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ルノワールが産まれ半年が過ぎていた。
執務の合間に、私とルノワールの様子を見に来ていたアーノルドとお茶を飲んでいるとダレンがやって来た。
「旦那様、大旦那様より文が届いております」
「父上から?またルノワールに会いに来る知らせか………。!!大変だ!!ライラが帰国するみたいだ。私にも会いたがっていると国王から連絡が有ったから何事も無い事を祈る!だと?ダレン、直ぐにライラがいつ我が国に来るのか調べろ。それまでに仕事を終わらせて………」
ライラ?ライラ様とは国王陛下の娘でスリライン国に嫁いだ王女様の事よね?
確かアーノルドとは再従兄弟になるはず。
アーノルドが慌てバタバタしているので、大人しくしていたルノワールが泣き出してしまった。
「あらあらルノワール、泣かないでも大丈夫よ。アーノルド、そんなに慌てて一体どうしたというの?ライラ王女様が戻るのが、そんなに問題なの?」
「旦那様、少し落ち付いて下さい。ライラ様も旦那様も今ではご結婚もされ、お子様も居られます。ライラ様が旦那様を慕っていたあの頃とは状況が違います」
「そう、そうだよな!?あはは、ライラが帰国と聞いてあの悪夢が…すまなかったリリアナ」
詳しく聞けば、ライラ様はアーノルドの事が好きだった。
親交の為、幼少の頃にスリライン国の第3王子と婚約していたが、物心付いた時には『何で顔も覚えていない人と結婚しないといけないの?絶対に嫌よ!わたくしは、アーノルドが好きなの!!アーノルドと結婚するから、スリライン国に婚約解消の連絡をして頂戴!早くアーノルドと婚約しないと彼を狙っているご令嬢達に奪われてしまうわ!!』と国王に詰めよったそうだが、勿論そんな事が許される訳もない。
アーノルドの方も、私は知らなかったが、私を見初めて前クライマス公爵にザイザル侯爵家への婚姻の申し込みをお願いしていた。
ライラ様は、婚約解消が無理だと分かるとアーノルドを物にし既成事実を作ろうと考えたが、アーノルドにその気はない。
気持ちもそうだが、スリライン国の第3王子と婚約していると知りながら王女に手を出したなんて事をしたら、クライマス公爵家だって只では済まされない。
困り果てた国王と公爵は、アーノルドを領地に戻した。
「学園に入学前だったし、私もライラに辟易していたし、それは良かったんだけれど…領地に行ったらリリアナを見る事が出来ない事に向こうに行ってから気が付いたんだよ…」
はぁーと溜め息を吐きながら、昔の事を思い出し悲しそうな顔をした。
はっ!入学前に既成事実ってライラ様、ちょっと怖いんですけれど。
王族として…いえ、貴族として、その行いはどうなの?
「…それでライラ様はアーノルドを諦めてスリライン国に嫁いだのね」
「いや…彼女は領地まで私を追い掛けて来たよ」
「えっ?ええーっ!?」
ライラ様、凄すぎる!!
それだけアーノルドを好きだったの!?
「私も驚いたよ。しかも誰にも言わずに数人の使用人達と出掛けて来たものだから王宮では大騒ぎになった。私を追い掛けて行ったのだろう推測され追って来た騎士団に着いたと同時に連れ戻されていたけれどね。まぁそのお陰で私はシュトーレ国に留学させられてしまった。ライラが嫁ぐ迄の3年間もだ。私の出した留学の条件がリリアナとの婚約。前ザイザル侯爵も国王も望んでいると聞けば断れないからね。やっとザイザル侯爵が了承してくれた!と聞いたから、留学前に婚約の手続きだけでもとライラに気が付かれない様に領地から君に会いに戻って来たのに、君の兄上と姉上が会わせてくれなかったんだ…。私の様な引く手数多の者が何故リリアナを望むのか?お飾り夫人をお望みなら他を当たってくれ!と…。いくら私がリリアナが良い。彼女が好きなんです!と訴えても信じてくれなくて…私は君と婚約出来ずに留学したんだよ…」
執務の合間に、私とルノワールの様子を見に来ていたアーノルドとお茶を飲んでいるとダレンがやって来た。
「旦那様、大旦那様より文が届いております」
「父上から?またルノワールに会いに来る知らせか………。!!大変だ!!ライラが帰国するみたいだ。私にも会いたがっていると国王から連絡が有ったから何事も無い事を祈る!だと?ダレン、直ぐにライラがいつ我が国に来るのか調べろ。それまでに仕事を終わらせて………」
ライラ?ライラ様とは国王陛下の娘でスリライン国に嫁いだ王女様の事よね?
確かアーノルドとは再従兄弟になるはず。
アーノルドが慌てバタバタしているので、大人しくしていたルノワールが泣き出してしまった。
「あらあらルノワール、泣かないでも大丈夫よ。アーノルド、そんなに慌てて一体どうしたというの?ライラ王女様が戻るのが、そんなに問題なの?」
「旦那様、少し落ち付いて下さい。ライラ様も旦那様も今ではご結婚もされ、お子様も居られます。ライラ様が旦那様を慕っていたあの頃とは状況が違います」
「そう、そうだよな!?あはは、ライラが帰国と聞いてあの悪夢が…すまなかったリリアナ」
詳しく聞けば、ライラ様はアーノルドの事が好きだった。
親交の為、幼少の頃にスリライン国の第3王子と婚約していたが、物心付いた時には『何で顔も覚えていない人と結婚しないといけないの?絶対に嫌よ!わたくしは、アーノルドが好きなの!!アーノルドと結婚するから、スリライン国に婚約解消の連絡をして頂戴!早くアーノルドと婚約しないと彼を狙っているご令嬢達に奪われてしまうわ!!』と国王に詰めよったそうだが、勿論そんな事が許される訳もない。
アーノルドの方も、私は知らなかったが、私を見初めて前クライマス公爵にザイザル侯爵家への婚姻の申し込みをお願いしていた。
ライラ様は、婚約解消が無理だと分かるとアーノルドを物にし既成事実を作ろうと考えたが、アーノルドにその気はない。
気持ちもそうだが、スリライン国の第3王子と婚約していると知りながら王女に手を出したなんて事をしたら、クライマス公爵家だって只では済まされない。
困り果てた国王と公爵は、アーノルドを領地に戻した。
「学園に入学前だったし、私もライラに辟易していたし、それは良かったんだけれど…領地に行ったらリリアナを見る事が出来ない事に向こうに行ってから気が付いたんだよ…」
はぁーと溜め息を吐きながら、昔の事を思い出し悲しそうな顔をした。
はっ!入学前に既成事実ってライラ様、ちょっと怖いんですけれど。
王族として…いえ、貴族として、その行いはどうなの?
「…それでライラ様はアーノルドを諦めてスリライン国に嫁いだのね」
「いや…彼女は領地まで私を追い掛けて来たよ」
「えっ?ええーっ!?」
ライラ様、凄すぎる!!
それだけアーノルドを好きだったの!?
「私も驚いたよ。しかも誰にも言わずに数人の使用人達と出掛けて来たものだから王宮では大騒ぎになった。私を追い掛けて行ったのだろう推測され追って来た騎士団に着いたと同時に連れ戻されていたけれどね。まぁそのお陰で私はシュトーレ国に留学させられてしまった。ライラが嫁ぐ迄の3年間もだ。私の出した留学の条件がリリアナとの婚約。前ザイザル侯爵も国王も望んでいると聞けば断れないからね。やっとザイザル侯爵が了承してくれた!と聞いたから、留学前に婚約の手続きだけでもとライラに気が付かれない様に領地から君に会いに戻って来たのに、君の兄上と姉上が会わせてくれなかったんだ…。私の様な引く手数多の者が何故リリアナを望むのか?お飾り夫人をお望みなら他を当たってくれ!と…。いくら私がリリアナが良い。彼女が好きなんです!と訴えても信じてくれなくて…私は君と婚約出来ずに留学したんだよ…」
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