそれぞれの液体を持つ。軽く息を吐いて心を整える。伝えるのはイメージだ。
薬が体内に入って消化吸収されるイメージ。体に回復の効果を届けるイメージ。イメージを脳裏に描きながら二つの液体が触れ合い混じるようにゆっくり器に注ぐ。全部が注ぎ終わった後、スキルで確認した。
【胃腸薬効果3】
「おぉっ!」
思わず漏れてしまった声にハッとして口に手をあてた。すごい、大成功だ。【胃腸薬】の表示になったことには驚いたが、薬材が私のイメージを上手く捉えてくれたからこその表示なのだと思った。
「どう?上手くいった?」
「はい!・・・上手くきました。」
ロッド様がいなければ両手を上げて大喜びするところだった。満面の笑みを少し抑えて微笑んだら変な笑顔になってしまったが、そんなことはどうでもいい。
「ここまで出来ればあと一息です。」
その後、ザーシャの液体を混ぜガル鹿の角の粉末をかけた。副作用対策として胃薬の効果を1に落として、キノコの旨みペーストで味を調える。
よし、味もなかなかだ。
どうかこの薬が効いてくれますように。
願いを込めるように魔獣に薬を与え、魔獣は薬を全部平らげると⒉時間眠り続けた。
「ロッド様、ありがとうございます。お一人ですか?」
「あぁ、シンシアは帰った。もともと今日帰る予定だったしな。それよりペタンコ花、持ってきたぞ。珍しい薬材かと思えば簡単に手に入る薬材で拍子抜けしたぜ。」
ロッド様が放り投げたペタンコ花を受け取る。これで次の段階に進むことができる。先ほど飲ませた体力と疲労を回復させる効果の薬にシイラの葉とペタンコ花を調合して体の吸収力を上げる、そういう薬を調合しよう。今朝も先ほどもイチコノ実をベースに作った。栄養的にも違う食材を使った方がいいだろうか・・・。
今朝、魔獣が持ってきてくれた木の実や葉っぱを覗き見る。よく見れば私たちが食べる木の実も混ざっていた。知っている味があるのは有り難い。木の実やキノコを擦り潰しスープを作ろう。魔獣たちがいつも調味料などを使わないことを考えると、調味料は一切使わずに素材の旨みを引き出さなくてはならない。キノコが食材にあって助かった。
キノコは旨みの塊と言っても過言ではない食材だ。羊乳凝を薄く敷き、その上でじっくりキノコを炒めれば、それだけで何とも言えないおいしそうな香りが漂う。周りの魔獣の鼻はヒクヒク動き、ベルは味見をくれとばかりに寄ってきた。
「ベル、これは薬に使うからベルはあとでね。」
ベルが残念そうに鳴いた。炒め終わったキノコと茹でた木の実を合わせペースト状にした。ペーストを指先に塗って味を確かめる。うん、うまみが凝縮されている味がする。塩などの調味料を使っていないぶん、調味料に慣れてしまった人間の舌ではどうしても物足りなさを感じてしまうが魔獣の舌ならば十分に美味しさを感じられるのではないだろうか。
ベースとなる味は出来た。あとは調合だ。問題はどうやってシイラの葉とペタンコ花の効力を融合させるかだ。
「薬材の意思・・・。」
ガヌーダ様の言っていた薬材の意思という言葉を思い出す。その身にいくつもの効力を持つ薬材がどうして一つの効力を選び薬に与えることにしたのか、それを考えたことはあるか?とガヌーダ様は言っていた。そしてニコラウスさんだ。ニコラウスさんは自身の魔力を薬に与えることで薬材に意思を伝えていると言っていた。考えても分からない。とりあえず、やってみよう。
ザーシャの葉は今までと同じように沸騰した湯に入れて効力を湯に移しておく。問題はここからだ。通常、シイラの葉は細かく刻んでから少量のお湯を咥え、ふやかしてからすり潰す。そのすり潰したものから出る汁を布巾に塗り乾燥させることで吸収力の高い布巾が完成するのだ。きっとそのままの液を飲んだら液に触れたところ全ての吸収力がアップするから、胃や腸にたどり着く前に薬材が無くなってしまうだろう。
取りあえず、シイラの葉を擦り潰し、汁を取り出すところまでは通常通り行った。行ったと言っても、私の指示でレイがやってくれたのだが。視界の端でロッド様を見る。
はぁ、ロッド様がここにいなければもっと自由に調合することが出来るのに。一回ずつレイに説明してやってもらうのは正直もどかしく、面倒くさいのだ。そうも言っていられないのだけれど。
ペタンコ花をレイに解してもらい水に浮かべる。一度沸かした湯を冷まし不純物を最小限にしたところで解したペタンコ花を投入した。そのまましばらく様子を見て、効力がなかなか溶けださないのをスキルで確認すると鍋に火を放った。
やはりお湯に入れた方が効力が溶けだすのか。
効力が溶け出し始めたのを見て火を消した。熱し続けることで効力が消えてしまっては勿体ない。十分に効力が移ったところでシイラの葉の液とペタンコ花の液を並べた。
「レイ様ありがとうございました。ここからは私がやります。」
「だが、1人では・・・。」
レイの視線がロッド様を捉える。
「大丈夫です。やってみたいのです。」
「わかった。」
私はそれぞれの液を持ちやすいように少量だけグラスに移し、それを同時に鍋に開けながら少しずつ魔力を込めた。
胃で消化、小腸で吸収。胃で消化、小腸で吸収。
心の中で呪文のように唱えながら更に魔力を込める。どのくらい魔力を込めるのだろう・・・。スキルで確認していると突然液体がドロっとした茶色の液体に変化し、文字が消えた。
「失敗した・・・。」
その後立て続けに2回失敗し、魔力が足りなくなったところで回復薬を飲んだ。
「おい、大丈夫か?」
「大丈夫です。回復薬を飲んだので直ぐに復活しますよ。」
「そうか。」
そう言いながらロッド様が私をじっと見る。
「・・・ロッド様はどうしてここにいるのですか?帰っても構わないのでは?」
あんまりじっと見ていられると調合しづらいというものだ。慣れている調合ならまだしも、なんせ手探り状態なのだ。
「あぁ、せっかくだからお前の手料理を食べてから帰ろうと思って。このあと、ご飯作るんだろ?」
「作りますけど・・・。」
「いい食材を持ってきてやったんだぜ。あぁ、楽しみだな。」
ロッド様の呑気さに呆れ、遠い目をした。
「わかりました。とりあえず、調合を再開するので離れていてください。」
一体何がいけなかったのだろうか。
最初のは魔力を込めたて暫くすると全ての効力が消えてしまった。2回目は消化液が出来上がり、鍋を溶かしてちょっとした騒ぎになった。レイが直ぐに魔力でくるんでくれたので鍋を解かしただけで済んだが、あんな液を飲んでしまったら体の臓器が溶けてしまう。3回目は【袋効果2】などという謎の薬が出来上がった。何に役立つのかよくわからなかったがこの薬は一応とっておくことにした。
・・・もしかして言葉で意思を伝えなくても良いのではないか?よく考えてみれば人の言葉を薬材が理解できるとは思えない。イメージで伝える。それと、1度目の失敗は魔力を込めすぎたからかもしれない。もともと薬材の力だけで完成する薬で、魔力は私の意思を薬材に伝えるためのものだ。こちらが薬材に干渉する魔力が強くなれば、薬の効力が破壊されてもおかしくは無い。
少しの魔力でイメージを伝える。薬の効力を破壊しないように薬材に寄り添う気持ちで精神を統一する。
先ほどからレイが静かだ。私の邪魔をしないようにと黙っていてくれるのが有り難い。両手にそれぞれの液体を持つ。軽く息を吐いて心を整える。伝えるのはイメージだ。
薬が体内に入って消化吸収されるイメージ。体に回復の効果を届けるイメージ。イメージを脳裏に描きながら二つの液体が触れ合い混じるようにゆっくり器に注ぐ。全部が注ぎ終わった後、スキルで確認した。
【胃腸薬効果3】
「おぉっ!」
思わず漏れてしまった声にハッとして口に手をあてた。すごい、大成功だ。【胃腸薬】の表示になったことには驚いたが、薬材が私のイメージを上手く捉えてくれたからこその表示なのだと思った。
「どう?上手くいった?」
「はい!・・・上手くきました。」
ロッド様がいなければ両手を上げて大喜びするところだった。満面の笑みを少し抑えて微笑んだら変な笑顔になってしまったが、そんなことはどうでもいい。
「ここまで出来ればあと一息です。」
その後、ザーシャの液体を混ぜガル鹿の角の粉末をかけた。副作用対策として胃薬の効果を1に落として、キノコの旨みペーストで味を調える。
よし、味もなかなかだ。
どうかこの薬が効いてくれますように。
願いを込めるように魔獣に薬を与え、魔獣は薬を全部平らげると⒉時間眠り続けた。
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