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第二章
3. 研究所
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翌朝、9時きっかりにナターシャさんに呼ばれた。私に来客だという。ロビーに降りていくと、身長175㎝くらいで黒髪を後ろで一本にまとめ、切れ長の目をした頭の良さそうな男が立っていた。
「研究所へ案内する。」
男はそう一言だけ口にした。
「ベルは魔獣だから一応お留守番ね。万が一、研究されたら怖いでしょう?」
私はベルにそう言い、ベルをお留守番させることにした。その後、フォレストを出て二人で歩いている。
男は大きな通りに出ると、町の人たちがよく使う大きな乗合馬車の停留所で立ち止まった。すぐに馬車が来て乗り込む。行先は【西ターザニア海岸】になっていた。
「研究所まではこの馬車で行くことが出来ます。研究所前で降りてくださいね。」
男はそう言うと話を続けた。
「アレン王子から私の知り合いとして研究所に紹介するように言いつかっております。アレン王子の知り合いとして紹介すると、色々面倒なことになりますので。ライファと呼び捨てさせていただいてもいいですか?」
「はい、大丈夫です。」
「それと私のことはカイと呼んでください。アレン王子の元で仕えさせていただいておりますが、私も平民なのでそんなに丁寧な口調にしなくても大丈夫です。一応、知り合いという体なので。」
カイさんはきっと不器用な人なのだろう。安心させようと笑っているのだろうが顔が思いっきり引きつっている。
「わかりました。カイさんはよく研究所には行くのですか?」
「私はアレン王子に仕えておりますので、何度かは行ったことがありますが頻繁にではないですね。」
「そういえばアレン王子は調合の研究がお好きなのですか?」
アレン王子の話を出したとたん、カイが大きなため息をついた。
「アレン王子は寝ても覚めても調合、調合で、隙あらば研究室へ足を運び公務も忘れる始末で。我々がどれほど苦労していることか。第二王子の地位は捨てて研究者になりたいと言って周囲を驚かせたり、あぁ、小さい頃は勝手に調合して部屋を破壊したこともあったとか。」
余程言いたいことが溜まっているのだろうか。一度話し始めたカイさんは止まらない。
「調合、調合で女性よりも調合を優先するものだから女性に逃げられること数十回、ユーリスアのリアン王女と婚約できた時には側近一同両手をあげて喜びました。王子の調合に対する思いも少しは冷めるのではないかと。ところが、リアン王女は素敵なお方で、いや素敵すぎるお方で王子の調合にとても興味を持ってくださり、お蔭で王子の調合熱も最高潮に燃え上がり・・・あ、研究所に着きましたよ。ライファ。」
永遠に続くかと思われたカイさんの王子話は、研究室に着くことでようやく終わりを告げた。
アレン王子って先生と同じ匂いがする・・・。私は初めて先生の家に行った時のロリータゾンビもどきを思い出していた。
研究所はフォレスト近くの大通りから50分程馬車を走らせたところにあった。
林に囲まれた二階建ての石造りの建物で、林の奥は海になる。
建物の入り口には二人の騎士団が門番として立っていた。
「本日、研究室長との面会の予定があるカイと申します。こちらは私の連れのライファ。」
私はお辞儀をした。
「聞いておりますよ。どうそ、お入りください。」
建物の中に入ると中は吹き抜けになっており、研究所という暗いイメージは払拭された。正面に受付があり、受付の左側に大きな階段がある。受付の背後には売店のようなものがあり、受付の右側にはテーブルやソファが並べてあって商談スペースになっていた。
「研究室長室は3階になります。そこの大きな階段を上がって突当りになります。どうぞ。」
研究室長は50代後半の白髪交じりのおじさんだ。眼鏡をかけて優しい笑みを浮かべる温厚そうな人だ。その隣には茶色のくせ毛をポニーテールに結んだ二重の大きな目をした女性がいた。
「室長、この度は私のお願いを聞いてくださりありがとうございます。こちらが研究所で学ばせていただくライファです。」
「ライファ・グリーンレイと申します。よろしくお願いします!」
私はビシッと頭を下げた。船での無力な自分を思い出し、もうあんなことにはならないようにと気合は十分である。
「うんうん。良い目をしておりますね。これは皆にも良い刺激になりそうだ。」
室長は優しい表情のまま言う。
「遠いところよく来ましたね。こちらの女性はクロッカ。あなたが学びたいと言っていた料理と調合を合わせた研究をしている方です。彼女の研究室に入ると良いでしょう。」
「はじめまして、ライファ。私の研究に興味を持ってくれてすごく嬉しいわ!」
クロッカさんはそういうと握手を求め、手を差し出した。あちこちテープを巻いている傷だらけの手だ。クロッカさんは差し出した自分の手を見るなり「あら、やだ。こうしてみると私の手ってすごく傷だらけね。料理をするのは好きなんだけどちょっと不器用で」と笑った。
研究室長室を出るとカイさんが「私はこれで」と言って帰って行った。クロッカさんが施設を案内しながらクロッカの研究室へ向かう。
「1階は受付とロビー、魔法道具と調合薬の売店があるわ。ここで研究されたものが売っているの。それぞれの研究室の研究費になるから、とにかく様々なものが販売されていて面白いと思うわ。ただし、効力の保証はできないわよ。完成品ではなく研究過程でできた物もあるの。」
大きな階段を下りて2階へ向かう。
「研究室は2階にあるの。全部で10あって、魔道具の研究室、調合の研究室、魔木の研究室、魔花の研究室、魔獣の研究室、古代魔術の研究室、あとは・・・なんだったかな?えへへ、全部は覚えてなくって。で、そのうちの一つ、調合料理研究室がここ。」
クロッカさんはそう言うとひと際大きな部屋の入り口を開けた。
「食堂ですか?」
そこはテーブルとイスが規則正しく並んでおり、入ってすぐには本日のメニューと書かれたメニュー板があった。100席はありそうだ。もうすぐお昼の時間ということもあり、室内は美味しい匂いが充満している。
「そう。この、食堂の隅っこ、ここね。」
クロッカさんが指さしたのは食堂の隅に明らかに他とは違う材質の壁で区切られた一角だった。室内は12㎡程の大きさでテーブルが一つと食材が置いてある棚が3つ、調合のための機器が棚2つ分ある。椅子はない。
「私の研究室は半年前に出来たばかりで、研究室メンバーは私ひとりなの。だからこの場所を貰えただけでもラッキーなのよ。あ、食材は食堂の冷蔵庫も借りているし、調理する時は食堂の調理場ですることがほとんどね。だからここは道具置き場って感じ。」
私はなるほどと頷いた。
「それで、どんなふうに研究をしているのですか?」
「うちは料理が主なの。つまり、料理のレシピに調合の要素を通り入れるってこと。今は既存にある料理のレシピを見て、その食材を薬材に変更することで料理をしているわ。料理を作ったら、効果解析剤を使って効果を調べてから食べてみる。美味しかったら調合料理レシピとして採用。不味かったら改良する。調合って繊細でしょう?切り方ひとつ、タイミングひとつでどんどん効力が落ちていく。狙った効力を得るのはなかなか難しくって試行錯誤の毎日よ。そうそう、うち、人体実験もできるのよ。」
「人体実験ですか!?」
「うんうん、騎士団と契約していてね。新しいメニューができると食べに来てもらうの。んふふ。」
「それは凄いですね。」
「この先は、ご飯を食べながらにしましょ。可愛い後輩には奢るわよ。」
クロッカさんはそう言うと食堂の配給の列に並んだ。
メニューはメイン、パン、サラダ、飲み物がセットになっているものが二種類あり、その他にパンやパスタ、サラダ、果物等が単品でも注文できるようになっている。そのメニューの中にTRKメニューというものがあった。
「このTRXメニューっていうのは何ですか?えーっと、目覚めのゼリー、ホットスープ、イタアイス?」
「あぁ、それはうちの研究室で出してる効果つきの料理よ。目覚めのゼリーはスッキリ効果2、ホットスープは保温効果3、イタアイスはデトックス効果2になっているわ。あ、ライファはご飯何にする?」
「Aセットがいいです。」
「じゃぁ、Aセット一つとパンと目覚めのゼリー2つ。」
料理を受け取って窓際の席に座った。至って普通の出来だった。不味いということもなければ、美味しいということもない。
「普通、でしょ。ここのご飯。おばさんたちはみんないい人なんだけどねー。」
クロッカさんは苦笑いしながら言った。
「研究者たちは食事に無頓着な人が多くてね。お腹が満たされればいいって感じの人が多いから、作る方も気合が入らないわよね。あ、これ、うちの研究所の一番人気。食べてみて。」
そう言ってクロッカさんがくれたのは、先ほど頼んでいた目覚めのゼリーだ。一口食べてみる。
「!!!!すっぱ!!」
「どう?なかなか美味しいでしょ。」
「これ、大元になっているのはカオですよね?」
「お、分かる?カオの実に興奮効果のあるマッドの実の成分を少し混ぜてあるの。マッドの実は高温に弱いから一度冷凍させてから使ったのよ。」
確かに体の奥に熱の疼きがあるようなそんな感じかする。眠気防止に効果があるのだから、研究所というこの建物の中で人気があるのはわかる気がした。
「味としてはイタアイスが一番おいしいんだけどねー。残念ながら、通常状態で食べるにはあまり向かなくて。」
クロッカさんは残念そうに言う。
「食べるとお腹が下っちゃうのよね。」
この調合料理研究室というのはだいぶ荒削りな研究室だということがわかった。
「研究所へ案内する。」
男はそう一言だけ口にした。
「ベルは魔獣だから一応お留守番ね。万が一、研究されたら怖いでしょう?」
私はベルにそう言い、ベルをお留守番させることにした。その後、フォレストを出て二人で歩いている。
男は大きな通りに出ると、町の人たちがよく使う大きな乗合馬車の停留所で立ち止まった。すぐに馬車が来て乗り込む。行先は【西ターザニア海岸】になっていた。
「研究所まではこの馬車で行くことが出来ます。研究所前で降りてくださいね。」
男はそう言うと話を続けた。
「アレン王子から私の知り合いとして研究所に紹介するように言いつかっております。アレン王子の知り合いとして紹介すると、色々面倒なことになりますので。ライファと呼び捨てさせていただいてもいいですか?」
「はい、大丈夫です。」
「それと私のことはカイと呼んでください。アレン王子の元で仕えさせていただいておりますが、私も平民なのでそんなに丁寧な口調にしなくても大丈夫です。一応、知り合いという体なので。」
カイさんはきっと不器用な人なのだろう。安心させようと笑っているのだろうが顔が思いっきり引きつっている。
「わかりました。カイさんはよく研究所には行くのですか?」
「私はアレン王子に仕えておりますので、何度かは行ったことがありますが頻繁にではないですね。」
「そういえばアレン王子は調合の研究がお好きなのですか?」
アレン王子の話を出したとたん、カイが大きなため息をついた。
「アレン王子は寝ても覚めても調合、調合で、隙あらば研究室へ足を運び公務も忘れる始末で。我々がどれほど苦労していることか。第二王子の地位は捨てて研究者になりたいと言って周囲を驚かせたり、あぁ、小さい頃は勝手に調合して部屋を破壊したこともあったとか。」
余程言いたいことが溜まっているのだろうか。一度話し始めたカイさんは止まらない。
「調合、調合で女性よりも調合を優先するものだから女性に逃げられること数十回、ユーリスアのリアン王女と婚約できた時には側近一同両手をあげて喜びました。王子の調合に対する思いも少しは冷めるのではないかと。ところが、リアン王女は素敵なお方で、いや素敵すぎるお方で王子の調合にとても興味を持ってくださり、お蔭で王子の調合熱も最高潮に燃え上がり・・・あ、研究所に着きましたよ。ライファ。」
永遠に続くかと思われたカイさんの王子話は、研究室に着くことでようやく終わりを告げた。
アレン王子って先生と同じ匂いがする・・・。私は初めて先生の家に行った時のロリータゾンビもどきを思い出していた。
研究所はフォレスト近くの大通りから50分程馬車を走らせたところにあった。
林に囲まれた二階建ての石造りの建物で、林の奥は海になる。
建物の入り口には二人の騎士団が門番として立っていた。
「本日、研究室長との面会の予定があるカイと申します。こちらは私の連れのライファ。」
私はお辞儀をした。
「聞いておりますよ。どうそ、お入りください。」
建物の中に入ると中は吹き抜けになっており、研究所という暗いイメージは払拭された。正面に受付があり、受付の左側に大きな階段がある。受付の背後には売店のようなものがあり、受付の右側にはテーブルやソファが並べてあって商談スペースになっていた。
「研究室長室は3階になります。そこの大きな階段を上がって突当りになります。どうぞ。」
研究室長は50代後半の白髪交じりのおじさんだ。眼鏡をかけて優しい笑みを浮かべる温厚そうな人だ。その隣には茶色のくせ毛をポニーテールに結んだ二重の大きな目をした女性がいた。
「室長、この度は私のお願いを聞いてくださりありがとうございます。こちらが研究所で学ばせていただくライファです。」
「ライファ・グリーンレイと申します。よろしくお願いします!」
私はビシッと頭を下げた。船での無力な自分を思い出し、もうあんなことにはならないようにと気合は十分である。
「うんうん。良い目をしておりますね。これは皆にも良い刺激になりそうだ。」
室長は優しい表情のまま言う。
「遠いところよく来ましたね。こちらの女性はクロッカ。あなたが学びたいと言っていた料理と調合を合わせた研究をしている方です。彼女の研究室に入ると良いでしょう。」
「はじめまして、ライファ。私の研究に興味を持ってくれてすごく嬉しいわ!」
クロッカさんはそういうと握手を求め、手を差し出した。あちこちテープを巻いている傷だらけの手だ。クロッカさんは差し出した自分の手を見るなり「あら、やだ。こうしてみると私の手ってすごく傷だらけね。料理をするのは好きなんだけどちょっと不器用で」と笑った。
研究室長室を出るとカイさんが「私はこれで」と言って帰って行った。クロッカさんが施設を案内しながらクロッカの研究室へ向かう。
「1階は受付とロビー、魔法道具と調合薬の売店があるわ。ここで研究されたものが売っているの。それぞれの研究室の研究費になるから、とにかく様々なものが販売されていて面白いと思うわ。ただし、効力の保証はできないわよ。完成品ではなく研究過程でできた物もあるの。」
大きな階段を下りて2階へ向かう。
「研究室は2階にあるの。全部で10あって、魔道具の研究室、調合の研究室、魔木の研究室、魔花の研究室、魔獣の研究室、古代魔術の研究室、あとは・・・なんだったかな?えへへ、全部は覚えてなくって。で、そのうちの一つ、調合料理研究室がここ。」
クロッカさんはそう言うとひと際大きな部屋の入り口を開けた。
「食堂ですか?」
そこはテーブルとイスが規則正しく並んでおり、入ってすぐには本日のメニューと書かれたメニュー板があった。100席はありそうだ。もうすぐお昼の時間ということもあり、室内は美味しい匂いが充満している。
「そう。この、食堂の隅っこ、ここね。」
クロッカさんが指さしたのは食堂の隅に明らかに他とは違う材質の壁で区切られた一角だった。室内は12㎡程の大きさでテーブルが一つと食材が置いてある棚が3つ、調合のための機器が棚2つ分ある。椅子はない。
「私の研究室は半年前に出来たばかりで、研究室メンバーは私ひとりなの。だからこの場所を貰えただけでもラッキーなのよ。あ、食材は食堂の冷蔵庫も借りているし、調理する時は食堂の調理場ですることがほとんどね。だからここは道具置き場って感じ。」
私はなるほどと頷いた。
「それで、どんなふうに研究をしているのですか?」
「うちは料理が主なの。つまり、料理のレシピに調合の要素を通り入れるってこと。今は既存にある料理のレシピを見て、その食材を薬材に変更することで料理をしているわ。料理を作ったら、効果解析剤を使って効果を調べてから食べてみる。美味しかったら調合料理レシピとして採用。不味かったら改良する。調合って繊細でしょう?切り方ひとつ、タイミングひとつでどんどん効力が落ちていく。狙った効力を得るのはなかなか難しくって試行錯誤の毎日よ。そうそう、うち、人体実験もできるのよ。」
「人体実験ですか!?」
「うんうん、騎士団と契約していてね。新しいメニューができると食べに来てもらうの。んふふ。」
「それは凄いですね。」
「この先は、ご飯を食べながらにしましょ。可愛い後輩には奢るわよ。」
クロッカさんはそう言うと食堂の配給の列に並んだ。
メニューはメイン、パン、サラダ、飲み物がセットになっているものが二種類あり、その他にパンやパスタ、サラダ、果物等が単品でも注文できるようになっている。そのメニューの中にTRKメニューというものがあった。
「このTRXメニューっていうのは何ですか?えーっと、目覚めのゼリー、ホットスープ、イタアイス?」
「あぁ、それはうちの研究室で出してる効果つきの料理よ。目覚めのゼリーはスッキリ効果2、ホットスープは保温効果3、イタアイスはデトックス効果2になっているわ。あ、ライファはご飯何にする?」
「Aセットがいいです。」
「じゃぁ、Aセット一つとパンと目覚めのゼリー2つ。」
料理を受け取って窓際の席に座った。至って普通の出来だった。不味いということもなければ、美味しいということもない。
「普通、でしょ。ここのご飯。おばさんたちはみんないい人なんだけどねー。」
クロッカさんは苦笑いしながら言った。
「研究者たちは食事に無頓着な人が多くてね。お腹が満たされればいいって感じの人が多いから、作る方も気合が入らないわよね。あ、これ、うちの研究所の一番人気。食べてみて。」
そう言ってクロッカさんがくれたのは、先ほど頼んでいた目覚めのゼリーだ。一口食べてみる。
「!!!!すっぱ!!」
「どう?なかなか美味しいでしょ。」
「これ、大元になっているのはカオですよね?」
「お、分かる?カオの実に興奮効果のあるマッドの実の成分を少し混ぜてあるの。マッドの実は高温に弱いから一度冷凍させてから使ったのよ。」
確かに体の奥に熱の疼きがあるようなそんな感じかする。眠気防止に効果があるのだから、研究所というこの建物の中で人気があるのはわかる気がした。
「味としてはイタアイスが一番おいしいんだけどねー。残念ながら、通常状態で食べるにはあまり向かなくて。」
クロッカさんは残念そうに言う。
「食べるとお腹が下っちゃうのよね。」
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