私の好きなお兄様

山葵

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時間になり、馬車に乗り込むとアルベルトが先に座っていた。

いつもの様に、向かいに座ろうとするとアルベルトに手を引かれる。

「そっちでは無いよ。此方に…」

お兄様の横に…?

「失礼します」と横に座ろうとすると、腕を引かれ、お兄様の膝の上に横座りしてしまった。

「あっ…ご、ごめんなさい」

慌てて座り直そうとして、アルベルトに止められる。

「このままで…さぁ出発しよう!」

御者に合図を送り、走らせる。

「お兄様、このままでは、お兄様が疲れてしまいます。わたくしは横に移りますので…」

「馬車が走っているのに動いたら危ない。それにリリアナを乗せている事ぐらい何て事は無い」

これは言っても無理ね…。
休暇したら移るしかないわね。

落ちたら危ないとアルベルトは、しっかりとリリアナの腰に手を回す。

顔を上げれば嬉しそうにアルベルトが微笑み、リリアナは、恥ずかしく、俯いているしかなかった。

話をするアルベルトの息がリリアナの耳を擽る。

あぁもう堪えられない…早く、早く休暇にならないかしら!?

ドキドキする心臓の音…お兄様に聞こえてる!?

あぁ酸欠で倒れそう…。

マリー助けてぇー!!

「リリアナ?具合が悪い?少し休暇しよう」

や、やっと…。

「ふぅー!」

「お嬢様!?大丈夫ですか?」

「マリー!!」

そうだ!マリーに一緒の馬車に乗ってもらおう!

駄目元でお兄様に頼んでみよう!

「お兄様、少し体調がすぐれません。マリーを同乗させてもよろしいですか?」

「大丈夫か?今日は、近くの宿で泊まり、医師を呼んで貰うか!?」

「そこまででは…ただ何かあった時にマリーに居て貰った方が良いかと…」

俺では駄目なのかとアルベルトは拗ねたがリリアナも引かなかった。

アルベルトは諦めてマリーの同乗を許した。
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